《全米に聞いた!》春バス攻略法教えてください! B.A.S.S.エリート10名突撃インタビュー

全米屈指のトップスターが集う年に1度のバスマスタークラシック。誰よりもバスフィッシングを愛する彼らに、ド直球な質問をぶつけてみた。「バス釣りで大切にしていることは?」「春の釣りのカギは?」。

●文:ルアーマガジン編集部

2024 シーバス特集

エリートプロの皆さんに質問してみた項目

  • Q1 バスフィッシングにおいて大切な3つの要素を教えて!
  • Q2 春の釣りのカギを握る3つのポイントは?

それではいってみよう!

ブランドン・パラニューク(Brandon Palaniuk)

ELITEシリーズ2度のAOYに輝くPRODIGY

Q1の回答

バスフィッシングにおいて、僕がなによりも大事だと思っているのは、このスポーツを応援してくれる「ファン」の存在。だって、そういう人たちがいなければ「ルアマガ」も読んでもらえないでしょ? そういうことだよね。

もうひとつは「家族や仲間たち」僕は妻や子どもたちと一緒にトーナメントトレイルを回っている。そしてアメリカだけでなく、日本やオーストラリアなど、いろんな国に友だちがいる。世界中のビッグファミリーに支えられて、僕はやっていけるんだと思う。

最後のひとつは「孤独」かな。大勢の人々に助けてもらう一方で、バスプロは長大な時間をたったひとりで水の上で過ごさなきゃいけない、という側面もあるから。そういう孤独な時間も好きだよ。

Q2の回答

春の釣りを考えるうえで、まずは「天候の変化」に注目することが重要だ。それによって使うルアーも決まってくる。

どんどん暖かくなっていくようであればバスはシャローに上がっていくだろうから、たとえばソニックサイドやスーパーZ・Z1のようなクランクで攻めていく。

逆に冷えてクリアアップするタイミングだと、バンクから離れてしまうことが予測できるから、ワンテンやワンテン+1を水深に応じてセレクトすればいい。

ほとんど暑いぐらいの天気だったら、ジグにクロー系のトレーラーをつけて、シャローカバーをフリップすることも考えるね。

「水の透明度」そして「水位」も、かならず考えなきゃいけない要素だと思う。水位が上昇して濁りが生じていればバスたちもシャローを目指す。その正反対だったら、やっぱりオフショアに出ていくだろう。

グレッグ・ハックニー(Greg Hackney)

バスマスター通算6勝のHACKアタック

Q1の回答

私のバスフィッシングにとって、もっとも重要なワードは「リスペクト」だね。別に他人から好かれたいってわけじゃないが、誠実で真摯な方法で釣りに取り組みたいと考えている。誰からもリスペクトされるような、正しいやり方でね。

もうひとつは、このスポーツを楽しむ人々の「手助け」になる活動をすること。みんながもっと釣れるように知識や技術を教えていくのがバスプロの役割だ。

そして最後は「釣りの魅力を広めていくこと」アメリカだけじゃない。日本だろうがアフリカだろうが、老若男女どんな人にとっても、釣りはGOODなものなんだから。

Q2の回答

「バスがなにを食べているか」を考え、理解することが春はとても重要だ。シャッドなのか、ブルーギルなのか……。いろんなものを食べているとしても、そのなかでキーになっているエサはどれなのか。

もうひとつは「いちばん温かい水域」を探すこと。そのフィールドのなかで主要なエサは、そういうエリアにいることが多い。

最後は「バスが依存しているカバーやストラクチャー」がどのようなものなのか、見極めること。フラットなのか、それともディッチ(※チャネルなど溝状の地形変化)なのか。それを見つけたら、ほかのエリアにも当てはめながらバスを探すことができる。

ジェイソン・クリスティー(Jason Christie)

2022バスマスタークラシック制覇

Q1の回答

僕自身の長所は「Stableness」、つまりブレずに自分の釣りを貫徹するところ。ゴーイングマイウェイ、ってことだね。ただしバスフィッシング全体で考えると、やっぱり大事なのは「オープンマインド」かな。特に変化の激しいコンディション下では、それを忘れてはいけない。

もうひとつ、僕にとって大切なのは「友だちと家族」みんなのサポートがなければバスフィッシングを続けることはできないから。

最後は「Leave the sports better than you found it.」。どういうことかわかる? 僕がこの世界を去るまでに、以前よりも少しだけベターなものにできるよう貢献したいと考えている。

Q2の回答

春のバスフィッシングに欠かせないのは「BOOYAHのコバート・スピナーベイト」、それから「NORMANのスクエアビル」だね。なかでもスピードNが好きで、色はクロウフィッシュ系のレッドがいい。

そしてもうひとつは、去年のクラシックでもトロフィーをもたらしてくれた「WAR EAGLEのジグ」この3種類はかならず試すアイテムだ。

セス・ファイダー(Seth Feider)

2021バスマスターELITEシリーズA.O.Y.

