【帰ってきた、シン・ネバギバ。】清水盛三、復活連載!! 『バス釣り上達100のヒント』後編・CH.001「バスの居場所は足で稼げ」~全ては価値ある1尾を釣るために~

モリゾー・ザ・復活!! 「帰ってきたネバギバ」ということで、約3年の充電期間を経て新たにFISH ON!! モリゾーさんの近況釣りネタトピックを皮切りに、日頃のバス釣りの悩みを解決すべく“モリゾー流・基礎からのバスフィッシング論”を存分に語っていただきます。初回後編のテーマは「バスの居場所は足で稼げ」。価値ある1尾を釣るために、まず何を優先させるべきなのか?

●文:ルアーマガジン編集部

PROFILE

清水盛三 MORIZO SHIMIZU 
1970年5月29日生まれ。大阪府出身。’97JBスーパーバスクラシックウィナー、’00JBワールドU.S.チャレンジinレイク・ミード優勝を経て渡米。老舗トーナメント団体B.A.S.S.が主催するエリートシリーズやFLWなどに参戦。2018年をもって引退、17年間の米国競技生活にピリオドを打った後は日本国内の各メディアへの出演他、ご意見番として後輩の指導にあたる。バサー・オールスタークラッシック2022優勝。
オフィシャルサイト http://www.morizoshimizu.jp/
<スポンサー>
エバーグリーンインターナショナル、グローブライド、東レ・モノフィラメント、グレンフィールド、モーターガイド、マーキュリー、カラーズインターナショナル、ALL of FAN
<バスマスター通算成績>
●B.A.S.S.
’01ウェスタンオープンでデビュー。1シーズン目で、翌年からのツアー参戦権を獲得。公式戦出場151回、クラシック出場3回、2006年にエリート・ケンタッキーレイク戦優勝、入賞66回(優勝:1回、準優勝:2回、トップ10:9回、トップ20:21回、トップ30:34回)。獲得賞金77万1299ドル(約1億1492万円 *1ドル149円換算)。

本来の釣りの本質…楽しんでこその魚釣り
だからこそやって欲しい、探して釣る1尾の価値

見つけるまで動こう。バスの居場所はひとつではない!

前編から続く…

-復活連載第一回目のテーマは、オールスター・クラシックにもつながる1尾の価値についてです。

清水「価値と言う部分でひとつ…最近、論争テーマとしてよく挙げられるライブスコープについて。僕はビームフィッシングって言ってんねんけど…あれは持ってるだけでは釣れへんから。みんな誤解してると思うけど、実はメッチャ奥が深い。アメリカでも日本でもトップクラスの選手はほぼ全員所持してるよね。でも、毎試合全員が接戦になるワケではない。やっぱり順列がつく。試合によってはゼロ申告の選手もいる。青木唯君が河口湖で連勝する中、釣れない選手もいるってことが、その証明やと思う。ちなみに僕も持ってはいるけど、箱から出してません(笑)。だけど、きちんと魚を釣ってこれるし、普通に釣れる。皆さんには、道具として使用するのはいいとしても、やっぱりオーソドックスな本来の釣りをもっともっと学んでほしいかな、と思いますね」

-そもそもバス釣りって、いろんな楽しみ方がありますからね。

清水「そう。パワーフィッシングでも、ライトリグでも、トップやビッグベイトオンリー、ビームフィッシングでもいい。とにかくどんな釣りのスタイルでも、ポジティブに釣りを楽しもうという気持ちが大事やから。フィールドに行って、フレッシュな空気を吸って、宇宙を感じながら釣りをするって…いいじゃないですか。この地球で生きていることに感謝しながら釣りすることが幸せであるって。自然を感じて釣り糸を垂れているだけでも、充分に幸せを感じられると思ってるからね。ただ、せっかく釣りするなら、釣れたらもっともっと楽しくなるはずやし、釣りという趣味をさらに追求したくなるはず。だから、これからは僕が知り得るバス釣りのとっておきのノウハウを、そして釣れる情報を、このコーナーを通して少しずつ皆さんにお伝えしていければいいかなと思っています」

-最近の霞ヶ浦もそうですが、バスバブル期みたいにどこでも釣れるという状況ではありません。でも、釣りに行った以上は条件が難しくても1尾は釣りたい。

清水「そこやねん。イチとゼロは違いますからねぇ。やっぱり魚の1尾の価値ってデカい。でも昨今釣りづらくなってる。ひとつ言えることは、ネバギバ精神で諦めないでほしいってこと。僕はオカッパリでも半端なく歩く。この前の夏の淀川釣行とかでも1尾釣るのに2万歩以上歩いたからね。城北ワンドは昔からのメッカでアングラーの数も多いけど、実は釣れているところをあまり見たことがない。しかも観察していると、ほとんどの人がひたすら沖にルアーを投げていたりする。釣れますか?って聞くと、釣れている人はコンスタントにポイントを移動していたりして、やっぱり動いている」

