ついにDAIWAがデジタル制御ブレーキを導入し、スマホとの連携機能も搭載してIM Zが誕生。一方、デジタルコントロールの道を独走してきたシマノは、アンタレスDC MDを完全リニューアル!この革命的な新鋭と絶対的王者の比較インプレ、読まずにはおけないはずだ!
●文:ルアマガプラス編集部
テッペイ
3Gインプレッションなど、長年ルアーマガジンのタックルインプレを受け持ってきたインプレ職人。その鋭い舌鋒で新製品を一刀両断してきたので、各メーカーのブラックリストに載っているとか? 現在「釣りビジョンマガジン」編集長を務めつつ、ライター業も兼業。
比較するのは注目の最新2機種
アンタレス DC MD XG(シマノ)
SPEC
●ギア比:7.8 ●最大ドラグ力:6kg●自重:235g●スプール径(径/幅):38/21mm●糸巻量:ナイロン16lb 120m ●最大巻き上長:93cm ●ハンドル長:90mm ●ベアリング数(BB/ローラー):11/1●価格:8万4100円(税抜き)
IM Z XH TW HD-Cリミットブレイカー(DAIWA)
SPEC
●ギア比:8.4 ●最大ドラグ力:7kg ●自重:250g ●スプール径:38mm ●糸巻量:ナイロン16lb 125m●最大巻き上長:100cm ●ハンドル長:95mm ●ベアリング数(BB/ローラー):12/1 ●価格:12万5000円(税抜き)
スペック早見表
項目 | アンタレスDC MD | IM Zリミットブレイカー |
---|---|---|
ギア比 | 7.8 | 8.4 |
最大ドラグ力 | 6kg | 7kg |
自重 | 235g | 250g |
スプール径 | 38mm | 38mm |
糸巻量 | ナイロン16lb 120m | ナイロン16lb 125m |
最大巻き上長 | 93cm | 100mm |
ハンドル長 | 90mm | 95mm |
ベアリング数(BB/ローラー) | 11/1 | 12/1 |
価格 | 8万4100円(税抜き) | 12万5000円(税抜き) |
最先端のフラッグシップはどうしても似ちゃうかもね
霧に包まれた、神秘的な山上湖、榛名湖。
まずアンタレスDC MDでカバースキャットのノーシンカーを沖に投げた。ギュ~ンとDC特有のサウンドを響かせて、めちゃくちゃ遠くへと飛んでいった。
テッペイ「やっぱりよく飛ぶなあ。どのくらい飛んだ?」。
フルカワ「わかりませんね…」。
この日の榛名湖はとんでもない濃霧に包まれていて、20メートル先が見えない状態。だからルアーの着水点なんてとても確認できないのだ。
フルカワは、最近ルアマガの編集長になったらしいが、この日はカメラマン役だ。
フルカワ「でも、このIM Zならわかりますよ」。
フルカワがロッドを一振りすると、スマートフォンをいじりだした。
フルカワ「ほら、43mも飛んでいます」。
霧の中でもIM Zなら飛距離がわかる。この調子で1日分のデータがたまると何かがつかめるかもしれない。その後、霧は晴れて、インプレはスムースに進んだ。
ただ、どちらも優秀なリールなので、使えば使うほど、両者は似ている……という印象を持ってしまった。
テッペイ「アンタレスDC MDの巻き心地が、忘れられないわ」。
フルカワ「結局、今日イチ飛んだのは、57.1mですね」。
インプレ終了。巻き心地とデータ蓄積。2台の違いは結局この2点だったような気がする。
各項目の比較
POINT.1 外観デザイン 前代未聞のデザイン要素に1票
甲乙つけがたい!妖しく光るIM Zも魅力的だし、左右非対称な機能美を持つアンタレスDC MDも好きだ。これは僅差だけど、今までにない試みを評価して、IM Zに一票を入れよう。あの隙間を光らせるのがいい。
POINT.2 回転・巻き心地 アンタレスDC MDの回転が凄すぎた
どこまでもフラットな感触で、しかも無音で巻き続けられるアンタレスDC MDの巻き心地は、人間の道具を超越していた。自分まで機械になってしまったかと錯覚するレベル。ビッグベイトだけならIM Zのほうがいいかも?
POINT.3 キャストフィール 「フィール」だけに着目するなら
IM Zのあの抜けるような飛び感は本当に気持ちがいい。あれはブレーキやスプール回転だけの問題ではなく、きっとTWSが効いていると思う。アンタレスDC MDも気持ちよいが、ブレーキ感も少なからず感じる。
POINT.4 ブレーキ アンタレスに軍配だが、IM Zにも期待
これからの拡張性を考えると、IM Zも楽しみだが、現時点でのスキルの高さを評価するなら、やはりアンタレスDC MDの方が一日の長がある。特にXBモードを使いこなせば、いかなるルアー、状況にも対応できる感がある。
POINT.5 ドラグ 拮抗しているが調節のしやすさでわずかな差
どちらもドラグ性能は甲乙つけがたい。ピッチも細かいし、滑り出しのレスポンスもいい。あえて差をつけるならば、ドラグノブの回し心地。IM Zの方が、若干回しやすく、締めたドラグを緩める際のタッチがソフトだった。
POINT.6 総合的使用感 IM Zは充電が必要。アンタレスDC MDは充電不要
いろんな意味で、実力伯仲の2台。正直両方とも欲しい。でも個人の総合的判断でどちらか一方を選ぶならば、アンタレスDC MDにする。決め手はパーミング性の高さと、充電の必要がない点だ。汎用性も広いと思う。
POINT.7 価格 結局、庶民には高根の花
アンタレスDC MDが8万円で、IM Zは12万円だから、価格的にはアンタレスのほうが得……とは限らない。結局買う財力がなければ、どちらも手に入らないので。何かのお礼にもらえるのであれば、IM Zのほうが嬉しいかも。
テッペイの独断採点簿
アンタレスDC MD XG RIGHT[シマノ]
巻く釣りにも、ボトムを狙う釣りにも使える万能モデル
まず18アンタレスのDC MDが、かなり完成度の高いリールだったと記憶している。ルアマガの3Gインプレでも使ったし、何度か奥田学さんと釣りをした際にも使わせてもらい、実際に魚を釣った経験もある。
今回のニューモデルは、その全方向進化系だったので、ビッグベイト、マグナムクランクなどの「巻きの釣り」はもちろん、ヘビーテキサス、ラバージグ、カバースキャットなど、ソフトルアー系にも活用できる。万能的大型ベイトリールだった。
IM Z XH TW HD-C リミットブレイカー[DAIWA]
ビッグベイトとキャスティングを楽しみたい
釣りの楽しさを広げるという点においてはIM Zほど楽しいリールは他にないのでは? たとえ釣れなくても、キャスト後に飛んだ距離をチェックするだけでもかなり楽しい。釣りをしながらの会話も弾むだろう。
もし、このリールを持っていたら、ビッグベイトやジャイアントべイト用として活用したい。
昨年、琵琶湖でガイドの米山さんに教わった「クラッシュナインの七角形デジ巻き」は、ハンドルの長いこのリールだったら、より簡単にできそうだ。
テッペイの採点
巻き心地の良さならアンタレスDC MD。キャスティングデータを知りたいならIM Z。あとは拮抗しているね。
取材場所
榛名湖(群馬県)
群馬県西部、榛名山の山頂にあるカルデラ湖。バス釣りの歴史は古く、多くのファンが楽しんでいる。冬は結氷するため、禁漁状態になり、ある程度バスが乱獲されずに済むという特徴がある。テッペイは、この湖で開催されている草トーナメントに年間数回参加している。
※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。