「瀬泊まりして2〜3日投げないと釣りをした気がしない」九州のハードロックショアアングラーが思う最高の1尾とは?

磯で大型青物に挑むロックショアゲーム。技術、経験、体力、英知など釣り人の総合力が問われる釣りだ。「ただ、でかい青物を獲るのがすべてではないです」というのは、孤高のロックショアアングラー、上津原さんだ。「大事なのは自分が納得のいく釣りをすることと、無事に家まで帰ること」。上津原さんのロックショアゲームの愉しみ方に迫る!

●文:ルアーマガジンソルト編集部

2024 シーバス特集

アングラー&フィールド紹介

上津原 勉(うえつばら・つとむ)

熊本県在住。小学生で父に連れられ磯泊まりを経験して以来、磯釣りにどっぷり。現在は九州西部をホームに活躍するロックショアゲームのエキスパートだ。昨年秋に男女群島で26.3kgのカンパチを仕留めるなど大物捕獲の実績も多数。シマノのソルトモニター。

長崎県・上五島
長崎県本土と五島灘を隔てて浮かぶ島々が五島列島。その北部が上五島だ。周辺は対馬暖流が流れ、生息する魚は種類、数ともに豊富。磯釣りのメッカとしても知られている。ベイトフィッシュも多く、青物狙いのロックショアアングラーなら一度は訪れたいフィールドだ。

タックルの性能をフルに引き出すには釣り人も鍛錬!

ロックショアゲームの醍醐味は過程を楽しむ。釣り場に合わせたタックルセレクトも過程の一つだと思いますが、どんなタックルを選べば?

上津原「僕はこの釣行で、ロッドはコルトスナイパーリミテッドを使いました。ロックショアで使うロッドは10ft以上でパワフルなものが多い。その中でもコルトスナイパー リミテッドは軽くてシャープ。でも粘り強いという特徴があります」

その特徴が実釣ではどんなメリットをもたらしますか?

上津原「キャストしやすく、ルアーの操作性が上がります。粘り強いというのは、魚をかけて高負荷がかかると思い切り曲がる。でもバットは強いから魚を止めることができる。釣り人の負担を減らして思い切りファイトできます」

やはりロッドは専用モデルがマストということですね。

上津原「同じショアゲームのシーバスやサーフと比べるとロックショアのタックルはヘビー。今のタックルは比較的誰でも扱いやすく設計されていますが、やはり体力や技術があるほうが釣りの精度が上がります。タックルを使いこなすためにはトレーニングも欠かせません」

魚の反応がなければラン&ガンで潮を探す
ルアーを替え、誘い方を変えても魚の反応がなければ動く。上津原「潮の流れが当たる瀬など可能性のある場所を探します」。ロックショアゲームは機動力も武器。安全第一かつ動きやすいウェア、装備で磯に立とう。

ではルアーに関しては?

上津原「ロックショアはダイビングペンシルをはじめとするトップ系とメタルジグの2本柱になります。トップには出ず、メタルジグにしか反応しないこともありますからね」

おすすめのルアーは?

上津原「これが釣れる! ではなく状況に応じて良く使うルアーは紹介できます。狙う場所や使い方など自分なりに色々試して答えを見つけてもらえればと思います」

上津原さんのタックルを参考に磯に立てば、自分なりのロックショアゲームのクライマックスが体感できるはずだ。

上津原さん使用タックル&ルアー

今回の実釣時に上津原さんが実際に使用したタックルは主に3セットとなる。

上津原「コルトスナイパーリミテッドは、キャストやルアーを動かすときの操作感が軽くてシャープ。でも魚をかけるときれいに曲がって粘り強い。操作もファイトも釣り人の負担を軽減してくれるロッドです」

【メタルジグ用】

  • ロッド:コルトスナイパー リミテッドS98XH-JS (シマノ)
  • リール:ステラSW14000PG(シマノ)
  • ライン:オシア8PE 6号(シマノ)
  • リーダー:オ シアナイロンキャスティングリーダー 40号(シマノ)+フロロカーボンリーダー 40号 

【プラグ用】

  • ロッド:コルトスナイパー リミテッドS104XH- PS(シマノ)
  • リール:ステラSW14000XG(シ マノ)
  • ライン:オシア8PE 6号(シマノ)+スペ ーサー PE15号 3ヒロ
  • リーダー:フロロカーボンリーダー 40号 約3m 

【50~60gのプラグ&100g以下のメタルジグ用】

  • ロッド:コルトスナイパー リミテッドS100H(シマノ)
  • リール:ステラSW8000HG(シマノ)
  • ライン: オシア8PE 5号(シマノ)+スペーサー PE12号 3ヒロ
  • リーダー:フロロカーボンリーダー 30号 約3m

上津原さん必携メタルジグ3選

コルトスナイパー アテジオ80~130g(シマノ)

足元に向かう当て潮できっちり動く
上津原「立ち位置に向かって潮が流れる当て潮のときは、流れに押されてジグの動きが緩慢になりやすい。アテジオは流れの抵抗が弱い状況でもしっかり潮を噛んで動き、魚を誘うことができます」

コルトスナイパー ロング60~120g(シマノ)

軽い入力でロングダートが可能
上津原「細長いシルエットで水抜けが良く、軽い力でスライド幅の広いロングダートが可能です。流れの抵抗が強い払い潮のときも水を切るように足の長いダートをみせます」

オシア ロングウェーバー160g(シマノ)

フォール中のローリングでも誘える
「引き抵抗が軽く、スライド幅もワイド。フォール中はローリングで誘える。オフショアだけでなく磯でも実績のあるジグで、コルトスナイパーのジグにはない160gを良く使います」