-釣れていないアングラーは、特定の場所で、かつ一か所に固執しすぎていると。

清水「いつも思うよ。まあ、沖に投げるとしても、左右から角度を少しずつ変えながら扇形にキャストして、狙いどころに隙間を作らないようにするとかね。で、展開し終わったら少し横に移動して、また扇形に沖を狙っていく。沖狙いでも、ちょっと工夫するだけで釣れる確率が格段に上がることを覚えてほしい。常に、ルアーを入れていない場所にキャストするという意識を持ってアプローチすることが大事。漫然と投げていても魚がいなかったら釣れないからね。魚がいない場所にルアーを投げ続けても、釣れるわけがない」

岸釣りでもモリゾーさんのスタイルは変わらず、とにかく釣果を足で稼ぐスタイルだ。釣れる可能性のあるスポットを限られた時間内にどれだけ回れるかがキーとなるのが、バスフィッシングの特徴でもある。

-結局、確率の釣りということですからね。

清水「そういうこと。最近、東レさんのお仕事でバス以外の釣りを積極的にやってるんやけど、例えば、ヘラ釣りは最たるもの。座る場所を決め打ちして、そこでどっしりと構えて一日釣りをする。だから、いかにして自分のテリトリー内に魚を寄せていくか、集結させた魚を逃がさないようにするか、が、キモになる。でも、バス釣りはそうじゃないよね。歩いて移動して機動力を武器にして釣っていくことができる。自分で魚を探していけるのを最大のメリットとして考えていかないと。他の釣りと同じように、一か所で粘って釣る、という考えはリセットしたほうがいいですね」

-粘っていても、そこにバスは寄ってこないということですね。

清水「本来の場所にいる魚に対してアングラーから歩み寄っていかなアカンよね。そのバスの目の前を通せばパクって食うやつがおるかも…いわゆるリアクションでね。自分から探していった方が釣れる確率は高まるよ、絶対に。釣っていく中で、数なのかサイズなのか、その傾向も分かってくるしね。とにかく魚が釣れないと、その先の情報が分からないから。ちなみにアメリカでは、広大なフィールドで魚の居場所を探しながら釣っていくというスタイルが基本やからね。昔ならファストムービングルアーで巻きながら、今ならライブスコープを見つつハイスピードエレキで流しながら、とにかく機動力重視で動いて探し回るスタイルが主流。で、魚が見つかったらジグを入れていったりワームをシューティングしたりといったピンの狙いになる。釣れそうやのに、なんで食わへんの?…ってなったときに初めて次の展開を考える」

-日本のオカッパリでも考え方は一緒ですね。

清水「そうやね。最初の2時間は歩きながら巻いてもいいんじゃないかと。岸際を狙ったり、ちょい沖のブレイクを狙ったり。メリハリをつけて一度展開する。そこから、釣れなかったら昼前くらいからライトリグをやってみる。14時くらいまでね。で、活性化する夕方に向けて、また巻いてみる…とかね。途中で狙いの方向性がみえたら逆にそれで押し通してもいいと思うし。まずは動いていろいろやってみることが、結果からして近道やと思います」

-モリゾーさんの昔のDVDを観ていて思い出したのですが、ため池釣行の際の見切りの速さといったらもう…。

清水「一日10か所くらい行ったりしたよなぁ。パンパンパン、ハイ次、みたいな(笑)。でも、気になったエリアやスポットは、時間を変えてもう一回入り直したりしてたよ。ココいそうやけど釣れへんな、って気配を感じたときは、時間、気候、風、シェードなど自然の変化が起きたときにもう一度入り直してみる。すると、釣れたりするんですワ。新しく魚が入っていたりして、フィールド状況が刻一刻と変化してるからね。自然条件は常に変わる。その流れを踏まえて、まず魚の居場所を見つけることが最大のキーやからさ。いないところでスーパーテクニックを駆使しても、流行りのルアーを投入しても釣れませんからね。だっていないんですもん」

探しに探し、歩きに歩いてようやく一つの答えにたどり着いたとき、そのバスはサイズを問わず価値ある1尾となるのだ。

バス釣りは居場所を見つける推理ゲーム。ハマると抜け出せなくなる最高の“沼”

-まずは、何はなくとも魚の居場所を見つけることですね。

清水「もうね、考えて考えて…昔から言っているように、バス釣りは推理ゲームやから。パズルを解いてるのと一緒。まずは仮説をたてることが大事。間違っててもいい。今の時代、これだけ情報が世の中にあふれてるんやから、その情報や知識をうまいこと自分の引き出しの中にストックしていかないと。で、奥の方に入っていても、ああこんなんやったな、とか、いつでも引き出せるように整理しておく。もう一回言うけど、魚がいても口を使わへんかったりする時代やのに、いないところに投げて何を釣るのかと(笑)。それやったら、パッと一瞬でも口を使ってくれる魚を狙っていく方が簡単でしょう。今はタフ化してるから、最初からライトリグの食わせで狙い歩きしてもいい。とにかく、ずっと一つの場所に居続けるのは得策ではないよ。回遊してくる魚がそこに絶対に来るって分かっていればいいけど、そんなことは誰にもわからないしね。わからない場所に一日固執することこそが時間の無駄使いな気がしてならない。だから、絶対に移動はしましょう!」

