エクリプス初となる多魚種対応ロッドシリーズとして、今秋にデビューした『アクシアトラック』。最初に登場したロックフィッシュシリーズに続いてリリースされるのが、ショア用シーバスモデルとボートシーバスモデル。いずれもエクリプスが得意とする魚種に対応したモデルではあるが、そのラインナップを見る限りではこれまでの“エキスパート向け(な印象)”とはちょっと違うようだ。両アイテムの特徴を、エクリプスが誇る精鋭スタッフにお話を伺った。
●文:ルアマガプラス編集部
現代のフィールドにマッチした汎用性抜群の珠玉のショアモデル
まずは、ショア用シーバスモデルの開発を担当した前田泰久さんに、そのコンセプトを聞いてみよう。
【前田泰久(まえだ・やすひさ)】
エクリプスのプロスタッフ。シーバスガイドも行っており、東京湾をメインフィールドにオカッパリからウェーディング、ボートシーバスまで、あらゆるスタイルに対応してくれる。現在ガイド業も行っているので気になる方は下記リンクもチェックだ。
前田「このモデルは初心者・中級者が快適に釣りを楽しめる場所で、快適に使えることをコンセプトにしているので、これまでのエクリプスがリリースしてきたシーバスロッドとは多少毛色が違います」
そして8ft8in、9ft9inという長さにもそのコンセプトが反映されていて、まずは『ATSS-88ML』の方は東京湾の湾奥など、足場が良い港湾部や運河でのオカッパリを想定しています。特に橋脚や壁際など、ストラクチャーが絡むスポットを正確に撃ってルアーを通せることを念頭に置いているので、長すぎずに小技を効かせられる8ft8inという長さを選択しました。都心港湾部の水辺には釣り人以外の方も数多くいらっしゃるので、周囲に迷惑を掛けずに振りかぶれる長さも意識しています。また、ウェーディング時に腰辺りまで浸かっても取り回しやすいように、グリップは若干短めになっています」
【ATSS-88ML スペック】
- 全長:8ft8in(2.68m)
- 継数:2
- 適合ルアーウェイト:7~30g
- 適合PEライン:MAX2
- 価格:31,900円
なるほど、確かに初心者・中級者だと長すぎるシーバスロッドでは、実際のところ少々持て余しそうな気がしないでもない。そういった意味では8ft8inという長さは“ちょうど良い”のかもしれない。
その一方で、9ft9inの『ATSS-99MML』は長すぎるような気がする…。それでも敢えてラインナップに加えたということは、それなりの理由があるのだろう…か?
【ATSS-99MML スペック】
- 全長:9ft9in(3.01m)
- 継数:2
- 適合ルアーウェイト:10~40g
- 適合PEライン:MAX3
- 価格:31,900円
前田「大型河川やサーフなどのオープンエリアでの遠投を想定したモデル…という意味もありますが、僕がメインフィールドにしている東京湾のような都市部のフィールドでは、そういったフィールドは少ないのが正直なところです。ただ、足場が高かったり、手前に消波ブロックやゴロタ石が敷き詰められているスポットというのは多数存在し、8ft8inでは足元までしっかりとルアーを引いて来れない、またはルアーのピックアップ時に消波ブロックやゴロタ石に引っ掛けてしまうというトラブルが発生しやすい。
そこでもう1ftほど長くして、前述のようなスポットにも対応できるようにしています。また、長くするに伴いパワーも強めに設定されているので、160mmクラスまでのビッグペンシルベイトもキャスト可能です。岸寄りでコノシロなどのビッグベイトパターンに遭遇できれば、チャレンジすることもできますよ」
以上の2本というシンプルなシリーズだが、ラインナップも細分化が進みつつあるシーバスロッドが多い昨今、この2本だけでゲームは成立するのだろうか?
