南米ブラジルといえば生物が多様性を極め、野生の躍動を魅せる国のひとつ。釣り人的には…やはりアマゾン川! 中でも固有種ひしめく「とある支流」へ向かう…のは、前野慎太郎さん!<【ブラジル1周釣旅】南米アマゾンの怪魚・珍魚を釣るためバックパックを抱え南米大陸を旅した記録・後編>
●文:前野慎太郎 ●外部リンク:ツララ
前野慎太郎さんのプロフィール
前野慎太郎(まえの・しんたろう)
20カ国超!海外遠征を繰り返し「自分だけしか見たことのない景色や魚」を求め、秘境を探しさすらう。地元広島河川のシーバスを始め、国内でもあらゆる釣りにチャレンジ。TULALAフィールドスタッフにして、Routesシリーズ開発担当。XBRAIDサークルメンバー
TULALA海外釣行・過去記事はこちら
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生物多様性王国・ブラジル
舞台はアマゾン川を形成する一大支流、シングー川へ
世界最大の流域面積を誇るアマゾン川は、多くの支流がアマゾン本流に注ぎ込む形で形成されている。ひとえにアマゾンといっても、支流が一本違うだけで生物は様変わりし、多様性が生まれるため各支流ごとに固有種がいるケースも珍しくない。今回は、そんなアマゾン支流の中でも、ひときわ固有種の多い「シングー川」をご紹介させて頂きたい
シングー川
アマゾン川の移動手段
まず、本題に入る前にアマゾン川の移動手段をご紹介したい。前編でも記載したが、ブラジルの移動手段は飛行機の他に長距離バスが発展している。しかし、大河アマゾンには橋を架けられる場所がほぼ無いため、川をまたいだ移動は難しく、また飛行機も基本的には大都市を経由する必要があるので、釣り場から釣り場への移動には適していない
そのような中で、現地民にも愛されている移動手段がハンモック船での移動だ。エコノミークラスだと客室はなく、むき出し鉄筋に持参したハンモックを吊るし、その中だけが唯一のプライベートスペースとなる。食事は朝昼晩としっかり出るので、到着までの時間はかかるが、悠久の大アマゾンを感じるにはもってこいだ
川畔の町からアマゾンの奥地へ
シングー川畔の町にたどり着いた私は、すぐさま情報収集を始めた。入った釣具店には、ブラジルではポピュラーなネルソンナカムラ製のルアーが所狭しと並んでいる。情報収集の結果、川畔の町でも釣りをすることは可能とのこと。だが、距離があり回れる場所は限られてしまう
私は地図を見ながら、目的の場所にほど近い小さな村へのエリア移動を決断した。オフロード車に10時間程度揺られ、ようやく到着したその場所は、シングー川が目の前を流れる一級エリアだった
多種多様な魚との出会い
目的の村へとたどり着いたが、すぐに釣りが出来るわけではない。ボートでの釣りを約束出来たのは到着してから2日後だった。が、いてもたってもいられずに、到着するなり釣り竿を片手に泳いで中洲へ向かう。
浅瀬には小さな熱帯魚が群れを成して泳いでいる。きっとそのどれもが有名な観賞魚なのだろうが、一旦はルアー釣りに集中する。トップウォーターを操るとすぐに水面が割れ、キクラ・メラニアエというシングー川固有のピーコックバスが釣れた
ほかにもスプーンを巻くと、ピラニアやジャクンダが次々と食いついてくる。アマゾン水系の中でも特筆して魚が多いと聞いていたが、どうやら誇張ではなさそうだ。ここからは、このシングー川で釣った魚達を紹介させていただこう
キクラ・メラニアエ
先述の通り、シングー川流域の固有種である。ピーコックバスは2023年現在で16種が確認されているが、その一角を担うのが当種だ。大きさ自体はMAXで60~70㎝程度でアベレージは40㎝少々。比較的流水域を好む傾向があり、引きの強さも相まって駆け引きがおもしろい。メインタックルはTULALA Routes(ルーツ)C60M。比較的軽めのミノーやトップウォーターをキビキビ動かすために開発したプラッキングロッドである
タライロン
南米の魚の中でもトップクラスの知名度と人気を誇るのがタライロン。大きいものは10kgを軽く超える。最初はエサ釣りで狙っていたが、着水音に異常に反応していることが判明し、音がうるさいトップウォーターで連発した
