世界中の淡水魚の多くが生息する釣り人の楽園アマゾン。特に著名なのはアマゾン川以北、ネグロ川のツクナレ・アスーと呼ばれるピーコックバスだ。旅するアングラー・前野慎太郎さんに、アマゾン川以南の少しマイナーな地域のピーコック釣りを紹介してもらおう。<【ブラジル1周釣旅】南米アマゾンの怪魚・珍魚を釣るためバックパックを抱え南米大陸を旅した記録・前編>
●文:前野慎太郎 ●外部リンク:ツララ
前野慎太郎さんのプロフィール
前野慎太郎(まえの・しんたろう)
20カ国超!海外遠征を繰り返し「自分だけしか見たことのない景色や魚」を求め、秘境を探しさすらう。地元広島河川のシーバスを始め、国内でもあらゆる釣りにチャレンジ。TULALAフィールドスタッフにして、Routesシリーズ開発担当。XBRAIDサークルメンバー
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ブラジルとは?
南米大陸で最大、世界で5番目に大きな国土を持つブラジル。首都はブラジリア。 日本からの直行便は現時点では無く、主に北米か欧州で乗り継ぎが必要。多民族国家であり、サンパウロを始めとした地域には日系人も多く住んでいる。 広大なアマゾンのほとんどが国内にあるこの国は生物の多様性が桁違いであり、多くの動植物 が人々を魅了する。釣りも日本と同じくらい盛んに行われている。
今回のメインターゲット
今回のメインターゲットは南米原産のピーコックバス。世界中で人気のキクラ・テメンシス(ツクナレ・アスー)を筆頭に、ピーコックバスは現在16種が記載されており、まだまだ未記載の新種も数多くいるであろう魚だ。私はこの旅に出る前の時点で7種のピーコックバスを釣獲しており、ゆくゆくは全種類をこの手で釣りたいと思っている。今回の旅は残り9種のうち、4種を視野に入れての釣行だ。
日本出国、アメリカを経由してブラジルに入国
今回は北米経由での渡航。年始に行ったアフリカ旅ではコロナウイルスの予防接種証明書の提 示が必要であったが、今回は一切見受けられなかった。 アフリカや南米など、日本から遠い国では乗り継ぎという厄介な時間が発生する。空港で待つのも一つの手だが、長い乗り継ぎ待ちを有意義な時間にするために空港から都市へ出向くのが オススメだ。
私は日本からおよそ10時間で到着するニューヨークのジョン・F・ケネディ空港から、 バスと電車を乗り継いでマンハッタンへ行き、しっかり満喫してから再び飛行機で10時間かけてサンパウロに到着した。
ブラジルの交通インフラ状況
ブラジルではサンパウロのような大都市を中心に、多くの国内線が運航している。そのため大都市から地方都市へのアクセスは容易だが、反対に地方都市から地方都市への移動では飛行機 の直行便がないことが多いため、2か所以上の移動をする場合は必然的に長距離バスを利用する機会が多くなる。
長距離バスは大きな町から小さな町まで縦横無尽に運航しているのでとても 便利だが、時間はかなり掛かるので注意が必要だ。また、都市部から釣り場までは移動手段が ローカルバスや船などの公共交通機関しかない場合も頻繁にあるため、時間には余裕を持って 行動することがオススメだ。
サンフランシスコ川で釣れる魚
私が最初に赴いたのはアマゾン川と繋がっていない独立河川のサンフランシスコ川だ。この川は本来、ピーコックバスは生息していないが、大都市圏から程よく近い地理も相まって、古くからピーコックバスが移入され、大いに繁殖している。
種類はキクラ・ケルベリーとキクラ・ピキティの2種。 その他にも熱帯魚界で著名なピラニア・ピラヤや、ジャクンダなど多くの魚が生息しているが、特筆すべきはサンフランシスコ川固有種のドラード「サルミヌス・フランシスカヌス」だろう。パンタナルや、近年有名なボリビアのドラード「サルミヌス・マキシロッサス」と近縁で、古来よりアマゾンとは独立したサンフランシスコ川で生態系を保ってきた、もう一匹のドラードである。
特に小型の個体はマキシロッサスよりも銀色が強いため、プラチナ・ドラードと呼ばれることもある。今回はこの プラチナ・ドラードを釣るためにサンフランシスコ川にやってきたのだ。