Q1の回答

重要ってどういうことかな。重要な3つのルアー? ふむ……なるほど、人生において、という意味で、だね。

僕にとっては「バスフィッシング」そのものが、かけがえのない存在だ。このスポーツなしには生きられない。おかげで、幸運にもバスマスターの舞台にいられるわけだし。

それとは別に、魚をキャッチするために大事なのは「オープンマインド」。特に、プラクティスのあとはいったん頭をリセットしたほうがいい。試合になれば天気も変わるし、魚も動くんだからね。

もうひとつはシンプルに「シャープなフックと強いライン」

最後は、おそらく、「あきらめない」ことだろうね。最大限の努力を、1日中ずっと続けなくてはならない。

Q2の回答

「温かい水」の存在だね。具体的に何度がいい、と明確には言えるわけではないんだが、ほかのエリアよりも温かい場所のほうが、春はたいていベストプレイスだね。

ふたつめに気にかけるのは「マッディーすぎない水」ステインでもクリアでも構わなくて、ひどくダーティーな水域は避けるようにしている。

3つめは、当然だけれど「シャロー」もキーワードになる。水深というよりも「ディープではないフラットな要素」みたいな感じかな。

マット・ロバートソン(Matt Robertson)

ブロンドのオフショアファイター

Q1の回答

僕はなによりも「フレンドシップ」を大事にしたいと思っている。エリートシリーズのほかの選手にも、異なる国からやってきた選手にも。

そして応援してくれる「ファン」も、僕にとってはかけがえのない存在だよ。

最後は、当たり前すぎて忘れがちなんだけど、バスフィッシングは「ブラックバス」という魚がいるからこそ成立する。そのことにまず感謝しなくちゃいけないと思う。

Q2の回答

春に重要なことは、ロケーション次第でいろいろあるよ。どんな場所で、どれだけデカい魚をねらっているのかによっても変わってくる。

巨大な「スイムベイト」を投げることもあれば、大きめの「クランクベイト」にしたり、あるいは「フラットサイドクランク」を選んだり……選択肢は様々だ。

狙う場所がグラスなのかウッドカバーなのか、そういうことも影響するから一概には言えないなぁ。

チャド・ピプキンス(Chad Pipkens)

五大湖育ちのラン&ガンARTIST

Q1の回答

まっさきに注意を払うのは「水温」ですね。バスがどこにいるかを決定づける要素だし、温かいか冷たいのかによって、ルアーをどの程度のスピードで操作すべきかもわかるから。

今回のクラシック会場、テネシーリバーのような場所では「水位」もかなり影響の大きな要素だと考えています。

そういうフィールドの話とは別に、自分自身のメンタルも関わってきます。常にポジティブかつスマートで居続けないと魚からの答えはもらえない。ジェラルド・スウィンドルが常に口にしている「PMA」、まさにあれです。ポジティブ・メンタル・アティチュード。水の上では、それがすべてだと思います。

Q2の回答

僕が考える春のキーは、次の3種類のアイテムです。

まずは「ブレーデッドジグ」ジャックハンマー、もしくはチャターベイト・エリートが好みですね。優秀なフックがビッグフィッシュを確実に捕らえてくれる。

通常よりも透明度が高ければ「ジャークベイト」を多用します。春のサスペンドフィッシュを狙うのに適したルアーです。

あとは「シェイキーヘッド」。釣り残した魚を一掃してくれる、いわばクリーンアップベイトみたいな存在です。

クリス・ザルデイン(Chris Zaldain)

ELITE屈指のデインジャラスGUY

Q1の回答

「キャッチ&リリース」の徹底こそが、バスフィッシングにとってなによりも重要だと思う。これまで僕は何千何万のバスを手にしてきたけれど、また明日も同じことを続けていられるのは資源を大切にしているからだ。

もうひとつは、ある種の「教育」。ハイスクールや大学生のキッズたちに、僕たちプロが培ってきたテクニックなどを手渡していくべきだと考えている。

そして最後は、エリートシリーズのような「コンペティション」の存在。競い合うからこそ、お互いに高め合うことができる。アメリカ人でも日本人にとっても、それがベストな環境だと思う。

Q2の回答

春は「アイソレーテッド・カバー」、つまり独立したタイプの障害物こそ要チェックだ。たとえばポツンと存在するウッドカバーだったり、そういうところにビッグバスは寄りやすい。

ルアーに関しては、まず「スクエアビル」。水温がまっさきに上昇するロックエリアを素早く叩いたりするのに最適だから。

「スピナーベイト」も春にGOODなルアーだね。このテネシーリバーにも多く見られるようなレイダウンなんかは、プリスポーンの魚が好むロケーションのひとつだ。

木村建太(Kenta Kimura)

初のクラシック出場を決めたロンリーウルフ

Q1の回答

バス釣りで大事なことって、3つどころかなんぼでもありますが、1番は「好きこそものの上手なれ」やってて楽しくないならやめたほうがいいと思う(笑)。

自分にとっての「得意ジャンル」を磨くことも大切ですね。バスプロならひと通り全部こなせるのが当たり前です。そうはいっても、この釣りは自信がある、他人よりイケてるな、って部分が収斂されてくるんですよ。

