TALEXとともに目指す世界の頂点!藤田京弥の瞳に映るバスフィッシングの近未来

「小学生のときに買った中古のサングラス」。これが藤田さんとタレックスの出会いで、購入理由は釣りが上手くなるため。およそ15年の月日が流れた今、藤田さんはバストーナメントの本場アメリカで戦っている。タレックスの偏光レンズ越しに見据えるのは世界の頂点だ。

●文:ルアマガプラス編集部

2024 シーバス特集

藤田京弥

ふじた・きょうや
1996年埼玉県出身。2017年にJBトーナメントにデビュー。翌年JBトップ50に昇格すると初年度で優勝&年間ランキング2位。2019年と2021年にはAOYを獲得するなど国内最強アングラーの地位を不動のものとし、2022年からB.A.S.S.バスマスターオープンシリーズに参戦。本場アメリカでも得意のサイトフィッシングと魚探サイトで破竹の勢いをみせ、わずか1年でエリートシリーズ昇格を果たす。エリートデビューイヤーは7戦を終えた時点で年間ランキング15位、ルーキー・オブ・ザ・イヤーランキング2位につけ、残り2戦で巻き返しをはかる。

釣りが上手くなるために”TALEX”という選択

「良く見える」が大躍進の原動力

藤田京弥。

弱冠27歳にして日本のトップバストーナメンターに君臨。現在はバストーナメントの本場アメリカのB.A.S.S.に活躍の場を広げ、世界のトップを目指している。この勝負師の源流が少年時代にあった。

藤田「子供の頃からバス釣りを本気でやっていたんで、小学生の全財産を釣り具につぎ込んでいました」。

そんな藤田少年が小学校の高学年時代にお小遣いをやりくりして手に入れたアイテムの一つが、タレックスの偏光レンズを搭載したサングラスだ。

藤田「1000円ぐらいの安物を使っていたんですけど見え方に不満がありました。もっと魚が見えれば釣果につながるんじゃないかと思って中古のサイトマスターを買いました。たしか1万円くらい。当時、雑誌などでサイトマスターは良く見えると書かれていて、タレックスのレンズが入っているのも知っていました。買ったのはブラウン系のレンズでスーパーライトブラウン。中古なのでレンズカラーの選択肢はなかったですね」。

これが藤田さんとタレックスの出会い。中古とはいえ小学生で偏光グラスに1万円は本気の現われ。

藤田「それを20歳近くまで使って、もう少しレンズが大きくて視野の広いものが欲しいと思い、サイトマスターの青木(大介)さんモデル(キネティック)を買いました。レンズも2色必要と感じていて、スーパーライトブラウンとイーズグリーン。金額的に2本買うのは、めちゃめちゃ勇気がいりましたけど(笑)」。

それくらい藤田さんの釣りで、偏光グラスの重要性が高いということだ。

藤田「当時は釣り具を買う予算も限られていて、自分がより上手くなるには何が必要か、買うべきものに優先順位をつけて一つずつそろえていきました。その中でロッドやリール、魚探よりも優先順位が高かったのが偏光サングラス。自分はサイトフィッシングが好きなので、より見やすいものが欲しかったんです」。

釣りが上手くなるために描いた道具の優先順位が正しかったのは、その後のJBトーナメントでの活躍が裏付けている。

藤田「あと、このときに買ったキネティックで気づいたのが、イーズグリーンは朝夕用というイメージが強いですけど、自分には日中もすごく見やすかった。今、使っているサングラスも一日中イーズグリーンをかけています」。

現在、藤田さんが愛用する偏光グラスはTLX015(DAIWA)。藤田さんのプロデュースによるDAIWAとTALEXのコラボレーションモデルだ。レンズカラーはイーズグリーン。藤田「自分の目にあっているのか、とにかく見やすい。次の試合に向けて車でロングドライブするときもイーズグリーンをかけています」。

よく見えて快適な視界が過酷なトーナメントで武器になる

エリート第2戦準優勝 サイトで仕留める!

