かつては一斉を風靡したが、最近はやや見かけなくなってきているジャンルがある。釣れなくなったのか? それとも他の釣りに置き換わったのか? そのカテゴリーの達人に、昔よく使っていたルアーと、自身がプロデュースしたルアーの関係について改めて再考してもらった。
●文:ルアマガプラス編集部
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ロングビルは一過性のブームにあらず もちろん今でも現役バリバリ
自信を持ってオススメする最高傑作ダウズビドー
秦さんはダウズビドーを作る前はどんなロングビルミノーを使っていた?
「特に気に入っていたのがダブルクラッチですね。ショートビル感覚で使えて、ナチュラルアクションで綺麗にダートし、一定レンジもキープしやすい。秋のウィードエリアでの定番でした。10月の終わりごろから12月かけて、ウィードの上に小さいヒウオが回るので、それを意識して使っていたのがソウルシャッド。アクションの細かさではソウルシャッドもロングビルとして強く影響を受けています。ステイシーもよく使っていて、これはポンプリトリーブでよく釣れる動きでした。ステイシーとダウズビドーは、同じ90mmのロングビルだけど、目的は全く違うものですね」
フックの大きさも、ときにはルアーのアクション性能に大きな影響を与える。
「ソウルシャッド68SPのフックを、RB-Mの#7(がまかつ)に変えるとアクションがタイトでハイピッチになり、個人的に理想の動きが出る。この動きを軸にミノー化したのがダウズビドーなんです。だから、フックの大きさありきで誕生したんですよ。釣れるスイムアクションに、好きな層まで泳がせられて、ジャークもステイもちゃんと出る。そしてめちゃくちゃ飛ぶという、ロングビルミノーの最高傑作だと思っています」
近年、ロングビルミノーの出番が少なくなってきているように感じるが?
「春のポンプリトリーブは今でも釣れると思うんだけど、ミドストの釣りが進化して中層の魚を釣りやすくなった。アラバマとかインチワッキーとか、同じ魚を釣るにも釣り方が細分化されて、ほかの攻略法がどんどん増えてきた。けれど、ミノーって1年中食べるベイトフィッシュにシルエットを合わせてあるし、動きはナチュラルだし、ビジュアル的な違和感はクランクベイトよりも少ない。リップが長いから根掛かり回避しやすく、オカッパリでも使いやすい。春や秋は今でも全然現役だと思いますよ」
ダブルクラッチ95SP(DAIWA)
ジャーク&トゥイッチで飛ばす系のロングビル
春のウィードエリアで、一定レンジを綺麗にキープしつつ、ジャークとトゥイッチで仕掛けていけるのがダブルクラッチ。ショートビル感覚で使えるのもこのルアーのいいところ。3フックでじゃれつくようなバイトも絡めとる。
ステイシー60SP&60SP(ラッキークラフト)
かつては入手困難な人気を博した名作ロングビル
綺麗に潜ってピタッと止まる高性能を持ち、90年代に爆発的な人気になったルアー。「春の王道はポンプリトリーブ。良いバスたくさん釣らせてもらいましたよ」のちに発売されたバージョン2もかなり使い込んだという。
ソウルシャッド58SP&68SP(ジャッカル)
ダウズビドー誕生のきっかけにもなった動きのピッチ感
シャッドプラグではあるがロングビルミノーと同じような用法で活躍。ただ巻きをした時の安定感や適度なピッチは、のちのダウズビドーに大きな影響を与えている。68SPのフックをRB-Mの#7(がまかつ)に変えたときの動きが秦さんのなかでのベストバランス。
スピンビドー70SP&ダウズビドー90SP(ジャッカル)
秦さんが求めるロングビルミノーの完成系
これまで使ってきたロングビルミノーのいいところを集結させた、秦さん理想のルアー。よく飛び、任意のレンジまで潜らせやすく、釣れるアクションでスイムし、飛ばしも止めも自由自在。スローフローティングで根掛かり回避性能が高いのもオカッパリアングラーに支持された理由。よく飛んで根掛かりに強いロングビルミノーは、ボートだけでなくオカッパリでも有利な場面は多い。
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