河口湖で先日行われたバス釣りの最大規模トーナメント「ジャパンスーパーバスクラシック」を制したのは28才の若手アングラー。JB/NBCトーナメントへの参戦は今年が初めてというこの「ルーキーアングラー」の素顔に迫りたい。
●文:ルアマガプラス編集部
最強のバスプロが集う「クラシック」で圧巻のウェイト!そして優勝!
さる11月4~5日、山梨県は河口湖にて、バス釣りの大会「ジャパンスーパバスクラシック」が行われた。
この大会は、2023年のJBトーナメントにて上位の成績を残したアングラーのみが参戦できる超ハイレベルな試合。
日本屈指のバスプロがしのぎを削る、究極の2日間だ。
厳しい戦いになるのは想像に難くないが、そんな激戦を制したのは、2023年のJB入鹿池戦にて年間優勝を果たした『宇佐見素明』選手。
2023年からJBトーナメントに参戦したルーキー中のルーキーだ。
しかしその戦績がまだ驚きであり、試合初日になんと5尾8560gを釣り上げているのだ。
2日目こそ失速したものの、そのまま逃げ切っての優勝。
JBトップ50A.O.Y.、JBマスターズA.O.Y.に続く、国内バス釣りトーナメント最高峰の栄冠を、ルーキーが勝ち取ったのだ。
試合当日のメインパターンは、沖の回遊と地形変化に居着く両方の魚をライブスコープシューティングで狙うというもの。
表層でも反応はありつつもメインは水深6~12メートル。
プラクティス時にはサイズの小さい放流バスを狙うパターンも考えたそうだが、直前に良型のバスの付き場と回遊ルートを発見。
しかし魚のストック量が多くなかったためプラクティスでは釣り込まず、釣り方は試合当日に見つけていったとのこと。
2日目は初日に自分が釣り込んだために釣れる魚が減り、またほかアングラーとのバッティングも重なったのが原因だったという。
宇佐見素明はライブサイトだけのアングラーなのか?
華々しい戦績を残したクラシック戦のパターン、そして年間優勝を果たした入鹿池というフィールドの特性を考えると、宇佐見素明選手がライブサイトを得意とするアングラー印象を受けるかもしれない。
しかし実際は「ライブサイト『も』得意なアングラー」。
元来得意な釣りは「カバー撃ち」。
お気に入りのワームが「モコリークロー」という点からもその本気度がうかがえるだろう。
また、スピナーベイトを得意としていたり、好きな釣りがジャークベイトだったりと、ムービング系ルアーに対する造詣も深い。
事実、2022年には千葉県豊英湖にてエリー(ニシネルアーワークス)を使ってロクマルもキャッチしている。
しかしホームフィールドである相模湖にサイトフィッシングの釣りが広まるとそれを素早く吸収し、自身の武器に。
さらに『艇王』藤田峯村戦を期にライブスコープを覚え、こちらも自身の武器へと変えていったのだという。
宇佐見選手と親交の深い峯村裕貴選手はこう語る。
峯村「知り合ったばかりの頃はカバー撃ちとかスピナーベイトとかを得意としていましたが、相模湖でサイトが流行ればサイトを、ライブが必要となればライブをと、次々に覚えていっていたと思います。特にいまはライブサイトがずば抜けていますね。何かを貫き通す力はものすごいです」
宇佐見選手は中学生時代から足しげく相模湖に通い込み、学生時代からトーナメントにのめりこんだという。
試合に対する底しれぬ意欲が「勝てる釣り」を着実に吸収させる一助となったことは間違いないだろう。
しかしその実力は決して上辺だけではないと、峯村さんと同じく宇佐見選手と親交の深いノリーズの若手・渡邉和哉さんはいう。
渡邉「彼はとにかく強いです。だからライブスコープの釣りで注目されがちですが、そもそも水を見る、流れや地形を読むといった能力に長けていると思います。根底にある釣りがそもそも上手いんです」
2023年に残した戦績により、宇佐見選手が来季JBトップ50へと参加することはほぼ確定している。
今年参戦したトーナメントは同一フィールドで複数回行われる形式だったため、JBトップ50のように全国のフィールドをトレイルするのは初めての経験となるだろう。
海千山千のベテランから超強力な若手まで強豪ひしめくJBトップ50の場が、一点突破的な能力で勝ち残れるほど甘くないのは過去の結果からも分かるとおり。
宇佐見選手がライブサイトだけのアングラーなのか?
その真実はきっと近い先、宇佐見選手自身が証明してくれることだろう。
※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。