《水面爆釣天国》がココにある!梅雨鯰のススメ

1日30バイト。しかもフィールドは自宅近くの小水路。そのうえ使用ルアーはトップウォータープラグ。手軽で気軽でエキサイティング。スニーカースタイルでちょいと3時間だけ…、な~んていう気楽さが人気のナマズゲームの季節が今年も到来した!

●文:ルアマガプラス編集部

2024 シーバス特集

安定した釣果が期待できるナマズ

例年、春先から始まり秋頃まで続くナマズのトップウォーターシーズン。シーズン中は自宅近くの水田を流れる小水路や、何気ない支流にトップウォータープラグを投げ込んだら30バイト! な~んてことも珍しくない。水深30cm、川幅50cmもあれば、そこはもうナマズ天国!! …かも知れない。それほど手軽で気楽なナマズのトップウォーターゲーム。

春はナマズと一緒にコイも遡上を行う季節。春のナマズ釣りではコイの産卵行動を目撃することが多い。

そんなナマズゲームをさらに確実にするために大切なのは【季節ごとの爆釣のトリガー】を把握すること。季節ごとの爆釣のトリガーとはなんだろうか? ナマズゲームのパイオニアにしてレジェンドの谷中洋一さんは言う。

「季節を問わず一貫して大切なトリガーは水温です。水温はその日の水温だけで判断するのではなく、前日との水温差や、数日間の水温変動を考察することが大切です。水温が著しく下がったタイミングは、ナマズの活性が下がることが多いです。ですが、下がった状態が数日間続くと、活性は再び上向いてきます。

そして水位も重要なトリガーになります。ですが水位が重要なトリガーになるのは主に春。本誌が発売される梅雨時期は、ナマズゲームのフィールドの水位は、満水で安定していることが多いです。梅雨時期に限定すれば、水位よりも水温のほうが重要なトリガーになります。

もうひとつ大切なトリガーが光量。本来夜行性のナマズは季節を問わずローライトの方が圧倒的に有利です。梅雨時期はローライトの日が多いので大チャンス。ですが…誤解されることが多いのが【雨】に関する情報。【雨=爆釣】のトリガーだと思われがちですが、実はそんなに単純な話ではありません。今回は来るべき梅雨のための【雨】とナマズの関係を分かりやすく解説します!」

古き良き日本の原風景の中で釣りが楽しめることも、ナマズゲームの魅力のひとつ。

1日30バイト!! も夢じゃない。デイナマズ×トップウォーターの世界?

ナマズは冬の間、本流や沼に降りて冬を越える。そして春になると産卵のために支流や小水路に入り込み上流を目指す大移動が始まる。大移動のトリガーとなるのが春の水位上昇。水田地帯の小水路の水位上昇は水田に水を引き入れるタイミングで決まる。

1尾目 キャタピー(スミス)

取材日は5月下旬。三寒四温の春の気配を引きずる季節。朝8時30分の水温は14℃。その後2時間ごとに水温を計測したら17℃→21℃と急上昇。「ナマズのフィールドは水深が浅いので晴れれば水温が急上昇します。水温上昇はナマズゲームでは良いトリガーになります」

2尾目 キャタピー(スミス)

埼玉県某所の水田地帯を流れる小水路。おそらく取材日の2~3日前に水位が上がったと谷中さんは予測した。「タイミング的はベストに近いです。水路内に残っていたナマズが水位上昇に伴い一気に上流を目指して動き始めたと思われます。今日は釣れますよ~(笑)」

「割れた尻尾はオスの特徴。これほど分かりやすい個体は珍しいです」。

3尾目 キャタピー(スミス)

約50cm四方の取水枡からキャッチ!

小さな取水枡で釣れたナマズのサイズは70cm。

4尾目 キャタピーソフト(スミス)

この段階でバイト数だと25は超えている。1尾のナマズをストーキングしながらサイトで狙うと、5~6回バイトを繰り返すことも珍しくない。ナマズは捕食が下手な魚だけど、バイトするガッツは凄いので、釣りをしていて飽きることがない。

夏が近づくに従い小水路の岸辺の草も生長する。草をかき分け、ヤブを漕いで、それでも出会いたいナマズたち。

5尾目 ジトラー・プロップチューン(スミス)

濁りを伴わない冷たい雨にご用心!

