【遂に発売!最強の第3世代!】DAIWAベイトリールの最高峰『スティーズ SV TW100』の全貌を徹底解説!

2006、2016、そして2024。フル新型ベイトリールとして満を持して登場するのが第3世代STEEZ(スティーズ)。先代に引き続きSVTWの名を引き継ぎ、驚くべきコンセプトと最新鋭機能をフル搭載してこの12月に100XHLからデリバリーを開始。24スティーズとは如何なる進化を遂げたのか、また100なる数字が意味するものとは何か。そのすべてがここで明らかになる。

●文:ルアマガプラス編集部

2024 シーバス特集

スティーズ SV TW 100(DAIWA)

【スペック】

アイテム標準自重(g)巻き取り長さ(cm/ハンドル1回転)ギア比標準巻糸量フロロ(lb-m)ハンドルアーム長(mm)ベアリング(ボール/ローラー)最大ドラグ力(kg)ハンドルノブ仕様
24スティーズ SV TW100160676.712-40~808512/15HG-Iシェイプライトノブ
24スティーズ SV TW100L160676.712-40~808512/15HG-Iシェイプライトノブ
24スティーズ SV TW100H160787.812-40~808512/15HG-Iシェイプライトノブ
24スティーズ SV TW100HL160787.812-40~808512/15HG-Iシェイプライトノブ
24スティーズ SV TW100XH160858.512-40~808512/15HG-Iシェイプライトノブ
24スティーズ SV TW100XHL160858.512-40~808512/15HG-Iシェイプライトノブ

スティーズ第3世代を象徴する「100」の数字

第3世代スティーズの正式名称は『スティーズ SV TW 100』。
その名の通り、DAIWA独自の“SV”スプールと、同じくレベルワインド“TWS”が搭載されていることは明白だ。それぞれがスペックアップを果たしていることは後述するが、何より気になるのは“100”の数字だろう。
元来、DAIWAベイトリールのネーミングに添えられる数字は、ラインキャパシティを意味してきた。先代の16スティーズであれば、1012及び1016の表記があり、それぞれ12lb、16lbが最大100m(*推奨は40〜80m)を収納できるφ34mm径スプールが組み込まれたことを示している。

16スティーズ

後に登場した派生モデルの19スティーズ CT SV TWではφ30mm径の700、20スティーズ AIR TWはφ28mm径で500と表記。

19スティーズ CT SV TW [写真タップで拡大]

20スティーズ AIR TW [写真タップで拡大]

そしてオリジナルと同じφ34mm径の21スティーズ LTD SV TWが1000と表記されたことで、ラインキャパシティとスプール径が意味するDAIWAベイトリール体系が確立したことはご存知だろう。

21スティーズ LTD SV TW

ところが新型の24スティーズ SV TWには“100”の表記がある。これまで通りの基準であれば、φ28mm径のAIRからさらに小口径のスプールを搭載している計算になるが、否、異なる。

搭載されたスプールは、従来のスティーズシリーズには存在しない“φ32mm径”で、推奨ラインキャパシティは“12lb×40〜80m”。つまり最大で12lb×100mを収納できるスプールに対して、新たに“100”という基準値を打ち立てたことになる。
現代の国内バスフィッシング・ベイトリールにおいて、最も使用頻度の高いライン径と言えば12lb。必要存分なラインキャパシティを収納できるスプール径として、DAIWAが選択したのはφ32mm径。小口径化によりさらなる低慣性化を果たしたことで、より遠くへよりスムーズにルアーを飛ばせるモデルが仕上がったのだ。今後のスティーズシリーズは“100”を基準に、次世代の新章が幕を開ける。

飛びの設計思想「アルティメットキャスティングデザイン」を初採用

24スティーズ SV TW100が身に付けた最大のトピックは、飛びの設計思想“アルティメットキャスティングデザイン”(以下、UCD)。それはアングラーが求めるイメージ通りの飛びを実現すべく打ち立てた4つの要素から成立する設計思想だ。
いずれもDAIWAが長きに渡り温め続けてきた電磁誘導ブレーキ・MAGFORCEの性能を極限まで高めるべく求められた技術革新の結晶。21ジリオンで初採用され、現代DAIWAベイトリールの礎となる巻きの設計思想“ハイパードライブデザイン”と対になり、巻きのみならず飛びでも類稀なるアピリティを発揮していくものだ。
24スティーズ SV TW100は、UCDにおける以下4つの要素をフル装備している。

