かつては「幻の魚」と呼ばれた高級魚キジハタを狙って実釣取材を行った。 大阪湾を舞台に、地元のエキスパートアングラー藤原真一郎さんが、専用ロッドとなるラグゼ・寧音をフル活用して解説!
●撮影/文:ルアーマガジンソルト編集部
実釣アングラー&実釣フィールド紹介
藤原真一郎(ふじわら・しんいちろう)
激戦区大阪泉南をホームとし、全国各地のフィールドでも数々の実績を上げるライトゲームのスペシャリスト。現場での豊富な実釣経験を持つ行動派でありながら、魚の生態に関する学術書を読み研究する頭脳派でもある。ラグゼのプロスタッフ。
ライトゲーム感覚のロックフィッシュ! 軽さと感度で都市港湾のボトムを攻略!
ラグゼのロックフィッシュロッド「寧音」。見た目は同社のライトゲームロッド「宵姫」のように、細く繊細だ。実は、藤原さんは4〜5年前から、宵姫にベイトリールをセットしたタックルを密かに使用し、新たなロックフィッシュゲームの可能性を模索していた。
長いテストの末にリリースされたこれまでにないロックフィッシュゲーム用ロッド、寧音。そのコンセプトを藤原さんに改めてお聞きした。
【取材時使用タックル紹介】
[カサゴ用(写真上)]
●ロッド:ラグゼ寧音B64ML-solid(ラグゼ) ●リール:アルデバランBFS(シマノ) ●ライン:PEエギULT HS8 0.5号(サンライン)●リーダー:トルネードVハード 2~3号(サンライン)
[キジハタ用(写真下)]
●ロッド:ラグゼ寧音B79MH-solid(ラグゼ) ●リール:スティーズCT SV TW(DAIWA) ●ライン:PEエギULT HS8 1号(サンライン) ●リーダー:トルネードVハード 5号(サンライン)
藤原「寧音のコンセプトとしては、堤防などの港湾エリアで狙うライトなロックフィッシュロッドです。こういった場所では従来のロックフィッシュタックルほどヘビーさを必要としない。使いやすい軽めのリグを使用を想定し、タックル自体も軽く、感度の良さを重視した事が特徴です。イメージ的にはアジングで使用する宵姫と変わらない使い心地をロックフィッシュ狙いに融合させたような感じです。ボトム周辺での釣りやパワーバランスを考慮して、全機種ベイトモデルです」
ベイトリールの採用にはどんなメリットがありますか?
藤原「ラインの出し入れしやすく、リグをボトムの奥深へ届けられる点ですね。その他にもタックルのトータルバランスが大事で、ファイト時にはパワフルな巻き上げで、掛かった魚を根から引き剥がし、キャッチ率を高められます。ロッドを軽くすることが出来たので感度も良くなり、より緻密で繊細な釣りが行なえます」
寧音の特徴である、スパイラルガイドやトリガーレスグリップを採用している理由はなんですか?
藤原「感度と軽さをさらに求めた結果です。スパイラルガイドは感度をそのままに、ガイドの装着数を減らせるのがメリット。トリガーレスグリップは軽量化の他にも、タックルの握り込みに自由度も持たせられます」
今回用意した2本のタックルの使い分け、ルアー等の小物類について教えてください。
藤原「ターゲット別に、キジハタ用とカサゴ用を用意しています。キジハタ用では、2日前の練習釣行で50cmオーバーのキジハタをキャッチしています。大型サイズに対応できる強めのタックルと、小型用といった使い分けです。ルアーは3in台のホッグやシャッドテール系のワームがメインです。テキサスリグや直リグ、フリーリグ等で使用します。リグは場所によってスタック(根掛かり)しやすい場所があるので地形によって使い分けています」
ラグゼ 寧音は、用途に応じて4機種から選択可能
軽さと感度にこだわった寧音は、全モデルに高弾性のソリッドティップを採用。繊細な操作に必要な張りと、バイト時の食い込みの良さを両立させている。また細身の高弾性カーボンブランクは、ライトなセッティングに合わせて適切に曲がり、トルクフルな引きをロッドの対応する。
ラインナップは、今回持ち込んだ50cmクラスの大型キジハタまで対応する長尺モデルB79MH-solidと、カサゴ狙いのライトモデルB64ML-solid。その他に中型サイズのキジハタ狙いに適したオールマイティモデルのB74M-solid。重めのリグやジグ、ボートゲームを想定したパワーモデルのB70H-solidの4モデルを用意。藤原さんは寧音をバチコンアジングや尺メバル、チヌ狙いにも使用している。さまざまな釣りに対応する高い汎用性も魅力のベイトロッドだ。
トリガーレスグリップを採用
同じくラグゼブランドがラインナップする、アジング用シリーズ宵姫の上級モデル「天」を彷彿させる、カーボンパイプリールシートをラグゼ寧音も採用している。
シート自体の凹凸や滑りにくい加工を施し、ベイトロッドに付き物のトリガー部まで削減。軽量化と感度向上に徹底している。
藤原「自分の使いやすいよう、自由に握り込んで使ってみて下さい。ルアー操作やバイトを取る際の感度の向上や、ロッドの操作性の向上が期待できます」
スパイラルガイドセッティング採用で、感度性能向上!
ラグゼ寧音は、全ガイドに軽量なチタンフレーム トルザイトリングタイプを採用している。ガイドがブランクの上側にあると、ロッドが曲げる際にラインがブランクと干渉し感度に影響が出る。ガイドを下方向へ捻ることにより、重量増となるガイド数を増やさずにブランクとの干渉を解消している。
ちなみにガイドは、グリップ側2つのガイドを真っ直ぐになるように継ぐと、先端ガイドが真下を向くようにセットされている。
ロックフィッシュゲームにおけるベイトタックルのメリット
ラグゼ寧音は、キジハタなどのロックフィッシュをターゲットとする専用ロッドだ。では、ベイトロッドは、ロックフィッシュを狙う上でどのようなメリットをもたらすのだろうか?
スポットのより奥深い場所へリグを届け、緻密に誘える
消波ブロックや敷石の隙間や穴は、リグが届けられないほど深くなっていることが意外と多くある。ベイトタックルはそのようなポイントでクラッチを切り、再度ラインをフリーにすることでリグを奥深くまで届け繊細で緻密な操作が行ないやすい。
パワフルな巻き上げでファイトを制す!
根に潜る習性があるターゲットは、海底から離すようなやりとりが必要。スピニングではパワー不足でリフト出来ず無理して切られる事になりやすい。ベイトリールは巻き上げるトルクがあり、細糸でも良型でも最初の抵抗を抑えやすい。
トータルバランスをマッチさせればトラブルレスで展開できる!
バックラッシュなどのトラブルは発生しないという藤原さん。「テンションがかかりラインが噛み込んだ状態のキャストは慎重になりますが、PEラインの使用を想定したリール性能の向上でトラブルはほとんどありません。遠投は必要ないので、心配な場合は糸巻き量を70mほどに少なくすると良いです」
ラグゼ寧音は、かなり個性的な特徴を持った、従来にないロックフィッシュロッドだが、そこには、プロデューサーである藤原さんのこだわりがふんだんに詰まっており、全てに理由があることがわかった。
この前提を踏まえて次の記事では、実際にキジハタを狙う実釣を行う。ロッドの活用法からキジハタ狙いのノウハウまでを解説していく。乞うご期待!
ルアーマガジンソルト2023年8月号に記事掲載!
2023年6月21日に発売した、ルアーマガジンソルト2023年8月号には、今回の記事の全文が掲載されているので、気になった方は、是非とも本誌でチェックしてみてほしい。