現在、藤田さんが愛用している偏光グラスはTLX015(DAIWA)。ダイワとタレックスのコラボレーションによる藤田さん監修モデルだ。

藤田「開発中にタレックスの担当者の方がすべてのレンズカラーを河口湖に持ち込んで試させてくれたんです。水中を見比べましたけど、自分の目にはやっぱりイーズグリーンが一番見やすかったですね」。

ただ、藤田さんは開発中に一つの懸念があったという。

藤田「サイトマスターはガラスレンズですけど、TLX015はプラスチックレンズに変わる。それが見え方にどう影響するか。でも、1年以上全国のフィールドで実際に使ってみるとその差はほとんどないと感じました」。

藤田さんの要望に応えるべく、ダイワとタレックスが意見交換を繰り返し、2年という開発期間を経て完成したのがTLX015。広い視界はもちろん、フィット感と軽さ、これらが三位一体となった完成形は藤田さんをうなずかせた。

藤田「自分はフレームデザインにもこだわりがあって。サングラスをかけたとき、すべての視野をレンズ越しの世界だけにしたいんです。それ以外の情報や景色がちょっとでも見えるとそっちに意識が向いてしまって嫌だから。TLX015はレンズサイズを大きめにして、頬やサイドの隙間をなくすようにデザインしてもらいました。顔全体にフィットする8カーブで視野も幅広く使える。レンズの端に目線を送っても違和感なく良く見えます」。

偏光性能はもちろん、揺れやゆがみのないクリアな視界を追求するタレックスのこだわりは、当然TLX015にも盛り込まれている。

藤田「アメリカではプラで12時間くらいかけっぱなしのこともあります。エリアによっては、まるで海のような高い波を何度も越えながらポイントを目指すこともあります。フィット感と軽さは正解だったと感じています」。

長時間かけていても目が疲れにくく、クリアな視界と軽さを約束する偏光グラスは選手にとって強力な武器になる。それが早くも結果として現れたのがエリートシリーズ第2戦レイクセミノールだ。

藤田「セミノールは基本、水は濁っているんですけど、河口湖に似たエリアが一ヶ所だけあって、ウィードが水面下80㎝くらいまで生えていたんです。朝だけ、そのウィードの上をフィーディングで泳ぎ回る魚が居て、それが結構でかい。サイトで初日に60㎝くらいの魚も釣ったし、毎日そこでウェイトを稼ぎました」。

得意のサイトフィッシングで、エリート参戦2戦目にして準優勝を果たす。その景色を藤田さんはタレックスの偏光レンズを通して見ていたのだ。

インタビューはエリート第7戦に向けた渡米直前の7月初旬。TALEX認定プロショップのレジーナオプチカルで視力測定後、同店で実施された。ちなみにこの測定結果をもとに視力矯正されたイーズグリーンが藤田さんの偏光グラスに搭載される。レジーナオプチカルの川口さんはタレックス偏光レンズに関する造詣も深い眼鏡のプロ。偏光グラス選びでお悩みの方はぜひ!

レジーナオプチカル
〒410-0802 静岡県沼津市上土町60 TEL 055-962-0049
営業時間:11時~18時 定休日:水曜日

来季のアメリカの戦いはサイトの重要性がさらに高まる

サイトで頂点をつかむ。その目元にタレックス

藤田さんの強みの一つがサイトフィッシング。水中をどのように見ているのかも気になるところだ。

藤田「最初は背景の色とちょっと違うかな、というところを見ます。それはバスに限らず、ストラクチャーを見つけるときも同じです。とくに視野を広くという意識はしていなくて、普段の生活と同じ感覚で見て、〝何かあるな〞と背景と違いがあれば魚かどうかを判断します」。

