シーバスフィッシングの魅力の1つは、様々な釣り方を許容する懐の深さだ。大型ルアーでシーバスの限界に挑む衣川さんは、その魅力に取りつかれたアングラー。自身がプロデュースする専用ニューロッドとともに、ビッグベイトの釣りを解説してもらった。
※2020年11月配信記事に加筆修正し公開しています
●撮影/文:ルアーマガジンソルト編集部
解説して頂くのはビッグベイトシーバス界の異端児!
衣川 真吾(きぬがわ・しんご)
兵庫県姫路周辺のエリアをホームとして、大型ルアーを使用したシーバス釣りで活躍。中海にも足しげく通い、ビッグベイトの有効性を実践の上で提唱。ゼナックのフィールドテスター。
ベイトが大型化する秋こそBB(ビッグベイト)パターンがハマる!
ビッグベイト及びジャイアントベイトでのシーバス釣りになじみがないと、趣味的要素が強そうなイメージを持つかもしれない。
衣川「私は1年中ビッグベイトを投げ続けていますが、実際には、実用性の高い釣りです。大きいシーバスがターゲットだと思われがちですが50cm、60cmのシーバスも普通に喰ってきまよ」
ビッグベイト特有の集魚力の高さで大型のシーバスを狙うのはもちろんだが、その効果は大型シーバスのみに留まらない。普段のローテーションに組み込むことで、より幅の広い展開も可能となる。
これからの季節は、特に大型ルアーの効果がさらに高まるという。
衣川「全国的にも、夏過ぎまではイワシなどの比較的小型のベイトをシーバスが捕食する傾向ですが、秋が深まるにつれ、コノシロやサッパといった大型のベイトを捕食するようになります。そうなると、ビッグベイトの威力はさらに増すでしょう」
では、今回の取材も期待できますね。
衣川「ん~、実は情報として、まだ秋の大型ベイト捕食パターンが始まったということを確認できていないんですよ。タイミング的にもまだ微妙に時期が早いんで、ちょっと心配…」
ルアーマガジンソルトの取材時は9月後半、ベイトが大型化するにはまだまだ早いタイミングで、弱気な発言をしていた衣川さんだったが、実釣開始直後にすぐにチェイスが…!
衣川「おおっ! 今、追ってきましたね! ひょっとして、これは期待できるかもしれない…!」
そして、その言葉通り2つめのポイントでシーバスがヒット! 水面を割り、強烈なファイトを見せるが、ロッドのパワーにはまだまだ余裕がある印象。
衣川「チェイスがあったので止めたりラトルで誘ったりして何とか喰わせました。ビッグベイトは、何度もアタックしてくる場合が多いですね」
使用したのは6inモデルで、5inも存在。左右へのスライドアクションと内蔵するラトルによるサウンドアピールで、シーバスへしっかりと存在をアピールできるルアー。衣川さんのお気に入りの1つ。
流入河川の河口エリアへ移動。さらに反応は続く!
スポットを大きく移動。次に狙ったのは、中海へと注ぐ流入河川の河口部、オープンなエリアだ。この移動が奏功し、衣川さんの操るトップウォータープラグに2尾目のシーバスが反応!
トップウォータープラグに反応させキャッチした2尾目。ルアーをあえて激しめに動かし、派手なスプラッシュで出してアピールさせたのが功を奏した。
衣川「いい感じ! これはひょっとして中海の秋、始まったのかもしれない! この後に行くポイントでそれがはっきりしますよ」
この後のポイント? それは一体…?
集魚力の強い大型ルアーは、「オープンエリア」でこそ威力を発揮する
次に入ったポイントは、これといった特徴のないオープンなエリア。こ、ここでシーバスを狙うんですか…!?