  • アルティメットキャスティング・ブレーキ
  • アルティメットキャスティング・ゼロアジャスト
  • アルティメットキャスティング・ラインガイド
  • アルティメットキャスティング・スプール

各要素の詳細は、次項からひとつひとつ明らかにしていこう。

「SV BOOST」が実現する、さらなる飛びと快適性能

“アルティメットキャスティング・ブレーキ”とは、汎用性や遠投性、フィネス性能などアングラーが求めるブレーキ特性を決定付けるUCDの要。DAIWA独自の電磁誘導ブレーキ・MAGFORCEと、スプールの回転に応じて磁界に出入りする可変インダクトローターによる完全非接触式ブレーキシステムによって可能となる設計思想だ。

MAGFORCEは摩擦に頼ることのない非接触式だからこそ、水没や雨、飛沫、湿度など使用環境の影響を受けにくい。またパーツの消耗もごく少ないため、その優れた性能は半永久的に持続することこそが強みだ。
24スティーズ SV TW100に採用されたブレーキシステムは、“SV BOOST”。キャスティングにおいてアングラーがストレスなく、あらゆる状況やルアーに適材適所に対応できるSVの機能はそのままに、さらなる遠投性能にBOOSTを駆けるシステムとして知られる。


その仕組みは、スプール回転に応じて外側へ飛び出すインダクトローターが2段階飛び出してブレーキコントロール。通常のキャストでは1段階で快適なキャストを促し、フルキャストでは一気に2段階飛び出すことで過剰な回転を抑え、直後に1段階へと戻りキャスト後半のもうひと伸びを実現する。
21ジリオンSV TWへ初採用されて以降、21スティーズ LTD SV TWにも採用され既に定評のブレーキシステム。これが、続くUTDの要素“アルティメットキャスティング・ラインガイド”、“アルティメットキャスティング・スプール”と融合することで、さらに快適かつ優れた遠投性能を発揮することになる。

ライン放出性能を最大化する新型TWSとの相乗効果

“アルティメットキャスティング・ラインガイド”は、ラインの緻密な巻き取りと、キャスト時の無抵抗範囲の拡張を両立するDAIWA独自のレベルワインド・TWSを主とする設計思想。この機構によって、放出されるラインの流れはスムーズ化され、ロングキャスト性能が飛躍的に向上するばかりか、ライントラブルを大幅に軽減する。

13初代タトゥーラにターンアラウンド式が搭載されて以降、各スプールに応じたサイズのTWSを搭載して、今やDAIWAベイトリールのアイコニックな存在。24スティーズでは、そこにもメスを入れ、さらなる進化を遂げている。それが“新型TWS”だ。

画像左は今回新たに採用された新型TWS、画像右は従来のTWS。

一見すると、開口部は横幅が狭小化しているが、注目はTWS内側の上下面。テーパード化が施されることで、先代モデルとの比較で実に16%の拡張に成功している。また開口部の拡張のみならず、特殊表面処理DLCによって滑りを向上させることで、ライン放出性能を最大限に発揮したのだ。
同形状テーパードの有無による飛距離テストでは、最大4.9%の飛距離アップを達成。新型TWSによる優れたキャストフィールは、アングラーのキャスト欲を掻き立て集中力の向上にも貢献する。

バーサタイル性を高める「φ32mm径スプール」の真実

“アルティメットキャスティング・スプール”は、特殊素材と加工技術によって高強度・低慣性スプールへと磨き上げる設計思想。ベイトリールのスプールには主に強度に優れたアルミ系合金が採用され、素材が持つ特性を最大限に活かすべくDAIWA独自のテクノロジーで設計及び加工される。
24スティーズのスプールには、素材としてG1ジュラルミンを採用。アルミ系合金の中でも最高強度かつ最上グレードに位置付けられるマテリアルで、マグネシウムとの比較で2倍、超々ジュラルミンの1.3倍の高強度を発揮。同形状のスプールを作り上げれば、強度を保ちつつ圧倒的な軽量化を果たすことが可能だ。