メインタックルはRoutesC69MH。世界中を一本の釣り竿だけで回るなら…?そんな問いに答えるならば、現状ではRoutesC69MH一択だ。15ℊ程度から60gまでのルアーに対応し、バッドパワーの強さはライトブッコミにも応用できる。まさにワールドスタンダードに相応しい一本だといえる
タイガーショベルノーズ
南米に広く分布しているナマズ。種類によってはかなり大型化し、食味もすこぶる良いので現地民からも好かれている大衆魚だ。今回はRoutesC69MHのブッコミ釣りで釣ったが、南米のナマズにしては珍しく、ルアーで狙うことができるナマズとしても有名
ポルカドットスティングレイ
言わずと知れた熱帯魚界のスターだが、実はシングー川の固有種である。天敵がいないためか個体数は多い。そのステルス性と毒針は、入浴代わりに川で毎日水浴びをする現地民でさえ恐れているほどのもの。対策はこれと言ってないが、日本のシーバスシーンと同じように摺り足で歩けとのことだった
ほかにもインペリアルゼブラプレコなど、小型魚を挙げるとキリがないほどの生物多様性を誇っているのが大河シングーなのである。今回は1週間ほど釣りをしたのみでこの地を去ったが、ここに書ききれない程に多くの魚が姿を見せてくれた。世界最大の大河アマゾンの懐の深さには、何度訪れても感動を覚えてしまう。次回は釣りだけでなく網などを持参して、じっくりアマゾンの魚を観察してみたい
ブラジル釣行必携のパックロッド!
今回の旅では2023年に発足したTULALAの新シリーズであるフライテクス「Routes(ルーツ)」よ り、開発中の「Routes(ルーツ)C69MH」と「Routes(ルーツ)C60M」を使用した。 フライテクス「Routes(ルーツ)」シリーズは、TULALAフィールドスタッフである筆者前野とスタッフ岡林が開発担当となり進められている、旅用のパックロッドシリーズだ。
Routes(ルーツ)C69MH
ロッド1本で世界を回るとしたら、私ならこんなロッドが欲しい…という部分をカタチにしてもらった。14g~50g程度をルアーの種類を選ぶことなく扱えるモデル。ベリーからバットにかけてはかなり強いので、ライトブッコミにも応用可能だ。
- 全長:6フィート9インチ
- アクション:レギュラーファスト
- 継数:4本(4ピース)
- 仕舞寸:55.5cm
- ルアーウェイト:10〜56g
- ライン:モノフィラ25lb(MAX) PEライン5号※状況に応じ太いPEラインを使用する場合アリ
- 定価:32,800円+税
Routes(ルーツ)C60M(プロトモデル)
このロッドは激しくルアーを動かす釣りに特化させたモデルで、10g∼20g程度のミノーやトップ ウォーターをトゥイッチやジャークさせて食わせる釣りに焦点を置いたショートロッド。同ルアーを 用いたボートシーバスなどにも相性が良い。「ルーツ」は、現在発売中のモデルからプロトまで、8機種をラインナップし進行中。世界中の旅先で「釣りが出来る」ように、汎用性を追求したシリーズとなる。今後、残りのモデルに関しても記事で紹介していきたい。
- 全長:6フィート
- アクション:レギュラー
- 継数:4本(4ピース)
- 仕舞寸:51cm
- ルアーウェイト:7〜42g(予定)
- ライン:未定
- 定価:32,800円+税
- 発売時期:2024年
Routes(ルーツ)S68ML
ブラックバスやシーバス、東南アジアの小型スネークヘッド、はたまた海ではキロクラスのロックフィッシュなどを想定するミディアムライトなオールラウンダー。今回のような「何が釣れるか不明」な釣行でも、ライト〜ミディアムなターゲットやルアーをカバーできる。もちろん国内外でテスト済み
- 全長:6フィート8インチ
- アクション:レギュラーファスト
- 継数:4本(4ピース)
- 仕舞寸:54cm
- ルアーウェイト:3〜21g(予定)
- ライン:モノフィラ10lb(MAX) PEライン1.2号(MAX)
- 定価:32,800円+税
※本記事は”ルアマガプラス”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。