前田「いずれのモデルも汎用性を高めに設定してあるので、ATSS-88MLならば90mmクラスのミノーから軽めのバイブレーション、ジグヘッドリグまで『何とか1尾釣りたい!』というフィネスゲームにも対応します。ATSS-99MMLは先述のようにビッグベイトも使えるので、初心者が最初の1尾にチャレンジする、中級者が基本を抑えつつ釣りの幅を広げるには十分なスペックです。価格もスペックの割にはリーズナブルな設定になっていますので、ぜひとも試してみてください」
ボートゲームビギナーが快適に扱える!超バーサタイルな2本!
続いてボートシーバスモデルをインプレッションしてくれたのが、東京湾フィッシングガイド『プレイフルフィッシング』の長山陽太船長。
長山陽太(ながやま・ようた)
エクリプスのオフショアフィールドスタッフ。東京湾のフィッシングガイド船『プレイフルフィッシング』の船長で、東京湾シーバス大会「TSST」の全勝優勝記録を持つスゴ腕。ビギナーに楽しく釣らせるという意味では、もっとスゴ腕。
続いてボートシーバスモデルをインプレッションしてくれたのが、東京湾フィッシングガイド『プレイフルフィッシング』の長山陽太船長。ボートゲーム対応モデルはスピニング『ATBS-71ML』とベイト『ATBC-70ML』が1本ずつとなるが、それぞれどのような印象を受けたのだろう。
長山「まず、スペックを見た限りでは…長さが7ft1inと7ft、パワーは両方ともML、そして対応ルアーウェイトは7~35gと7~40gということで、非常に似てますよね。ただ、当然ですがそれぞれの特徴を活かした味付けになっていて、スピニングは柔らかめのティップを採用したファストテーパー仕様なので、小型ルアーが扱いやすいでしょう。もちろん、スペック通り35gくらいの重いルアーも十分に扱えます。何ならちょっとオーバーして40gでも問題なく投げられますよ。ティップがやわらかい一方でバットパワーは強いので、ランカーシーバスや青物にも伸されることなく、余裕を持ったファイトが楽しめます」
【ATBS-71ML スペック】
- 全長:7ft1in(2.16m)
- 継数:2
- 適合ルアーウェイト:7~35g
- 適合PEライン:MAX1.5
- 価格:26,400円
では、ベイトはどうだろうか? 長さで1in、対応ルアーウェイトで5gという、いずれもわずかな違いしかないのだが…。
長山「ベイトはバットからティップまで、全体的にしなやかに曲がるレギュラーテーパー仕様なので、重いルアーは明らかにスピニングよりも投げやすいです。鉄板バイブレーションやメタルジグなど、シーバス用としては重量級ルアーの遠投もできますし、ベイトならではのアキュラシー性能を活かしてテクニカルなスポット撃ちもこなせます。7ftという長すぎないレングスなので、アンダーハンドキャストでもティップが水面を叩くことなく、キャストを決めやすいのもイイですね」
【ATBC-70ML スペック】
- 全長:7ft(2.13m)
- 継数:2
- 適合ルアーウェイト:7~40g
- 適合PEライン:MAX2
- 価格:26,400円
スピニングとベイト、それぞれどんなアングラーにおすすめ?
長山「スピニングはボートシーバスビギナーには最適です。というのも、ルアーは基本的にロッドを曲げた反動を利用して、前方に飛ばします。しかし、ビギナーにそれを最初から期待するのはなかなか難しい。でも、先述のようにATBS-71MLはティップがやわらかいので、ロッドを振りかぶるだけでルアーの重みでティップが勝手に曲がり、反動でルアーを前方に飛ばすという一連の動作がやりやすいですね」
長山「対してベイトですが、ソルトゲームでのベイトビギナーに使ってほしい。徐々に増えてきてはいますが、ソルトゲームでのベイトタックル使用者はまだまだ少ない状況です。今後ビッグベイトシーバスなど、ベイトタックル必須のゲームにチャレンジしてみたいと考えるなら、今のうちにベイトタックルに慣れておくという意味でも、このATBC-70MLはおすすめできる1本です」
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