オールドタックルで遊ぶ世界からトーナメントの最前線まで、さまざまなアングラーに愛されているトップウォーターの領域。諸説あるセオリーや常識をあたらめて見つめ直してみよう。
●文:ルアマガプラス編集部
明石光正
川島 勉
藤田京弥
Q「どれぐらいの深さからバスを引っぱれる?」
ホームの琵琶湖では基本的に2mまでが僕の射程範囲でした。水深4mでもウイードが2m伸びていればOK。しかしそこにバスがいなかったらどうするか? これは最近のテーマのひとつでもありまして、ライブ系の魚探を導入して深いところまでチェックすることも検討中です。
ほかの人にライブスコープの映像を見せてもらうと、水深3mぐらいの魚は余裕で水面まで上がってくるみたい。食いたければそれより深くても上がってくるのでは?
これはわりと核心をついた質問で、はっきり答えづらいんですが「意外と深いところからは上がってこない」。ちなみにアメリカのスポッテッドバスは水深7mから食ってきたこともありました。
Q「マッチ・ザ・ベイトしてますか?」
めっちゃ考えます。ただ、エサにルアーのサイズ感を合わせるだけがすべてじゃない。3~4cmの小魚を食ってるときに10cmのダブルスイッシャーが効いたりするのは、ペラの回転がベイトに見えてたりするんじゃないかと思うんです。濁りや水面のゆらぎ、カバーを利用することで勘違いさせるとかね。
マッチ・ザ・ベイトしておけば大きく間違うことはない、という感覚です。たとえば夏の亀山湖のワカサギパターンはサイズ感を合わせたほうが圧倒的に食う。
バスはエサに左右されるので、ルアーサイズはすごく気にしますね。意外に見過ごされるのがバズベイトで、ダイナモバズみたいにコンパクトなものがいちばん釣れると思う。ワイヤーが長すぎるものは好みじゃないです。
Q「エサと強烈にリンクするパターンは?」
ここ数年、琵琶湖では大きいサイズのトップがまったく効かないんですよ。ブルーギルが減ってバスの主食がワカサギやアユ、モロコのような細身の小魚に変わってきているからです。今までトッパーが釣っていたのはほとんどギルパターンだったわけ(笑)。どこまでサイズを落とせば釣れるのか試した結果、ポッパーでもペンシルでも7~9cmクラスなら反応がもらえることがわかった。ただ、あまり小さくしすぎると小バスしか釣れなくなるので、ある程度大きい魚も混ざるように作ったのがジークラックさんとコラボしたストラボ、アカシックペンシルです。
いまBETO BETOで「扁平なギル型ボディーで横浮き」のルアーを作ってます。水面まで追い詰められるとブルーギルは横を向いて浮くんですよ。弱ったギルを模しているわけじゃないです。
ハスがいたころの河口湖ではペンシルやビッグベイトで釣れたけど、ワカサギがメインになってからはでかいルアーが釣れなくなりました。逆に大きめのマス類を捕食している池原や七色ダムでは、ジャイアントペンシルも効くタイミングがあると思います。そもそも日本はエビを食ってる水系が多いので、ルアーも小粒なものがハマりやすい。アメリカだとほとんどの湖でサイコロラバーは無視されます(笑)。
Q「ウッド素材には独特なパワーがある?」
ウチのルアーでいうと、ダブルスイッシャーのカポネ・シリーズは素材に関係なく釣れます。だけどノイジー系のサンデームーンやウォブルトータスは、ウッドモデルのほうが断然デカいのが反応するんです。アクションもノタノタ系でキレは落ちるんですけどね。
明快な答えは出せません! ちゃんと検証しようと思ったら、同じタイミングで同じ場所に投げて比較しないとダメだろうから。
あらゆるルアーはウッドのほうがいいアクションが出る、と思ってます。大量生産に不向きだからプラスチックにしているだけで、できれば木か発泡素材がいい。ゾーイがあれだけよく釣れたのも、素材の威力によるところが大きいんじゃないかと。
Q「金属パーツの有無による違いは?」
めちゃくちゃあると思います。音が出るだけじゃなく、光を反射する効果も含めて、金属が効いているなと感じることはある。と同時に、スレやすい印象もありますね。
