ポップR(レーベル)
今なお活躍する伝説的ポッパー。
寸詰まりのボディにえぐれたカップを持つ、ポッパーの基本形とも呼べるルアー。尻下がり姿勢で首振りアクションもさせやすい。アメリカのバスプロ・ゼル・ローランドが世の中に広めた高速アクションはもちろん、ポップ音やチャガー音、スプラッシュなどあらゆる機能が優秀。サイズ展開もされているが、最もポピュラーなのはP60と呼ばれる写真のモデル。
1976年に発売されたものの、販売不振からわずか2年ほどで廃盤になってしまった経緯を持つ。しかしゼルローランドがトーナメントのウイニングルアーとして公表すると、一気に人気に火が付き再販へ。しかしこのモデルではゼルローランドが気に入っていたアクションを出すことができず、氏はボディを削りこんでカスタムしたというエピソードがあまりにも有名だ。現在のモデルはさらに進化しており、より初代のものに近づいているため、無理に削る必要はないのでご安心を。
変化点でストライクを「作り出す」
ヒロさんがバス釣りで最も大切にしていることが「ストライク(バイト)」を意図的に作り出すということ。いわば、餌を投入して食われるのを待つ『エサ釣り』とは対局にある、「ルアーフィッシング」だからこその醍醐味とも言えるだろう。そしてこのストライクを作り出す上で重要なのが「変化点」という考え方だ。例えば街中を歩いていて、急ブレーキの「キー」という音鳴り響いても振り向かないかもしれないが、その直後に「ガシャン」という大きな音が聞こえれば思わず振り返ってしまう。変化点にはそういう狙いが隠されているのである。そしてこの意図的に変化を与えてストライクを得られれば、それは「釣れた」ではなく、「釣った」であると胸を張って言えるだろう。
ポップRに学ぶ「ポッパー」の真髄 音の変化
ポップRをはじめとした多くのポッパーは、ショートストロークのロッドアクションで発生するポップ音、強く長めのロッドアクションで発生するチャガー音の2種類を器用に出し分けることが可能。前者はベイトフィッシュが水面を逃げ惑うような音、後者はバスがそのベイトフィッシュを捕食する際の音を模しており、これらを上手く組み合わせることでストライクを作り出すことができるのだ。
アクションの変化
ポップ音やチャガー音は真っ直ぐルアーを引っ張る方向のアクションで発生させるのが普通。ここに首振りアクションを加えることで、ただ真っ直ぐ動いていたルアーに動きの変化を加えることが可能。これもまたバスからの反応を得るための大切な変化点となるわけだ。
今回の釣行の際ヒロさんは、岸際から20メートルほどと比較的距離を離した状況で釣りを続けていた。これはクリアウォーターであるがゆえにバスからできるだけ距離を起きたいのと、岸際から5メートルほどから生じる水深の変化につくバスを狙うための距離なのだという。普段よりも遠くに投げるため、タックルもそれにあわせたセッティングとなっていた。
ザラスプーク ボイオ(ヘドン)
コンパクトなのによく泳ぐ!
数あるザラ兄弟の最新作。そのサイズからは想像し難いほどに操作感がよく、しっかりと容易に泳いでくれる。ワンノッカーサウンドのハイアピールも魅力的だ。実釣では、ポッパーとは異なるアクションを試すべく、ポップRからのローテーションで使用。
水深のあるポイントの狙い方
水面でバスを誘うとなると、どうしても気になるのはその場所の水深。バスのいる水深が深いほどルアーとの距離が遠くなってしまうわけだ。ヒロさんの感覚では、芦ノ湖のように非常に透明度の高いフィールドであれば、水深4メートルほどのバスにもアプローチすることは可能だという。ただしその場合でも、バスをしっかりとコールアップ(深場からひきつけられる)できるルアーを使ったり、水面のルアーに気がついたバスが浮いてくるまでの時間を考慮したポーズ時間の調整が必要となってくる。
バスの視界をかいくぐれ!
芦ノ湖に多く見られるのが、岸際に沈む大きめの岩。バスはこの岩と岸際の間でベイトを待ち伏せしていたり、回遊していることが多く、そこをトップウォータープラグで狙うのがヒロさんのフェイバリットパターン。特に水位が高いタイミングでやりやすい。岩のおかげでアングラー側が死角になるためプレッシャーを与えにくく、バスがいるのなら着水後のポーズ→アクション中の早い段階で反応を得やすい。通称「穴撃ち」
ミノーをトップのように使ってみる
ミノーをトップウォーターのように使うのもヒロさんのおすすめ。特に透明度の高いフィールドで、弱った小魚が水面をただよう様子を再現するのに適しているという。やりかたは簡単で、水面に浮かんだ状態から優しいトゥイッチでお辞儀させるように頭だけ潜らせてポーズを繰り返すだけ。写真はレーベルミノーだが、ログやロングAなどのアメリカンルアーはもちろん、最新の日本製ルアーでも可能。ルアーによって潜り方や波紋のでき方が違うので、色々試してみたい。
ペンシルポッパーC64(コットンコーデル)
●全長:11.43cm●重さ:20.1g
コールアップ性能に優れた ハイアピールペンシル
元々はソルトウォーターで高速リトリーブにて使用されていたルアー。そのルアーをロッドワークで動かすと驚くべきアクションを披露することから一気にバスシーンに広がったという。C64はバス釣りに最適化されたヒロさんの発案サイズで、オリジナルモデルよりも短いながらも太さは変わらない設計になっている。実釣では、ボイオを使っている最中に吹き出した風を考慮し、よりアピール力の高いアプローチを試すべく投入していた。
ペンシルポッパーのアクション。カップがあるのでそこが特徴だと思われがちだが実は違う。長めのボディかつ後方重心により、ロッドワーク時にボディ側面が激しく水面を叩きつけることで大きな水しぶきを発生。また、移動距離を抑えたテーブルターンも披露する。大きな音を立てつつ、移動距離も抑えられる。つまり離れた場所にいるバスをコールアップするのに最適な設計となっているわけだ。
捕食音から生まれる競争心
ポップ音とチャガー音を出し分けることで、バスの競争心を煽ってストライクを生み出すこともできるという。つまり、ポップ音で魚が逃げ惑う演出をしたあと、チャガー音を出すことでほかのバスが捕食に成功した! 自分も行かねば! という気持ちにさせるのだという。これは直接的な食性にうったえるわけではないため、空腹状態ではないバスからストライクを得るためにも重要な考え方だ。
芦ノ湖 おススメランチ
『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報
ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!
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