東京湾ボートサワラで定番の必釣パターンがミノーのジャーキングや速巻き。この釣りで人気のルアーが『ピンテールサゴシチューン』と『ピンテールサワラチューン(ともにジャクソン)』だ。競合ミノーとどこがどう違うのか? 両ルアーを武器にする東京湾の腕利きガイド池上日明さんにうかがった。
●文:ルアーマガジンソルト編集部
解説は東京湾を知り尽くす腕利きガイドの池上日明さん
池上 日明(いけがみ・あきら)
横浜市東神奈川が拠点のチャーター船『アンリミテッド』のキャプテン。横浜周辺のシーバスをメインに東京湾の旬のターゲットを釣らせる人気ガイドだ。近年盛り上がりをみせる秋のサワラゲームにも積極的に取り組み、ゲストの期待に応えている。
圧倒的な飛距離、俊敏な立ち上がり、強波動が釣れるサワラミノーの3大要素
ボートサワラで人気のミノーは120mm前後が多い。サゴシチューンの最小サイズは75mm。ひと目でわかる競合ミノーとの違いはサイズ感だ。
池上「ルアー名はサゴシチューンですが、小型のサワラを釣るためのミノーではありません。東京湾は10月前半頃までは6cmのカタクチイワシも居れば、12、3cmのも居ます。それを水面に追い詰めて捕食する跳ねが良く見られます」
サゴシチューンは小型カタクチイワシにマッチ・ザ・ベイトのサイズ感?
池上「それもあるかもしれませんが、10月後半以降はベイトフィッシュにコノシロやサッパがプラスされます。それでもサゴシチューンは釣れますからね」
ベイトフィッシュのほうが明らかに大きくても釣れる?
池上「ガイドをしていると、ミノーのサイズ感を気にされるゲストの方が多いですけど、サワラに効くミノーの欠かせない要素は、飛距離と立ち上がりの早さと波動です。サゴシチューンとサワラチューンが釣れるのは、この3つの要素がバランス良く備わっているからです」
『ピンテールサゴシチューン(ジャクソン)』
●サイズ:75mm/20g、90mm/28g
●タイプ:スーパーシンキング
●カラー:13色
『ピンテールサワラチューン(ジャクソン)』
●サイズ:105mm/35g、120mm/42g
●タイプ:スーパーシンキング
●カラー:8色
●クラス最重量級のウェイトで圧巻の飛距離
池上「サゴシチューンもサワラチューンも固定重心ですが、ウェイトがあって飛行姿勢も良いから、このサイズのミノーの中ではかなり飛ぶほうです。小型ということは空気抵抗も少ない。遠くの跳ねが重心移動のミノーに投げ負けることなく狙えます」
●ボイル撃ちで釣果に差が出る立ち上がりの早さ
池上「固定重心で巻きはじめればすぐに泳ぎだす立ち上がりの早さもサゴシチューン、サワラチューンの強みです。立ち上がりの遅いミノーはしっかり泳ぎだすまでに助走が必要。跳ねやハミ(水面直下での捕食)を撃つときはそこで釣果に差が出ます」
●強い波動とメリハリの利いたアクションによるアピール力
池上「アクションはウォブリング系でブリブリと振動が伝わるような泳ぎ。強めの波動でサワラにアピールします。固定重心でバランスが良いからジャーキングでは静と動のメリハリのあるアクションが効きます。速巻きでは強い波動とスピードでサワラのリアクションを誘えます」
カラーはサイドとベリーのフラッシュがキー
サワラは小魚を追い上げて捕食することが多い。必然的に視線は上を意識。
池上「だからカラーはベリーとサイドのフラッシングが重要。サゴシチューンもサワラチューンもフラットサイド3面ボディがキラキラ光り、フラッシングで効率良くアピールできるカラーが多いです。東京湾で実績色はサゴシノエサですが、基本はフラッシング系を用意しておけばOK。プラス、チャート系やナチュラル系があれば様々な状況に対応できます」。
サゴシチューンは13色。サワラチューンは全8色中7色はサゴシチューンと共通。SWEサワラノエサのみサワラチューン専用色だ。
カラーチャート(※はサワラチューンと共通)
サゴシチューンを軸に必要な飛距離やタックルに合わせてサワラチューンと使い分け
サゴシチューンもサワラチューンもマッチ・ザ・ベイトに関係なく釣れる。では、使い分けは?
池上「東京湾の場合は、サゴシチューンがメインになります。小さくて軽いほうがジャークも楽ですからね。跳ねが遠いなど飛距離が稼ぎたければ、必要に応じて重くします。あと乗合船でシイラ用など強めのタックルを使うときはサワラチューン。フックが大きくて強いので強引なやりとりが可能です。冬に14、5cmのイワシが多くなる寒ザワラの時季や、相模湾ではサワラチューンの出番が増えます」
シーズン前半はボイル狙い、後半は誘い出しで攻略
サゴシチューンとサワラチューンの効果的な使い方を質問するとこんな答えが。
池上「使い方というより10月中頃までのシーズン前半とシーズン後半で攻め方が変わる。そっちのほうが重要です」
具体的にはどのように?
池上「シーズン前半はカタクチイワシを水面で捕食することが多い。サゴシチューンで跳ねを撃ってジャークや速巻きで狙います。直径2、3mのベイトボールを複数のサワラが水面付近で取り囲んで捕食しているときは、サゴシチューンでベイトボールを撃ってテンションフォールさせると、ジャークや速巻きより釣れることもあります」
シーズン後半は違う展開に?
池上「秋が深まるほど跳ねが減って、ハミやモジリ(水面下での捕食)になります。要はブラインドの釣り。水面に魚の気配がなくても誘い出して喰わせます。ジャークして止める緩急のメリハリが効きます。サオ先を下に向ける下ジャークとサオ先上の縦ジャークでアクションやレンジが変えられるし、ジャークが疲れたらリールの巻きによるストップ&ゴーでも良い。誘い出しに反応がなければ、カウントダウンしてただ巻きで釣れることもあります」
釣り場の状況や疲労度を考えながら、臨機応変に攻めれば釣果が出るはずだ。
池上「最後にひとつ、いいですか?」
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池上「去年は秋のシーズン後半になるほどサゴシチューンもサワラチューンも売り切れ続出。欲しいサイズ、カラーを見つけたら早めに手に入れたほうがいいですよ(笑)」
【使用タックル例(池上キャプテン)】
●ロッド:ジェスターJSS-701XMH-SP(ジャクソン)
●リール:ヴァンキッシュC5000XG(シマノ)
●ライン:アバニシーバスPEマックスパワーX8 1.5号(バリバス)
●リーダー:VEPショックリーダーナイロン20~35lb(バリバス)
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