前ページでも解説したように、ナマズは水温が下がると活性が落ちる魚。梅雨時期の一般的なナマズフィールドの水温は、概ね20度前後で安定している。

「この水温自体はナマズにとってベストに近いです」

この水温の均衡を崩す要因のひとつが【雨】だという。

「雨の多くは冷たい雨です。こうした雨が水路を冷やしてナマズの活性を下げてしまいます」

だが小水路といえども、雨によって水路全体の水温を一瞬で冷やすことは不可能。

「チャンスは雨が降り始めてから、水路全体が冷えるまでの時差です。しかもその雨によって濁りが生じた場合は大チャンス。さらに雨が降る前の数日間が晴れていて、水路の水温が目一杯上がったタイミングでの雨の降り始めは有望です。そうしたタイミングに出会えると、流れ込み周辺が、ナマズの大群で黒くなっていることが多いです。まさに入れ食い状態です(笑)」

だが雨が降り続いて、水路全体の水温が冷え切ってしまうとナマズの活性も落ちてしまう。

「そして何日か雨が降り続いて水温が下がりきった状態で、水温が低いなりに安定してきたら、ナマズの活性は徐々に上向いてきます。その後、水温が再び20度くらいに上昇するタイミングが来ると、ナマズの活性は一気に上がります。このように梅雨の時期はチャンスが多いので、ナマズのベストシーズンであることは間違いありません。気を付けるべきは濁りをもたらさない冷たい雨。そこにだけ気を付けてベストシーズンである梅雨を満喫して下さい」

ナマズを狙っていてニゴイが釣れることは多々ある。

ナマズは水面のルアーに激しい吸い込み音とともにバイトすることが多い。ときにはルアーが空中に吹き飛ぶほどの強いバイトで突っ込むこともある。「バイトの瞬間、なんかナマズぽくないな~って思いました(笑)」

よしっ食った~!!!
水路の幅は約1m。水深約20cm。そんな小水路の取水枡の中から70cmの良型ナマズをキャッチ。これだからマナズゲームはやめられない!

梅雨時期のナマズルアーセレクション

選択肢その1

カップ系 キャタピー・シリーズ(スミス)

羽根モノ系 ジトラー・シリーズ(スミス)

ジトラーのプロップチューンでヒット。

「足場が高くて流れが強い場所では羽根モノ系を使います。足場が低くて流れの弱い場所ではカップ系を使います。またはウィードが水面直下まで生えているポイントでは、羽根モノ系だと引っ掛かってしまうのでカップ系を使います」

選択肢その2

ラトル系? ノンラトル系?

「朝一番で水温が低くて活性が低そうな場合はノンラトルからスタートします。その後バイトの出方を観察しながら、活性が上向いてきたと判断できたらラトル系を投入します」(写真右)

メッキ系のカップがラトルタイプ。(写真左)ツヤ消し系カップがノンラトルタイプ。

選択肢その3

サイズに関して

(写真上)キャタピーjr。全長54mm。重量10.5g。(写真下)キャタピー。全長68mm。重量14.5g。「バイトの勢いがないときや、食いミスが多いときには、キャタピーjrにサイズダウンです」

Profile

谷中洋一(やなか・よういち)
株式会社スミス開発。ナマズゲームのメソッドと概念を一から構築した、ナマズ業界のパイオニアにしてレジェンド。ナマズシーンで圧倒的な支持を得ている「鯰人」の総合プロデューサー。ルアーを通してナマズの生態に迫り、生活環境を観察して組み立てたメソッドは説得力の塊。

TACKLE DATA

[上]
  • ロッド:DNAZ-T71MH(スミス)
  • リール:カルカッタコンクエスト200HG(シマノ)
  • ライン:アバニ キャスティングPE SMP 4号(バリバス)
  • リーダー:ショックリーダー[ナイロン]40ポンド(バリバス)
[下]
  • ロッド:DNAZ-69H(スミス)
  • リール:カルカッタコンクエスト200(シマノ)
  • ライン:バーマックス磯VEPフロートタイプ ナイロン8号(バリバス)

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