グルーパーを釣る上で、ソフトベイトだけでなくハードルアーも積極的に使用する、シマノの折本さん。その理由はズバリ、釣れるから。では、そのハードルアーのメリットとは? そして使い方のキモは? その極意を折本さんが伝授してくれた!
●写真/文:ルアーマガジンソルト編集部
アングラー&実釣フィールド紹介
折本隆由(おりもと・たかよし)
1975年生まれ。千葉県出身・在住。ルアーフィッシングをメインにあらゆる釣りを得意とするマルチアングラー。ロックフィッシュゲームの草分け的存在で。グルーパーを追い求めて、日本全国を釣り歩く。
ハードルアーはグルーパーゲームで、実は有利な面が多い!
ロックフィッシュゲームやグルーパーゲームと言うと、ワームを使用するテキサスリグやジグヘッドリグなどの使用を思い浮かべる人も多いだろう。しかし、折本さんはバイブレーションやテールスピンジグなど、巻いて使用するルアーを多用してゲームを組み立てることが多いと言う。
折本「誤解しないで欲しいのは、ジグヘッドやテキサスも当然使います。ただ、ハードルアーが効率が良いような状況では、積極的にバイブレーションなどを選びます」
その理由が、展開の効率がUPするという点だ。
折本「波動とフラッシングがあるので、活性の高い個体を効率良く釣っていけるんです。手返しが良いし、勝負も早い。あと、フグなどのエサ取りを気にしなくて済むし、ワームがズレたりというストレスもない。実は、ハードルアーを使用するメリットって非常に多いんですよね」
【ハードルアーでロックフィッシュを狙う5つのメリット】
- 手返しが良いので釣りの展開が早い
- フィーディングなどの活性が高い魚から釣っていける
- 荒れたときにも目立ち、広範囲から魚を呼べる
- ソフトベイトにはない波動・フラッシングがある
- フグなどの外道に齧られない
しかし、ハードルアーだと根掛かりが増えてしまうのでは?
折本「根掛かりを心配する人は多いと思いますが、ハードルアーは浮き上がりが良いため、それほど根掛かりは多くないんです。基本アクションは、20~30回巻いてからフリーフォールで着底させて、また巻き始めます。キャスト直後は、PEラインの角度が立っているので、ルアーが泳ぐ角度が高い。つまり、上に向かって泳いでいくようなイメージになるなので、根掛かりも少ないんです」
ただし、ルアーが手前に来るほどラインの角度が寝てきて、根掛かりのリスクも増してくる。
折本「根掛かりの多くの場合は、手前にある根を越えられずに引っかかってしまうことがほとんどです。なので、1キャストのうちに着底させるのは2回から3回まで。全体の1/3ほど来たなと思ったら、あとはリーリングのみで大丈夫です」
ルアーが手前に来るほど、ボトムから離れてしまいそうだが…。
折本「ルアーがどんどん浮いてきて、グルーパーのレンジを外れているように思うかもしれませんが、岸から釣る場合なら水深はどんどん浅くなっていくし、ライン角度が寝てくるためちょうど良いレンジを引けているんですよね」
ルアーが泳ぐ軌道を頭の中でしっかりとイメージすれば、根掛かりはそれほど気にならない。折本さんは初場所でもほとんどルアーを無くさないという。
オススメのルアーと効果的な使い方
折本さんが、ロックフィッシュゲームにおいて多用するルアーの1つが、シマノのエクスセンス サルベージ85ESだ。これは、磯での使い勝手も良く、ローテーションの中核となるモデルだ。
【エクスセンス サルベージ85ES】
85mm、27gの大きめのバイブレーションで、深いレンジを効率よく攻めることができる。スイム姿勢が立ち気味なため、根掛かりしにくいのも特徴。グルーパー狙いでは折本さんが最も使用頻度が高いハードルアーだ。
具体的な使い方としては、まず着底させたらレギュラースピードで20~30回リーリングをし、ベールを返してボトムまで沈め直す。この作業を2~3回繰り返す。
着底直後はPEのライン角度が立っているため、ルアーのスイム軌道も上方向になるので、意外と根掛かりは少ない。徐々にライン角度は寝てくるので、根掛かりを回避する意味で、全体の距離の1/3まできたらあとは回収でOK。
ルアーカラーは、活性の高さやベイトの種類で使い分ける
ゴールドはグルーパーの活性が高い時、強制的にスイッチを入れたいときに使用。アカキンやグリーン系は、ベラやネンブツダイなど、ボトム系のベイトを捕食しているときに強い。イワシ系は、まさにイワシなどの小魚を食べているときに実績が高い。
今回の実釣時の天候は、時折強い雨に見舞われるなど、不安定な状況だった。こういった、雨や曇天時などのローライトな時には、シルバーやゴールド系のカラーが効果的とのこと。
ローライト時ははっきりとしたフラッシングが出やすいゴールドやシルバーメッキに実績があるという。
実釣では、サルベージ85ES(ゴールドメッキイワシ)で見事、良型オオモンハタとキジハタをキャッチ! ゴールドはこの釣りにおいてかなり実績の高い色だ。
ヒットルアーはサルベージ85ES ゴールドメッキイワシ[シマノ]。
折本「ブレードなどのフラッシングが好きな魚ですからね。ルアーカラーに迷ったら、まずはゴールドから試してみてください」
ロックフィッシュにはゴールド系のカラーが強いというコメントを証明する釣果。
ロングロッドを駆使すればロックフィッシュゲームはより面白くなる!
今回の釣行で折本さんが使っていたロッドは、ハードロッカーXRの9ftを越すロングモデルだ。グルーパー用モデルとしてはやや長い設計だが、これがとても使いやすいという。
折本「ロッドを縦に構えて、ルアーをリフトする、フォールさせるという動作がとてもやりやすいんですよね。ラインに角度が付くから根掛かりも回避しやすいし。ファイト時には魚を浮かせて根をかわすこともできるし。新しいハードロッカーXRは、感度が良くて軽いし、パワーも物凄い。普通、竿は長くなればなるほど重くなって、縦の操作がやりにくくなるものですが、このロッドはそれがないですね」
釣行時は雨だけでなく強風にも悩まされた。さらに、風とは違う方向に潮が流れているので、ルアーをコントロールしにくかった。
折本「ルアーの着底が分かりにくい状況ですが、ロッドの感度が高いので、うまくカバーできましたね。着底をしっかり感じ取ることは、この釣りの非常に大切な部分。着底に気づかないと、そのまま根掛かりしてしまって釣りになりませんから。感度の向上と長さによる操作性のアップは、グルーパー攻略でも大きなメリットになりますよ」
ルアーをキャストして巻くだけのシンプルな動作の釣りではあるが、その実、奥が深いのもこの釣りだ。水中をイメージして根掛からない軌道でルアーをリトリーブし、フォールでは流れを感じながら潮に差し込んでいくように落としていく。そして、このような動作は、バイブレーションとロングロッドがとてもやりやすいのだ。
いつものグルーパーゲームに飽きた人は、ぜひバイブレーションとロングロッドの組み合わせを試してみてはいかがだろうか。
(※ルアーマガジンソルト2020年10月号掲載記事より抜粋して掲載)
今回の実釣で利用した、爆釣磯に乗せてくれる渡船紹介
折本さんのハードルアーロックフィッシュゲームを動画で視聴
今回の記事で紹介した内容は、シマノのyoutubeチャンネルで動画として視聴可能だ。実際、どのようにしてルアーを操作しているかなどを確かめたい人は、是非とも、下記で視聴してみて欲しい。
ルアーマガジンソルト2023年8月号(6/21発売)
※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。