〝何か〞がバスだったら釣るためのアプローチを仕掛けるが、その手法は状況に応じて千種万様。誌面の都合上、ここでは割愛。

藤田「ただ、ルアーを投げる前に喰う魚かどうかの判断はします。バスが釣り人に気づいていないことが大前提で、魚の体型や色を見ます。ちょっと痩せ気味の魚のほうがサイトで喰わせやすく、太くてツヤツヤしている魚はサイトに限らずルアーで騙すのが難しいです」。

バスのシルエットや体色を見る上でも、より鮮明に見えるタレックスの偏光レンズが役立つ。

藤田「痩せたバスは基本、エビがメインベイトで、いつもお腹を空かせているせいか喰わせやすい。太くてツヤのあるバスは小魚を追い回してる魚。栄養のあるエサをたくさん食べているからルアーに反応しにくい。アメリカのバスは太くてツヤツヤしているタイプが多いです」。

ここに日本とアメリカの戦略の違いが現れるそうだ。

藤田「自分はアメリカのフィールドでエビを見たことがないです。日本はエビがメインベイトのフィールドが多いからスローな釣りにいきがち。アメリカは10㎝くらいのシャッドがメインベイトになってるフィールドが多いからクランクやバズベイトなど、あのくらいのサイズ感とスピードのルアーが効くことが多いです」。

さらに試合もアメリカ仕様の戦い方へのシフトを考えているということだ。

藤田「エリートの前半戦は、春に開催されま。例えば3位に入った3戦目(4月20日〜23日レイクマーレイ)ですけど、ちょっと沖めのディープでプリ(スポーン)のでかい魚を狙って、3月のプリプラクティスでは一日に30ポンドいく日もありました。試合もディープのプリ狙いで勝負したんですけど、日に日にでかい魚がシャローに寄って後半に失速した。来季は状況に応じて、シャローをうろつくでかいバスも視野に入れないといけないと考えています」。

3日目に首位に立ったが、最終日にシャローを撃つアングーに逆転を許す。優勝を目前にしながら、シャローのでかいバスに負けた。それは他ならぬ藤田さんの得意とするサイトフィッシングである。来季、勝つためのサイト力に磨きをかけるためにも偏光グラスの重要性がさらに高くなる。タレックスの偏光レンズ越しに送られる藤田さんの視線の先に、近い将来、エリートシリーズ年間チャンピオンやバスマスタークラシック優勝のビッグタイトルが見えてくるはずだ。

第2戦の準優勝で藤田さんのサイトフィッシングがアメリカで通用することを証明。7月末に再開されるエリートシリーズは今季残り3戦。いずれもスモールマウスバスフィールドで、藤田さんのもう一つの武器、魚探サイトでランキングの大幅なジャンプアップも十分期待できる。藤田「最初は意識していなかったけど、今、ランキング4位のルーキー・オブ・ザ・イヤーは獲りたいですね」。

藤田さんはベストなコンディションで戦うために就寝前に体のストレッチ。目もホットアイマスクやマッサージで疲労回復を促進。藤田「目のトレーニングもやっています。とくに試合前は」。勝つための目のケア。その意識が高いからこそ偏光グラスにも強いこだわりを持ち、選ばれたレンズがTALEXの偏光レンズだ。

「バス釣りの楽しさを深めるサポートをこれからも」by TALEX 薮下氏

藤田さんをはじめ多くのプロアングラーをサポートするタレックスが今年、創業85周年を迎えた。水中を鮮明に映し出し、長時間使っても疲れない釣りに最適な偏光レンズは、次のステージの創業100周年に向けて、どのような景色を見せてくれるのか?  タレックスのプロダクトマネージャー薮下さんに今後の展望をうかがった。

薮下 剛

やぶした・つよし TALEXのプロダクトマネージャーとして、レンズ、フレームなどの開発に携わる。過去、バス釣りに没頭していた当時はビッグフィッシュハンターとして池原、琵琶湖で数々のランカーを仕留めてきた経歴を持つ。現在は、自身の夢を追いかける若手アングラーのサポートにも注力している。好きなレンズカラーはラスターオレンジ。

