ランカーのみが動く「時合いを読む」
檜山「最後に、私が今まで涸沼で釣りをしてきて夏季に90cmを越えるランカーサイズに的を絞ったお話を少ししたいと思います。
以前から私がお伝えしているのは、大型個体は捕食のタイミングがレギュラーサイズと異なるという事を先ず一つ。
10年近く生き抜いて来た90cmオーバーのシーバスは秋によく目にする事は有りますが、真夏のこの時期にも確実に涸沼に潜んでいます。
居るのだろうがなかなかヒットに持ち込む事が難しく、先に活発でやる気のある60〜70cmクラスがヒットしてきます。それはそれで勿論良いのですが、『俺が狙っているのはこのサイズじゃない!』って方は60cmクラスがボイルする時合いを捨てて、タイミングをずらすことを考えると良いかもしれません。
過去に経験のある方はいるかと思いますが、深夜になり涸沼の水温も下がり朝を迎えるまだ暗いタイミングに一発だけ近距離でとんでもない大きな捕食音を聞いた事があるかと思います。
涸沼恒例の朝マズメのイナッコ出勤ボイルが始まるほんの一瞬。私が最も涸沼で90cm越えを掛けている時間帯です。特に晩夏から秋に掛けて、正にこれからがチャンスな時期に入ってきます。
空がほんのりと明るみ出す明朝、岸際から沖へ向かって泳ぎ出すイナッコが元気でヤル気のあるレギュラーサイズのシーバスに狙われる前に、ご老体である90cmオーバーは
『若い奴らが暴れ出す前にこっそり先に頂いてしまおう!』
と、口を使うのかもしれません(笑)。
そこにストラクチャーやブレイクなどのランカーサイズが身を潜められる何かがあるとチャンスは更に増えるでしょうし、ベイトサイズも大きければ更にアツいかもしれません。
この時間帯は過去の私の経験から言える事ですので、ランカーサイズを狙うにあたりこれが全てではないのですが、確率はグッと高くなると思います」
基本にして王道!「プレッシャーを与えない」
檜山「大型個体だけに限った事では無いのですが、おかっぱりからのルアーフィッシングにおいては、『警戒心を与えない』これが一番重要かもしれません。池で飼っている鯉とは違い野生の生き物は魚に限らず警戒心が強いものです。特に大型個体になったシーバスは危機管理能力が高く、危険を回避してそこまで身体を大きくできた理由も警戒心が強いからでしょう。
そんな魚がもしかしたら足元の護岸やリップラップまで寄っていたかもしれないのにライトを煌々と照らし普通にザクザクと音を立てエントリーするだけで、岸近くに居た魚は逃げてしまいます。涸沼護岸を歩いている時、足元に居た何か大きな魚が波紋を残して沖へと逃げ去るのを見た方は多いと思います。
それはもしかしたらランカーシーバスだったかもしれません。
これは涸沼には限った事ではなく、釣り全般においてです。特にバス釣り経験者の方なら分かると思います。サイトフィッシングに通ずるものです。
私は岸近くにシーバスが居そうなポイントでは抜き足差し足で極力音を立てずにエントリーし、ライトもあまり点けません。エントリーする際、足場の安全確認は勿論大事ですがライトの光量を最小にし、なるべく水面に光を当てないようにします。月明かりがある時は月のシルエットを利用してルアーチェンジするほどです。
そこまでする事でもないかもしれませんが、ランカークラスを狙う際は、特に魚に対しての人為的プレッシャーは極力減らすようにしています。少しでもチャンスを逃したくない、一本でも多く魚に触れたい、ただそれだけです。少し気を使うだけでより多くのシーバスがキャッチ出来るかもしれません。
例外で岸側のイナっこに故意にライトを照射して沖に出しシーバスが近くに寄っているかの有無を確認する時もありますが…(笑)。
私は、ランカーシーバスは大きくなればなるほど警戒心が強いと思っています。それを踏まえてみなさんもより大きなシーバスハントにチャレンジしてみてください。
今回の夏期のランカーへの道は私の思ったサイズが出ませんでした。次回記事の予定は10月。秋のハイシーズンの到来です!私も脚繁く通いメモリアルな一匹を手中に収めるべくランカーハントに挑みたいと思います」
檜山的!夏ランカーシーバスおすすめルアー
今回7~8月のタフな高水温時に活躍した檜山さんイチオシルアーは下記の通り。
檜山的!夏ランカーシーバスおすすめタックル
最後に!
酸素量が少ない水温が高い時期の実釣は、釣り上げたシーバスも弱るのが早いので、キャッチしてからリリースまでは出来るだけ水の中で事を済ませてあげると、蘇生に時間を費やすことなく次のキャストに移れます。
暑い時期は短い時合いに集中して釣りを行うとともに、釣れたシーバスにはダメージを与えないようにリリースする。涸沼問わず、水温が高いエリアでシーバスゲームを楽しむアングラーは是非とも心懸けておきましょう!
※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。