G1ジュラルミンは航空機の建造材や精密機器にも採用される特殊アルミ合金。そのため高精度に仕上げるには優れた加工技術を要する。DAIWAの技術力が精密かつ薄肉に仕上げたことで、回転レスポンスの高さ、正確無比な回転へと繋げている。
そのスプール径は、φ32mm仕上げ。各モデルを振り返ればφ28mmのAIR、φ30mmのCT、φ34mmのLTDとAⅡ、φ36mmのHLC。2mm刻みで構成されるスティーズベイトリールのスプール径の中で、唯一空いていたφ32mmの穴を埋めることになる。

小口径になるほどに軽量ルアーでのキャスタビリティを向上して、大口径になるほどに中重量級クラスへの対応力を増すスプール径。φ32mmは、先代から2mmの小口径化を果たすことで、より軽量クラスへの対応力を向上しながらもバーサタイル性を保つ低慣性スプールへと昇華した。

またアルティメットキャスティング・ブレーキ&ラインガイドといった各設計思想との相乗効果が遠投性能に拍車をかけていることは言うまでもない。

メカニカルブレーキ不要論「MAGFORCE」の偉大なる功績

“アルティメットキャスティング・ゼロアジャスト”は、従来存在してきたメカニカルブレーキからの脱却を示唆する思想。スプールのガタを一度設定すれば後は外部ダイヤルのみでブレーキ設定が可能なゼロアジャスターとは根本的に異なる機構で、もはやメカニカルブレーキ自体が存在しないのが24スティーズなのだ。
メカニカルブレーキとはスプールシャフトの一端を支持することで、回転を抑える構造。最適な調整方法には諸説あり、古来から曖昧かつ個人の感性に頼るものとされてきた歴史がある。ベイトリールにおけるテクノロジー華やかなりし現代において、前時代的な機構を排除することがDAIWAの狙いだ。
元来、スティーズベイトリールは先代スティーズ SV TWの時点で、既に外部調整ダイヤルのみでのブレーキ調整を完結済み。サブとなるメカニカルブレーキを要せず、新たなる構造に仕上げることでサブブレーキレス構造へと進化させることは必要不可欠な想いだった。
旧ゼロアジャスター部には、新たに“オイルインジェクションキャップ”を搭載。サブブレーキとしての機能は有せず、キャップを外すことでピニオンボールベアリングへの注油及びメンテナンスが可能となる。なお、キャップの取り外しは専用工具を要する仕組みだ。

攻守に盤石の24スティーズ「第3世代」が未来を育む

飛びの設計思想・UTDにおける4つの要素をフル装備。そして巻きの設計思想・ハイパードライブデザインも無論、フル装備したことで、攻守に盤石のモデルに仕上がった24スティーズという傑物。

各部が新たな機構で進化しながらも、自重は同クラス最軽量級となる先代の160gを維持したことは注目に値する。またスプール小口径化に伴い、サイドプレートは狭小化。パーミング側で1.8mm、ハンドルアーム側で1.3mmのコンパクト化を図り、より握り込みやすくパワーファイトにも万全なフォルムへと仕上がっている。

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さらにドラグは効き始めのムラがなく滑らかなUTDを採用。薄型に仕上げた新形状のスタードラグは引き出しクリック音と共に操縦性を高める。ハンドルは定評の85mmで、吸い付きの良いハイグリップ-Iシェイプライトノブを採用して操作性を高める。


単に軽いだけではなく、剛性を高め、なおかつコンパクト化を図った第3世代スティーズ。すべての機能面において、アングラーのユーザビリティを最大限に高めることに成功したことは言うまでもない。次なるバスフィッシングの時代は、24スティーズ SV TW100が担っていく。


※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。