-というわけで、第1回目は『移動のススメ』ですね。

清水「自分の引き出しからどんどん推理していって、それで魚の反応が増えればより楽しいですよ。京弥君もオールスター・クラシックの壇上で言っていたよね。自分の立てた仮説で魚がズバッと釣れた時がホントに楽しいって。僕がいつも釣れた後に言う『な、言うた(とおりに釣れた)やろ』って言える状況が一番面白い。まさに『I TOLD YOU』なんですよ。あくまでも、そこに魚がいるだろうという仮説のもと釣りをしてるから、反応があったらその仮説が正しかったことになるよね。難題なパズルが解けたときの、あのスカッとした感覚。気持ちいいんですワ。それが本来のトーナメントであっても、一般のファンフィッシングであっても同じ。釣ってやった感が強い方が楽しい。推理による釣りの答え。ヘラ釣りでも鮎釣りでもグレ釣りでも、ワカサギやチヌでもそう。僕の中ではアレコレ思考することが一番楽しい。皆さんも、そのあたりをちょっと意識して釣りしてみてほしいね。絶対に釣果アップにつながりますから」

バスの居場所を見つけるにあたって、フィールドの規模は関係ない。全てはそこに住むバスのシーズナルパターンを読み切り、釣れる仮説を立てられるかどうか、なのだ。

【教えてモリゾー】この冬、どんなルアーをチョイスすればいい?

この冬は“リアクション”がキモ! 動かすルアーにメリハリを効かせてみよう!!

清水「これからの時季、晩秋から初冬…ちょっとずつリアクションの釣りが強くなってくるんじゃないかなと。クランクベイトで例えると、夏秋はゼルクとか強波動系を中心に投げるけど、これからはワイルドハンチやフラットフォースなどの、ちょっと弱めのムービングベイトが主流になるかな。ジャックハンマーやったらステルスブレードになったりね」。

冬場のムービングベイトは、例えばクランクベイトなら、ゼルクのようなフルサイズモデルより、フラットフォースやワイルドハンチなどのコンパクトサイズやフラットサイドタイプなどの弱めのルアーが活躍する。

フラットフォース(エバーグリーンインターナショナル)

いずれもリアクションの釣りなのだが、そのアピール度の強弱によって使い分けていく必要がある。撃ちのスタイルでも、IRジグの重めのモノやリアクションフットボールなど、メリハリの効くタイプが主流となる。

清水「ボトムバンピングでボンボンと。でね、ひとつ、ジグの使い方でアドバイス。みんな、食わせの間というか、ルアーを止める時間が少ない。ずっと動かしていても食うよ、バスは。でも、トントンと動かして、一瞬止めて追っかけさせて喰わす、食わせる時間を与えてあげることで、バイトが出る確率が格段に上がるから、試してみてほしい」。

10秒も必要ない。間としてつくれるのであれば1、2秒でもいいとのこと。

リアクションフットボール(エバーグリーンインターナショナル)

清水「アクションさせる流れに間を作ってみてほしい。トントントントン、より、トントン(間)トントン(間)というようにね。ネコリグならシェイクしてて、一瞬スーッと引く、とか。フッと止めるとか」。

間を与えることによってそのルアーに変化が生じて食う。これも立派なリアクションだ。

清水「リアクションってのは反射って意味やからね。別にパワーベイトだけがリアクションフィッシングじゃないから。ちなみに、アメリカ人は巻いて釣ることをリアクションフィッシングって言ってるけどね(笑)。『リアクションで釣ったんか?』ってよく聞かれる。それって、クランクベイトとかスピナーベイトとかトップウォーターで釣ったんか?って意味やねんけどね。ライトリグも立派なリアクション。一瞬の不意な動き、変化がリアクションなんですわ」。

静と動、その組み合わせではリアクションバイトは無限大。

清水「みんなリアクションの意味をはき違えているよ。よく、寒くなるとリアクションって言うねんけど、この時期は逆に激しすぎるリアクションはよくないからね。そこで興味を一切示さなくなるから。そもそもバスの動きが鈍くなってきている状況で、激しいルアーアクションにバスがついてこれるかっていうこと。表現が非常に難しいけど、小さな激しさは必要ですよ。激しくても、止めることが大事。ジャークベイトがしかり。冬でも釣れるでしょ。止めてるときに食ってる。動かしているときはハイシーズンしか食わへんから。このシーズンからはフェイスも良くなってくるね」

フェイス(エバーグリーンインターナショナル)


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