《釣れるトップQ&A》最適なのは晴れ? ローライト? 出たらデカいってマジ?

オールドタックルで遊ぶ世界からトーナメントの最前線まで、さまざまなアングラーに愛されているトップウォーターの領域。諸説あるセオリーや常識をあたらめて見つめ直してみよう。

●文:ルアマガプラス編集部

2024 新製品情報

明石光正

「アカシブランド」代表。遊び心と機能性を両立したルアーを数多く生み出し、四半世紀に渡ってトップウォーターシーンに彩りを与え続けている。

川島 勉

亀山湖のロコとして脚光を浴び、パワーゲーム主体のスタイルで房総リザーバーの釣りを一変させた。2022年に「BETO BETO」を立ち上げフー155Fを発表。

藤田京弥

国内の主要タイトルを総ナメにして今年度はバスマスターELITEシリーズに参戦中。6戦中2戦でトップ10入りするなど、脅威の新人として全米でマークされつつある。

Q「ほかのジャンルとは違うトップの強みは?」

僕は基本的に潜るルアーを使わないので比較しづらいですね。ただし魚を引っぱる力が強いのはたしか。遠くのボトムに置いたルアーには気づかなくても、水面なら離れたところからバスを呼べる可能性がある。

水面にあるエサは無防備で追い込みやすい。バスからすれば「食いやすい場所にエサ(=トップ)がある」って感覚だろうなと思ってます。

たぶん、いちばん重要なのは「水中にプレッシャーをかけないこと」。たとえば同じスポットを複数のルアーで攻めたいなら、ぜったいにトップから投げるべきです。遊びの釣りだと思っている人がいるかもですが、僕にとっては「水面を利用して食わせやすいルアー」という認識です。

Q「これぞトップの名作!と思うアイテムは?」

最近になって再認識したのはヘドンに代表されるアメリカンルアーのすごさ。チープに見えても機能面は考え尽くされていて、キモを確実に押さえてるんですよ。

バグリーのマイティーミノースピナーは大好きでしたね。画期的だったのはクワイエットファンクのデカダンストーイ。当時の房総では「こんなにデカいので釣れるの?」と思われていたけれど、巻くだけで釣れちゃう。ヒヨコブランドのドリラータイフーンと並んで、トップ好きのあいだでは「使っちゃいけない枠」でした。簡単に釣れるから(笑)。

いろいろありますが、アメリカでよく投げているペンシルベイトだとキックノッカーが超優秀。あとはビッグバドですね。あの高浮力で、長めのリップが浅めに設置されていて、ぎりぎりのバランスで成り立っている。後発には超えられない気がします。

Q「トップの威力を痛感したエピソードは?」

ノリーズさんとコラボしてギルトップを作ったとき、夏の琵琶湖でドハマリしたのが忘れられません。ほかのガイドさんが釣れていないタイミングでもボッコボコに出る。過去に経験したなかでもいちばんのインパクトでした。

スポーニングシーズンの房総で、なにをやっても釣れなかったのに、メガポンパドールに55センチ級がドッカーン! と出たんです。いろんな状態のバスがいる難しい時期にトップが効くことがあるんだなぁと。デカダンスを投げていたころにも似たような経験があります。

最近だと2022年のトップ50桧原湖戦ですね。ジョイントフカベイトでラージのキッカーを釣ったんですが、シャローにいて警戒心が強かったので、ロングキャストじゃないと無理だな、と。遠投した先でも浮いていいアクションが出せて、しかもラインやルアーでプレッシャーを掛けない。トップならではの1尾でした。

ギルトップ(ノリーズ×アカシブランド)

ジョイントフカベイト(ノリーズ)

Q「“水面だから騙せる”ってホント?」

レンタルボートもやっている琵琶湖のマリーナを使っていたとき、ほかのアングラーが「ぜんぜん釣れない」というのにトップだけ釣れる、という経験は何度もあります。もちろんその逆も(笑)。

ホントだと思いますよ。「水面」と「水面直下」でも差がつくことがある。

水面のパワーが顕著にわかるのは、河口湖の表層ワカサギパターン。水面に浮くI字系ルアーじゃないとほぼ出ないんですよ。ちょっと水中に入ったり、姿勢が悪いだけでチェイスすらなくなります。

Q「“トップに出たらデカい”ってマジ?」

単純にデカいトップを投げていたり、パワーの強いものが多いからじゃない? 弱めのトップばかり投げれば琵琶湖でも小バスばっかりになるしね。

賢いデカバスを騙しやすい要素のひとつではあるけれど、トッパーさんが投げるような1オンスクラスだと、自然にそれなりのサイズを選ぶことになりますね。

それはウソだと思います(笑)。ただ、ハンドメイドビルダーさんが作るような、ずんぐりむっくりでブレードがついていたりするトップは、でかバスが好きなアクションが出やすい傾向はありますね。

Q「自分の軸になっているトップは?」

最近はペンシルベイトとウエイクベイト系ですね。釣れなくても魚を引っぱってきやすいので「こういうところにいるんだな」と判断ができる。まったくダメならポッパーを放置してみるとか、別の展開にします。

