奥田学のフリースタイル釣行!タフコン乗り越え、香川と徳島を釣り尽くす!

でかバスハンター・奥田学さんによるフリースタイル釣行記の第2回目は、再び四国へと上陸。前回主に巡った愛媛県を外し、今回は香川県と徳島県へ。またしても大成功を迎えたことは言うまでもない。だが、そこへと至るまでの背景には多難な紆余曲折があったのだった…。

●文:ルアマガプラス編集部

2024 シーバス特集

【Ptofile】

奥田学(おくだ・まなぶ)
ビッグベイトやアンブレラリグなどストロングスタイルを主軸に、現場最大級のバスを仕留め続けるMr.バンタム。当連載ではバスのみならず、淡水海水の大物ゲームに挑む氏のフリースタイルをお届けする。

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自らの足でサーチから始まる奥田スタイル

「何も語ることはないわ…」

釣行初日を終えた奥田さんに、当日を振り返ってもらうと、ため息交じりでこう語ったのだった。

「大雨の後ってことはわかっとる。けど、2~3日経っても、まだどこも水が回復しとらんとは…」

この日は香川・府中湖を最初に県内各所を巡り、最終的には徳島・旧吉野川に至るまで計4フィールドへと向かうも全てが水に生命感を感じさせない白濁り…。ベイトはおろか、バスの姿を一度も見かけることはなかった。

どこへ行っても“しろ・シロ・白”濁り!

6月初旬、日本全国を襲った線状降水帯の被害は漏れなく四国へも及んでいた。帯が過ぎ去ってから2日を経ても水色は回復せず、巡ったフィールドは全て白濁り。「影響の少ないフィールドを探すしかない」釣行初日はまずリサーチすることが第一義となった。

「それでも打つ手がないことはない。けど、今回はビッグベイト主体に展開していきたかったもんで、無理があった。最終的にはフィネスまで手を出して、1尾をひねり出すことはできたけど…当初思い描いていたような展開じゃない。でも、まぁ、明日からはほかを探せばいいだけやね」

この日に巡ったフィールドはネガティブ要素として全て見切り、翌日からは「新たなフィールドを目指せばいいだけやね」と奥田さんは前向きに捉えた。ただし、これから巡る場所の水が好転しているかどうかは未知数だ。

「ただひとつポジティブに捉えたいのは、どこへ行ってもアングラーが多かったこと。バス釣り人口は下降気味? いや、そんなことないやろ、ねぇ?」

各所で多くのファンからのお声がけに快く対応する奥田さん。翌日はきっとファンの期待応えるべく、本領を発揮してくれるはずだ。

「“釣った”とは言えない。“釣れてしまった”やわ…」

マグナムスワンプクローラー+ネコリグでキャッチ。コンディション不良の中、「丸一日ゼロはマズイやろ」と最終的にフィネスへとスイッチするや即座にキャッチ。だが、奥田さんを満足させる1尾ではない。「パターンも何も語ることができない…」翌日の奮闘に期待だ。

香川グルメ

府中湖至近の老舗名店「山越うどん」

「間違いない名店やね」府中湖に訪れた際には欠かさず訪れるという奥田さんイチ推しの名店。“かまたま”と冷たい“かけ”の「小」に天ぷらトッピングの2杯食い。「何杯でもいける(笑)」

現場最大級を仕留めるためにすべきこと

いち早く回復し始めた水域で手始めの2尾!