どんなスポーツでもそうですが、自分の良さを見つけていくことが大事。エリートシリーズでも、やっぱりスコアを出せるのはとんがってるタイプの選手。平均点では中の下になっちゃうんです。

3つめは「食わず嫌いはやめよう」いわゆるオープンマインドですね。

右の話と矛盾するようですが、自分の固定概念にしがみついてはダメ。「冬だからトップなんか出ないでしょ」って決めつけてはいけないし、ときには流行りものを試してみるのも大切。「ライブシューティングなんかセコい」的な発想では、めちゃくちゃ損します。パワーフィッシャーマンやストロングな釣りほどああいう魚探が生きる。

なんでもかんでも取り入れる必要はないですが、僕自身はオープンマインドを意識するようになってから、トーナメントの成績がよくなった気がしてます。

Q2の回答

ハックニーが「春はエサ」って言ってた? それは僕も一緒です。春って、バスの食性が切り替わるタイミングなんですよ。冬の間は魚食性が強くて、徐々にザリガニが増えてきたりする。そういう流れをしっかり理解したほうがいい。

2番めは、さっきと重複しますが「オープンマインド」ですね。あいだをスッ飛ばしていきなりシャローに差したり、なんでこんなに変わった? みたいな激変が、ほかの季節よりも起こりやすい。そういうサプライズを捉えたときこそ、春爆的な釣果に繋がるので。

基本的にはこのふたつを意識しながら、産卵が近づけば「潮回り」もチェックします。これはエサと関係なく始まるので。試合中に大潮が来るならスローダウンも考えないとアカンな、って組み立てたりしてますね。

タイラー・リベット(Tyler Rivet)

開幕戦をライブサイトで制したヤングガン

Q1の回答

ナンバーワンに重要なのは「ポジティブでいること」試合中にビッグワンをミスしたとしても、怒らない、ロッドを投げない(笑)。次の1投にフォーカスすべきなんだ。カッカしてると残りの1日がめちゃめちゃになるから。

「準備」がその次だね。すべてを万端に整える。なぜなら、水の上では1秒たりとも無駄にできないから。

最後は「HAVE FUN」それに尽きます!

Q2の回答

春にはいろんなステージがあるよね。プリスポーン、スポーン、そして産卵後のポストスポーン。それぞれの段階で違うアイテムが助けてくれるんだ。

プリスポーンの時期には、ディープでシャッドを捕食しているようなバスを「ジャークベイト」で釣っていくことが多い。

産卵行動に入ったときはセンコーのような「スティックベイト」が主役になる。

そしてポストスポーンになると、シャローでさかんにシャッドを食うようになるので「ブレーデッドジグ」が生きてくる。

伊藤巧(Takumi Ito)

日米を席巻するロードランナー

Q1の回答

いちばん大事なのは「自分の得意な釣りを見つけること」ですよ!

僕が陸王に出始めたころ、サイトフィッシングが苦手でした。それをどうにかしたいと勉強して、最初のトロフィーを獲った。苦手を克服することも大切です。

だけどもともと得意だったのは、エスケープツインをブン投げたりしてオフショアの地形を探る釣り。だからほら、2度めに陸王でチャンプになったときなんて、霞ヶ浦なのに水深3mぐらいのオフショアで勝てた。あれがまさに僕の釣り。

いろんなテクニックがあるなかで、これなら誰にも負けないぞ、っていうものを見つけて洗練させていくことが大切だったりします。

ふたつめは「バスが食べているエサを知る」

日本のフィールドはちょっと特殊で、サイコロラバーやスクーパーフロッグのように、エサとリンクしていなくてもルアー自身が持つパワーで釣ることができちゃう。だとしても、エサは基本中の基本です。

たとえば、四国のフィールドならアユやオイカワを食っているだろうな、このフィールドはエビが減ったみたいだな……とか。エサの情報が基準になるので、ボイルが起こったらなにを食っているのか調べたほうがいいです。

そして、3つめは「練習は裏切らない」

いまの日本は、僕でも普通にデコります。それでいいんです。実は釣れないときこそ、上達のキッカケになる。「なんで釣れないんだろう?」を真剣に考えるから。たくさん釣れたら「わーいやったー」しか考えません(笑)。

過去を振り返るとわかりやすいんですが、めちゃめちゃ釣れているときは誰にでも釣れる。だけど、たとえば八郎潟がパラダイスじゃなくなった現在、HBA(八郎太郎バスマスターアソシエーション)の皆さんは、すごいテクニックで魚を絞り出してくるわけです。

牛久沼のローカルもそうですよね。「ここは釣れないから勉強にならない」というのは逆です。1尾が遠いからこそ、なんとかしようとして上手くなる。デコってもいいから、釣りに行かないといけませんよ。

Q2の回答

最初の答えが長くなっちゃったので、こちらはシンプルに行きますね。

「魚は浮いている」

「得意な釣りをしよう」

「デカいメスが釣れるのは10~15時」

これが春の3つのポイントです!

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