上津原さん必携プラグ6選

オシア ヘッドディップ175Fフラッシュブースト (シマノ)

ハイアピールで青物を誘い出す
上津原「ダイビングで横にブリブリ動き、水面でバシャバシャと飛沫を出すこともできる。アピール力のあるダイビングペンシルで、アクションの違いで別注平政と使い分けます」

オシアペンシル別注平政160F/190F/220F(シマノ)

足場の高い磯でもキレの良いダイブ
上津原「飛距離が出てダイビング性能が高い。足場の高い磯でもスパーンッと潜らせやすく、スピーディに動かしやすい。サイズが豊富で大型の220Fが効くこともあります」

ロックスプラッシュ140Fジェットブースト(シマノ)

水面下のクイックなアクションが得意
上津原
「ロックスプラッシュとは対極で、水中にスパーンッと入れやすいタイプ。水面には出さず、水面下をクイックなアクションで誘いたいときに良く使います」

コルトスナイパー ロックダイブ160Fジェットブースト(シマノ)

小さめのシルエットが効くときに投入
上津原
「小さめのルアーに反応が良いときがあります。ロックスプラッシュは小型でもヘッドディップと同じようにブリブリと泳ぎながらダイブ。これしか喰わないという状況もあります」

オシア ボムディップ170Fフラッシュブースト(シマノ)

ボディに不釣り合いな大音量が強み
上津原
「ボムディップは水中にボンッと大きい音を響かせやすい。アピール力があってボディはそこまで大きくないので喰わせやすい。ポッパーが効くときも必ずありますからね」

オシア バブルディップ180F/220Fフラッシュブースト(シマノ)

ハイピッチなポッピングで誘い出し
上津原
「細身でカップが小さめなので、スプラッシュをともなう小刻みなポッピングが得意。ボムディップの一回一回明確なポッピングとアクション、音の違いで使い分けます」

実体験を積み重ね一生の想い出に残る魚と出会う

上津原さんのロックショアゲームは、瀬泊まりもこだわりの一つ。

上津原「瀬泊まりをすれば、夕マヅメのチャンスを最後の最後まで楽しむことができる。朝マヅメも誰よりも早く釣りができます」

朝夕マヅメのチャンスタイムが伸びれば、大型青物と出会う確率も上がるはずだ。

上津原「釣りで有利なだけじゃないです。夜は次の日のタックルの準備をするだけでワクワクするし、夜釣りでアラを狙っても良い。星空を眺めているだけでも心地良いです。瀬泊まり自体も楽しいというか、僕にとってロックショアと瀬泊まりはセットで考えています」

瀬泊まりはロックショアゲーム入門者には敷居が高そうに思えるが、一度は体験したいこの釣りの一部でもある。

上津原「瀬泊まりしないと釣りした気がしないんです」
瀬泊まり(磯泊まり)のメリットは、朝夕マヅメの好機をフルに活かせること。上津原「夜は日中の実釣を踏まえて翌日の釣りの準備。この時間もワクワクします(笑)。とにかく泊まって投げ倒さないと釣りをした気がしない(笑)」。初めて瀬泊まりをする際は必ず経験者と同行し、安全に十分配慮しよう。

上津原「僕は瀬泊まりして2〜3日投げて疲れないと釣りをした気がしない。これは瀬泊まりをすすめているわけではなく、自分の体力、経験、技術に応じて、無理をせずにロックショアに取り組んでほしいですね」

経験を積み重ねていけば、きっと瀬泊まり釣行をしたくなるに違いない。では、豊富な経験を持つ上津原さんは今後のロックフィッシュゲームにどのような展望を?

上津原「確かに僕自身もでかい魚が釣りたくて同じ磯に通ったこともありますが、今は志向性が変わってきました」

 というのは?

上津原「釣れるとわかっている場所より、釣れるかどうかもわからない初めての磯に行くほうが楽しい。準備の段階もそうだし、現場でもがき苦しむかもしれないけれど、そうして手にした魚はサイズに関係なく一生の想い出になります。たとえ釣れなくても、その釣行のクライマックスは必ずきます」

大型バッカンで魚へのダメージを最小限にリリース
上津原さんは、実釣時に横幅1mの大型バッカンを簡易イケスとして利用。上津原「リリースする魚はできるだけやさしく扱いたいですからね。交通手段などによって持ち運べないとき以外は、できるだけ磯に持ち込みます。ロケではカメラマンさんにゆっくり撮ってもらえますし」

過程を大切に釣りに取り組み、結果として大型青物が出れば最高潮の到達点はさらに上がるはず。上津原さんが目指すロックショアゲームは、そこだ。

上津原「本州の日本海側の磯はほとんど行ったことがない。今後、挑戦してみたいですね」

上津原さんにも未踏の磯がある!? …上津原さんの志向や実釣スタイルは、ルアーマガジンソルトの好評企画『アウェイの洗礼』にもまさに適任。今後、上津原さんがどんな釣りを魅せてくれるのかにも注目だ。

魚のサイズに関わらず、1尾1尾と真摯に向き合う
上津原「思いどおりの釣りができたか。魚のサイズに関わらず、1尾1尾と真摯に向き合いたいですね。大型青物に固執して情報に頼りすぎると、ロックショアの醍醐味や面白さがあまり感じられないと思います」。納得のいく釣りができれば、たとえ釣れなくてもバラしても、そこにロックショアゲームの魅力を見出せるということだ。

ルアーマガジンソルト2023年8月号に記事掲載!

2023年6月21日発売のルアーマガジンソルト2023年8月号には、今回の記事の全編が掲載されている。気になった方は、是非とも本誌でチェックしてみてほしい。


※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。