「水が良くなっているとエエんやけど…どうなんかなぁ?」

2日目早朝、奥田さんの駆るキャラバンは一路、徳島県の山間部リザーバーを目指す。前情報や現地ガイドを要せず、自らの足を頼りに当日の答えへと繋ぎ、そして現場最大級の個体を捕らえるのが奥田さんの流儀だ。

「結果的に『ゼロワン』ゲーム(注:0尾か1尾か)になってしまうこともあるけど、それが俺のスタイルやから。…お? ここまで巡ってきたフィールドに比べて、だいぶ水がマシやぞ!」

現場へと向かう道中に川面を見て笑みを浮かべる奥田さん。「マシ」とはいえ、多少の白濁りは未だ残っている。到着してみれば、およそ3年ぶりに訪れたリザーバーは、地形が大きく変わっていた。

「一昨年の秋に重機が入ったんやて。足場がかなり良くなったと共に、アングラーの数も増えたね。まぁ、エエことや」

先行していたファンとの会話から得た情報でフィールドの様変わりを認識。雨前は沖のインビジブルで好反応とのことだったが、今は雨後。敢えて奥田さんは別の手段を講じることにした。

「見える魚はおる。けど、なかなか手ごわい。プレッシャーが高いんやろね」

とは言うものの、朝の3時間ほどで2尾をキャッチ。うち1尾は何と50UP! この時点ではこれがクライマックスかと思えたが、実はさらなる驚愕の展開が待っていたことを取材班はまだ知らない。

「左右どちらの肩掛けもOK。たっぷり収納、使い勝手◎」

「俺は左肩掛け派。でもそれは人それぞれで好みは分かれるけど、スリング変更でどちらにも対応」超便利! ワンタッチでコード調整可能で、大きく開く開口部と各種ポケットは収納力が高く、生地や開けやすいファスナーもタフ仕様。「今回から導入したけどフィット感も抜群」今後は別売りパーツでカスタム予定。奥田さんはMサイズのブラックを使用。

ルアーローテ時は背中から前へ回して、収納したBOXを取り出しやすいところも奥田さんのお気に入り。

「白濁なんて関係なく、表層に出る奇策や」

水色の「マシ」なリザーバーで早朝に2尾を仕留めた後は、桑野川を始め徳島県内5カ所をリサーチ。とある山間部リザーバーでは、水は白濁するもショアライン沿いに数多くのスタンプ。「食わせどころがあるなら、コレや」とBtフォースの表層トゥイッチ。「飛沫とバブル、そして波動にサウンドで濁り関係なく出る…出た!」が、惜しくも乗らず…。

Btフォース(シマノ)

腹の色で使い分けるトップ・ローテーション

この日、もうひとつ登板頻度が高かったトップウォーターがリザードクローラー(シグナル)。「経験上、腹の色は白やパールの膨張色が基本。クリアでは黒でシルエット強く、シャローは赤とか。今は白黒ツートンをテスト中」ほかにない色調!「動きだけやなく、バスに認識させにくくして食わせるのが狙いやね」

「食わせどころを見つけ、デッドホバが効いた!」

「足場が良くなってアングラーが増えたのは喜ばしいけど、一方で見える魚はかなりタフ化(笑)」口元寸前で見切り、瞬間的なバイトが多発も完全に乗せ切れない事態が多発。「岩の上でベイトが苔を食むような動きにした途端に完全に食い込んだ!」丸呑み!

マルチシャッド4インチ+プロップフック(共にシグナル)

51.5cm!

「釣れるのは5投前からわかっていた」

苦闘半日、タフを知りながらも答えを探す

「自然てこんなもんよね…。思い通りの釣りをさせてくれない」

前日は早朝に2尾を仕留めた後、さらなる好場所を求め、桑野川を始めとする徳島県内のフィールド計5カ所を巡った。ところが、目ぼしい水色を擁した釣り場は皆無。最終日に絞り込んだのは無論、前日2尾を仕留めた山間部リザーバーだった。

「昨日はカレントも効いてたし、魚も見えた。けど、今日はどうなっているかはわからんよ。あれっ? 今日は先行者がたった1人だけや…地元の方にしかわからない悪い日なのかな?」

小雨が降る気象情報も影響したのか。そう勘繰りもしたが、釣りを進めるに連れ、奥田さんは焦燥感を増していった。

「アカン…。同じ魚しかおらんし、ルアーを見に来て軽く食むけど、全く乗らない…。魚のテンションが今イチ上がり切ってない。昨日に比べてかなり減水しとるし。夜中に放水して高活性時は過ぎ、今はニュートラルなんやろな、多分」