小魚が横にピュンピュン逃げていたらペンシルだし、「……ちゅぷっ」と表層のワカサギを食い上げていたら小さいポッパーやI字系で波紋を出すし、状況次第。水面に気配がなければ好きなものでいっちゃいます。

バズベイト、ペンシルベイト、フロッグはアメリカでほぼ毎回リグってます。ルアーを沈めない、つまり探るスピードが速いので、広いエリアでプラクティスをするときには欠かせません。

Q「トッパーならではの強み」

釣れなくてもやりきれる、ってことぐらい(笑)。今は日本中どこでも難しいから、ライトリグやワームだってある程度やりきらないと答えが出ないじゃないですか。その点、トップの人たちはノーフィッシュに慣れてますんで、心が折れないですね。

トーナメントをやめたあとに反動でトッパーになっていた時期があります。「どういう条件でトップがハマるのか」をひたすら考え続けるので、経験値がものすごく蓄積されていくのが強みかな。

試合でなければずっと投げていたいぐらい、僕はトップの釣りが好きです。特に操作系のトップは上達するプロセスも面白いし、バイトは丸見えだし、バス釣りのなかでいちばんエキサイティング。「強み」かどうかは別としても、トッパーの皆さんはこの楽しさを存分に味わってますよね。

小学生時代の藤田京弥さん。トップはかならず投げるルアーのひとつだった。これはジタバタアライくんのカップが取れたので自作リップをつけ、尻尾にコイルで浮くタイプのピンテールを付けていた。「よく見ると、当時からちゃんとナイロンラインを使ってますね(笑)」

Q「トップに最適なのは晴れ? ローライト?」

基本はローライトですね。ただし晴れたほうがカバーに寄るのでフロッグで釣りやすかったり、的を絞りやすいとも言えます。

個人的にはローライトが好きですが、まだ寒い時期だとローライトの朝はあんまりよくない。ただし夜更けから温かい雨が続いていたら、早春でも朝からトップもアリだと思う。

ローライトですね。晴れの日は圧倒的に朝夕のほうが出やすい。あとはオーバーハングのシェードのなかとか。例外は冬で、房総リザーバーなどは晴れたほうがトップの可能性が高くなりますが、それでもシェードじゃないと出ないと思う。

曇り空の琵琶湖でチニータ N゜5に飛び出したビッグフィッシュ。「反応が多いのはローライト」というのが3人に共通する意見だった。

Q「濁った場所で選ぶトップは?」

ガチャガチャするやつを使います。たとえばスイッシャー系でも、ペラだけじゃなくブレードがついていたり。あとは色を黒やチャートにするぐらいですね。

ジョボジョボいうタイプですね。ハネモノなら、波紋で誘うような弱めじゃなく、水しぶきをあげてくれるアピール系。ダブルスイッシャーを首振りさせたり。ポーズも長めに取ります。

突然濁った場合は存在感を出す必要がありますが、普段から濁った水系なら気にする必要はない。そのなかでエビを食ったりしていれば小さいポッパーや虫系ルアーでも反応させられます。

川島さんがプロデュースしたポンパドール(ジャッカル)。デッドスローではなく、ある程度の速度でアピールさせると生きるタイプのハネモノだ

Q「水がクリアなときは?」

あんまり決めつけないほうがいいと思ってるんです。これを読んだ人が僕の意見に縛られてほしくないので、フラットな気持ちで、現場の状況や生き物を観察しながら考えたほうがいい。

見切られないように素早いアクションのトップを使うか、逆に1点でネチネチ誘うか。あるいは狭い範囲でバシャバシャやってルアーを隠すか。エサの種類によっても変わります。

「クリアだから小さく、弱く」が絶対ではないです。たとえば七色ダムでは一時期でっかいハネモノが流行りましたよね。一方、最近の河口湖は大きめのトップはあまり釣れない。7月ごろからおすすめなのが小さいポッパーで、50アップも混じります。

藤田さんがアーリーサマーの河口湖でテッパンだと語るチャビーポッパー42(ジャッカル)。小さいエサにリンクしていなくても、不思議とデカバスを呼び込んでくれる

『ルアーマガジン』2023年9月号 発売情報

ルアーマガジン史上初めてのスモールマウス×オカッパリの表紙を飾ってくれたのは川村光大郎さん。大人気企画「岸釣りジャーニー」での一幕です。その他にも北の鉄人・山田祐五さんの初桧原湖釣行や、五十嵐誠さんによる最新スモールマウス攻略メソッドなど、避暑地で楽しめるバス釣りをご紹介。でもやっぱり暑い中で釣ってこそバス釣り(?)という気持ちもありますよね? 安心してください。今年の夏を乗り切るためのサマーパターン攻略特集「夏を制するキーワード」ではすぐに役立つ実戦的ハウツー満載でお送りします! そして! 夏といえばカバー! カバーといえば…フリップでしょ!! 未来に残したいバス釣り遺産『フリップ』にも大注目ですよ!


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