全工程自社生産で高品質を約束。

タレックスの偏光レンズが釣り人に支持されるのは、水中が鮮明に見え、かけていることを忘れさせるほどの快適さ。ここに尽きる。

薮下「そこにはタレックス製品に込められた2つのこだわりがあって、まず一つが光学性能です。創業当時、タレックスの前身の田村レンズ製作所があった田島(大阪府)の地場産業がメガネレンズ製造だ
ったんです。研磨技術が非常に高く、世界的にも評価されていました。高精度なレンズは使う人を快適にする。この経験が今なおすべての製品に込められています」。

創業当時から受け継がれる光学性能へのこだわり。いわゆる疲れないレンズの根底は地場産業にあったということだ。では、もう一つのこだわりは?

薮下「二つめのこだわりが偏光性能です。偏光レンズ製造にシフトしてからレンズに内蔵する偏光フィルターは、社外から仕入れるのではなく自社で生産し続けています。その理由は、有害な光をしっかり
取り除き、見たいモノだけを情報化するには核となるフィルターが鍵を握ります。タレックスでは独自に開発した高精度極薄フィルターの『雑光®カットフィルター』が見え方のベースと考えています」。

自社生産で高精度、高品質を維持できるわけですね。

薮下「自社一貫生産にこだわることでスペックや基準を守り続けることができます。そこも自社生産のメリットです」。

では今後、新色など新たなアイテムをリリースする予定は?

薮下「85周年を記念してタレックスレンズの視認性はそのままに、使う人が快適にという部分を特化したものを考えています。まだ公開はできませんが、ご期待ください。レンズカラーに関してもテストは常に行っています。ただ、バスフィッシングという視点では、国内外を問わず現在ある17色(限定カラーを除く)で、ほぼすべてのフィールドと天候、水質に対応できると考えています」。

カラーが豊富だから選ぶほうとしては迷いますが…。

薮下「もちろんフィールドで全色試せればベターですが、そうもいかないですよね。迷ったらぜひ、タレックスの直営店や全国各地の認定プロショップにお越しください。実際に体験レンズを通して景色を見ることで目に馴染む色、見やすいと感じる色を選んでいただくのが一番です。あと、実際に多くのアングラーと話をするなかで、トゥルービュー系が見やすいと感じる方は、明るいイーズグリーンも見やすい傾向にあります。バスフィッシングは、できれば偏光グラスを2本持つのがベターですからね」。

複数のレンズカラーを持っていたほうが良い理由は?

薮下「早朝と昼間の光量の違いはもちろんですが、日中でも木のオーバーハングの下など、自分が陽の当たる場所にいても、見たいスポットが日陰ということもあります。その場合、ローライト用レンズの
ほうが視認性が高まります。サイトでもう一段深いところを見るときにレンズカラーを使い分けると、見えなかった魚影を見つけられることもあります。水の中が見やすくなることで、新たな発見や気づきが生まれます。なので、皆さんにサイトフィッシングの面白さや奥深さをもっと味わってほしいですね。見えることでバス釣りそのものの楽しさも増します。そのお手伝いをタレックスはこれからも続けていきます」。

タレックスはレンズ機能を最大限発揮させるために、コラボレーションブランドのフレーム開発にも積極的に携わっている。藤田「京弥くんのTLX015(DAIWA)も設計段階から意見交換を繰り返して日本人の顔にフィットするように細部まで工夫された専用の8カーブフレームです」。

視力に合わせて度数を矯正した度付きレンズが高品質なのもタレックスの偏光レンズの魅力。創業当初からのこだわりである光学性能の高さが受け継がれ、トップアングラーからの信頼度も高い。

インタビューでご協力いただいたレジーナオプチカルさんにもTALEXの体験レンズを常備。店から50mほどの距離に狩野川が流れ、水中の見え方もチェックできる。TALEX認定プロショップにはタレックスの偏光レンズに詳しいスタッフがいるので、アドバイスをもらいながら自分に合った偏光レンズが選べる。