衣川「夜、シャローエリアでベイトを積極的に捕食していたシーバスは、日中、隣接するディープに落ちて過ごすことが多い。この個体を、オープンエリアで狙うんです」
な、なるほど…。
衣川「一見、取り止めのない釣りに見えると思いますが、ビッグベイトの持つパワーを最大限活用する釣りなんです。捕食モードではないシーバスのスイッチを強引にONにして、さらに表層まで誘い出す、アピール力のある大型ルアーだからこそ成立する釣り方です」
先ほどの杭周りの釣りとは真逆の釣りだが、これこそが秋の中海の本命パターン。衣川さんと船長が試行錯誤を繰り返してたどり着いたシーバスゲームである。
衣川「こんな釣りなんで、半端なサイズのルアーを使っていると、シーバスから認識されてないんじゃないかって不安になるんです」
その不安から、ルアーサイズをどんどんと大きくしたくなるという。まさに、ビッグベイト中毒!
衣川「極端なことを言うと、ストラクチャーの釣りはビッグベイトでなくても成立しますよね。でも、このオープンエリアのボトムからシーバスを引きずり出す釣りは、ビッグベイトでないと成立しない。反応させられたときの喜びはホント、たまらないですね!」
残念ながら、シーズン初期ということもあり、この釣り方ではキャッチに至らなかったが、シーバスのチェイスは何度もあった。季節が進めば、これらの個体の反応がさらに良くなるはずだ。
ボート用ビッグベイトロッド(PA-B67)が持つポテンシャル
ビッグベイト、ジャイアントベイトを操作する上で専用ロッドの存在は非常に大きく、釣果をも左右すると言える。
衣川さんが監修する、ビッグベイト特化ロッドSOPMODブランドに、新たな機種が追加された。それが、今回衣川さんが使用したPA-B67(ゼナック)である。
衣川「先に陸っぱり用として8ftモデルがリリースされました。今回登場するのは、ボート用のビッグベイト、ジャイアントベイト特化型モデルとなります。スペースが限られるボートでの取り回しの良さを確保するために、6ft7inというレングスに設定。ルアーウエイトは最大で300gなので、たいていの大型ルアーは背負えるパワーを確保しています」
単に重量級のルアーを扱えるというだけではない、操作性へのこだわりもこのモデルの特徴だ。
衣川「パワーは十分確保しつつ、キャスト時にはブランクスがしっかりと曲がって仕事をしてくれます。1日中、重量級ルアーを投げ続けることも想定しているので、身体への負担も軽減するためのしなやかさも両立しているのが特徴です」
こだわりは、グリップのEVA素材の選択にも及ぶ。
衣川「色々と試したんですが、柔らかいEVAは変形してパワーロスにつながるということがわかりました。そこで、グリップのEVAにはあえて硬質のものを採用し、キャスト時など大きな負荷がかかる際にも変形しにくいようになっています。ここも、ビッグベイト特化型もでるとしてのこだわりの1つですね」
ガイドセッティングにおいてもとことんこだわっており、ティップ部のガイド、1番目と2番目の感覚がやや詰まっているのがわかるだろうか? ライントラブルが致命傷となるビッグベイトの釣りにおいて、その可能性を徹底的に排除するためにたどり着いたセッティングである。
重量級ルアーをキャストし自在に操作する。シーバスを掛けてからのファイト時のパワー、全ての瞬間に、最高の体験が得られるのが専用設計の利点。ビッグベイトを知り尽くした衣川さんだからこそたどり着けた高みだと言えるだろう。
ボートでビッグベイト、ジャイアントベイトを扱うという部分に特化して開発されたPA-B67 SOPMOD EBR。衣川さんのこだわりとそれに応えるゼナックの技術力が結実したモデルだと言えるだろう。
取材時の衣川さんのタックルセッティング
では、実釣取材時に衣川さんが使用した2セットのタックルの詳細を見ていこう。
画像上)
●ロッド:プレジールアンサー PA-B67 SOPMOD EBR(ゼナック)
●リール:カルカッタコンクエスト301(シマノ)
●ライン:PE6号
●リーダー:バリバス VEPショックリーダー[ナイロン]60Lb(モーリス)
画像下)
●ロッド:プレジールアンサー PA-B67 SOPMOD EBR(ゼナック)
●リール:グラップラー301(シマノ)
●ライン:PE8号
●リーダー:バリバス VEPショックリーダー[ナイロン]80Lb(モーリス)
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