デカダンスを使いまくっていたころ、アルミの羽根がボロボロになってプラ板で自作したことがあって、普通に釣れました。って考えると「金属パーツだからいい」かどうかは断言できないなぁ。僕はデカいペラのスイッシャーが好きだけど、水面を叩くアクションが出るなら樹脂ペラでいいのかもしれない。その一方、スプーンは金属性が圧倒的に主流だし、一定の比重による効果もあるのだろうと思ってます。
スピナーベイトもそうだけど、ブレード系って不思議な引力がありますよね。トップに関しては回転よりもカチャカチャさせてやったほうが釣れる気がします。
Q「フックの選び方」
僕らのようなインディーズ系ビルダーは、フックをヒートン直付けにしたり、パーツの格好よさにこだわるので、スプリットリングを入れないことが多い。そうするとロングシャンクのフックが必要で、イーグルクローかマスタッドのほぼ2択になるんですよ。刺さりのよさは二の次になることも(笑)。トレブルをダブルに換装するときはワンサイズ上げるのがオススメです。
ボディが太いルアーには、なるべくシャンクの長いものを使いたいですね。あと、ハリ先が内側にネムっているタイプは苦手です。
エサ釣りの影響が強いせいか、日本人はルアーやワームにつけるフックが小さすぎる気がします。ただアベンタRSやフカベイトのように浮力が重要なものは、バランスのとれる範囲で軽いものを選びたい。ショートシャンクが好きですね。
Q「ダブルフックが信用できません」
倒れたアシを乗り越えさせたりするにはダブルフックのほうがいい。でもフッキング率は下がる。どっちを優先するか、ですね。トレブルでもダブルでも、フッキング方法を変える必要はないです。
ダブルフックだから掛かりにくいと感じたことはあんまりないなぁ。ひとつ気をつけるとしたら、シャンクが短すぎるものは避けましょう。お尻ならいいけどベリー部には適していない。
僕も最近は使わないですね。障害物をクリアしやすいメリットがあるとはいえ、どうしても掛かる確率が減ってしまうので。
Q「トップのフッキングの基本は?」
ついついロッドを煽りがちだけど、常に巻き合わせを心がけてますね。
大半はリールを巻くだけでフックアップできます。でも、僕はそんなにたくさんバイトをもらえないヒトなんで、油断してるとびっくりアワセしちゃいます(汗)。
バイトが出たらワンテンポ待ってから、リールを巻くと同時に、ロッドでもアワセを入れます。どちらか片方だけじゃしっかり掛からないことがあるので。ベイトでもスピニングでも、すべてのルアーに関してこれがベストだと思ってます。
Q「出ても乗らないときの対処法」
トップウォータープラッガーの人は、まずフックを研いでください(笑)。9割はそこで解決です。あと産卵期は知らず知らずのうちにネストの上を撃っていて、何度食っても威嚇バイトで掛からないことがある。沖をフラフラしているメスに照準を合わせたほうがちゃんと乗りますね。
気にしません。乗らないバスはそれまで! 「水面を割って出たけど食ってない」ケースもありますからね。ルアーが合っていないのかも、というヒントにはなります。
しっかり食っているのに乗らなければタックルセッティングを疑ったほうがいいです。フックだけでなく、ロッドやライン選びが原因になっていることも。
Q「ルアーやバイトが見えることは重要?」
もちろん、それがいちばんの醍醐味ですからね。たとえ食ってこなくても、小バスやブルーギルが特定のルアーにチェイスするのが見えると、その日のヒントになったりします。
食い方を見るのはすごく勉強になります。ジャッカルの水槽でよく見せてもらったんですが、なにも疑ってないときのバスは一気にパクッと行っちゃうんですよ。ルアーを警戒しているときはフックだけ食ったりして、ちょこんと掛かったりする。
どんなロッドワークをすればルアーがどう動くのか、目で確認できるのがトップの良さ。それがほかのルアージャンルの上達にも繋がります。上手にドッグウォークができるなら、ジャークベイトだってきれいに動かせるはずです。
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