朝から昼までにバイト数だけなら2ケタを越えた。しかし、キャッチはゼロ。奥田さん、万事休すなのか…はたして…。

「魚のモードが変わる瞬間は見逃さない」

「これだからバスフィッシングはやめらんない! 取材班は諦めとったやろ?(笑) 俺はこの魚を獲る5投前くらいから、絶対釣れると思っとったで」

およそ半日の沈黙を打ち破り、ついに仕留めたのは昨日のビッグを超える超大型! ヒットした後、ランディングしやすい場所へと魚を誘導して見事にキャッチするや、谷間に反響する咆哮と共に天へ腕を突き上げた。53cm。胸が空くほどに感動の大団円を迎えたのだった。

「反応が徐々に良くなってるのがわかってたんよ。もっと精度が高くなれば食うはずやと」

奥田さんはこの魚を獲る直前に、カニ型ワーム・コブシ(シグナル)を岸際に落として「岸ギリに追い込んだ時の反応が段違いだった」ことに気付いた。「ならば彼らが追い回してる小魚型のマルチシャッドに」スイッチするや、逃がしのテクで即座に!

「今回改めて感じたのは『一瞬のリアクションも大切やけど、マッチ・ザ・ベイトは魚を洗脳できる』ってこと。タフ・コンディションでも釣り方次第で何とかできるもんやね」

現場の鼓動に自らを同調させることで、見事な結果を得た奥田さん。今回も最高の気分で釣行を終えることができた。

「あともうひとつ言えるのは『徳島県は50UPしか釣れない』ってことやね(笑)」

昨季陸王戦桑野川で仕留めた2尾に続き、今回も50UP2尾。この快進撃は、当連載でなお続くはずだ。

バスの背が出る激浅場、逃げ場失う小魚を演出

水深20cmにも満たない岸沿いへと高精度にシュートしたマルチシャッド。回遊するバスがその姿を発見したのを確認するや、鋭いジャークで逃がしのテクで即バイト!「食ったのはリアクションやけど、見付けさせるためのマッチ・ザ・ベイトはもっと重要」

奥田学使用タックル

「陸っぱりで遠投性能と汎用性の高さを求めると、どうしてもこの2本になる」前回同様のバンタムが主軸。今回初登板となったディスラプションは大型バスを誘い出すべく、サーチとしての役割に。「次回はディスラプションが主軸になると思うよ」はたして奥田さんはどこへ向かうのか。次回もお楽しみに。

上[ジャイアントベイト用]
●ロッド:ディスラプションBIGBAIT C78-XXXX(シマノ)●リール:カルカッタコンクエストMD 300XG LH(シマノ)
●ライン:アブソルートAAA30lb(バリバス)
中[Btフォース、リザードクローラー他用]
●ロッド:バンタム1711MH+SB-2(シマノ)
●リール:バンタムXG RIGHT + 夢屋ウルトラストロングハンドル48mm(共にシマノ)
●ライン:アブソルートAAA20lb(バリバス)
下[マルチシャッド他用]
●ロッド:バンタム274M+(シマノ)●リール:ステラC3000XG+夢屋ハンドルノブEVAパワーラウンド型(共にシマノ)
●ライン+リーダー:ピットブルG5 1号(シマノ)+フロロカーボン16lb

徳島グルメ

旧吉野川至近の徳島ラーメン『ひろっちゃん』

旧吉野川・広島橋付近に立地する徳島ラーメンの名店は、バスアングラーに大人気。「多くの店が昼営業後は、夕方まで中休みを取る中で、通し営業なのは我々にとってうれしい限り」ちょっと遅い昼食も可能。ラーメンのみならず、餃子や炒飯、唐揚げなどのサイドメニュー豊富でいずれも絶品だ。

当釣行での奥田さんの勇姿はムービーでも鑑賞できます!

奥田さんの当釣行『フリースタイル365days』第2回の模様は、今後のルアマガプライム及びルアマガYouTubeチャンネルで公開予定!

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!


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