南半球は冬!しかも増水期でエリアは広大に…
私が行った8月は現地では冬にあたるらしく、朝晩は冷え込み水温は低下。かなり厳しい状況のようだ。また、ブラジルに限らず赤道付近の国々では増水期と減水期の2シーズンであることが多いのだが、私が滞在した時期は増水期にあたり、魚が散るので難しい。
少しでも広く探るために、トローリングメインで探ることにした。実は、トローリングは奥が深い。ボートで引っ張るだけかと思いきや、水深、ルアーのレンジや動き、流すエリアや遠くで掛けてからの攻防などゲーム性が高い。中でも特筆すべきはアタリの出方だろう。突然「ガンッ」と釣り竿をひったくられるような強烈なアタリがくるのでおもしろい。
使用ルアーはとにかく第一に【しっかり泳ぐ】ルアーが望ましい。キャストするよりも深い水深を 長距離で流し続けられることがトローリングの利点だが、意外と泳ぎが崩れるルアーが多い。早巻きなどで多少の負荷が掛かってもしっかり泳ぎ切るルアーがオススメだ。
木々の間にハンモックを掛けて野営地を確保し、釣りを開始する。同エリアに生息するピーコッ クバスは活性が高く、キャスティングでもトローリングでも多くの魚をキャッチすることができた。
プラチナドラード(サルミヌス・フランシスカヌス)
ドラードは予想通り厳しい展開となるが、トローリングの強みを活かした広範囲エリアのチェックにより、3日目にはドラードが溜まるエリアと当たりルアーを見つけだした。掛けても高確率でバレる魚なのだが、4日間の釣りで目的のプラチナドラードをなんとか3匹キャッチ。内1匹は金色の強いカッコいい魚体であった。
プラチナドラード(サルミヌス・フランシスカヌス)
ドラードは予想通り厳しい展開となるが、トローリングの強みを活かした広範囲エリアのチェックにより、3日目にはドラードが溜まるエリアと当たりルアーを見つけだした。掛けても高確率でバレる魚なのだが、4日間の釣りで目的のプラチナドラードをなんとか3匹キャッチ。内1匹は金色の強いカッコいい魚体であった。
ブラジル釣行必携のパックロッド!
今回の旅では2023年に発足したTULALAの新シリーズであるフライテクス「Routes(ルーツ)」よ り、開発中の「Routes(ルーツ)C69MH」と「Routes(ルーツ)C60M」を使用した。 フライテクス「Routes(ルーツ)」シリーズは、TULALAフィールドスタッフである筆者前野とスタッフ岡林が開発担当となり進められている、旅用のパックロッドシリーズだ。
Routes(ルーツ)C69MH
ロッド1本で世界を回るとしたら、私ならこんなロッドが欲しい…という部分をカタチにしてもらった。14g~50g程度をルアーの種類を選ぶことなく扱えるモデル。ベリーからバットにかけてはかなり強いので、ライトブッコミにも応用可能だ。
- 全長:6フィート9インチ
- アクション:レギュラーファスト
- 継数:4本(4ピース)
- 仕舞寸:55.5cm
- ルアーウェイト:10〜56g
- ライン:モノフィラ25lb(MAX) PEライン5号※状況に応じ太いPEラインを使用する場合アリ
- 定価:32,800円+税
Routes(ルーツ)C60M(プロトモデル)
このロッドは激しくルアーを動かす釣りに特化させたモデルで、10g∼20g程度のミノーやトップ ウォーターをトゥイッチやジャークさせて食わせる釣りに焦点を置いたショートロッド。同ルアーを 用いたボートシーバスなどにも相性が良い。「ルーツ」は、現在発売中のモデルからプロトまで、8機種をラインナップし進行中。世界中の旅先で「釣りが出来る」ように、汎用性を追求したシリーズとなる。今後、残りのモデルに関しても記事で紹介していきたい。
- 全長:6フィート
- アクション:レギュラー
- 継数:4本(4ピース)
- 仕舞寸:51cm
- ルアーウェイト:7〜42g(予定)
- ライン:未定
- 定価:32,800円+税
- 発売時期:2024年
※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。