バス用ロッド「ベルサート」シリーズや、ソルトルアーゲーム用シリーズ「ソルティステージプロトタイプ」など、アブガルシアが誇るフラッグシップロッドたちに採用されているブランクス製法がある。その誕生からすでに時間はたつものの、今なお優れた技術であることは、先に挙げたロッドたちの活躍が物語っている。その名は『TAF(Triarchy Force)』製法。強く軽いブランクスを生み出すための3つの製法の組み合わせなのである。今回はそのそれぞれの製法に関して紹介しよう。
●文:ルアマガプラス編集部
TAF製法の特徴1:CPCブランクス
ひとつめが「CPCブランクス構造」。
ブランクスを作る際に使用するカーボンシートの繊維方向を縦横直角に組み合わせることで、ブランクスとしての性能を生み出しつつ潰れ方向に対する強度を確保。なおかつ、補強としてのグラス素材を必要としないため、100%カーボン素材が成立し、驚くべき強度と軽さに繋がるのである。
そのあまりの強度のおかげで、TAF製法が採用されているロッドはテープや多軸シートによる補強を必要としないのである。
なお、メインとなるブランク素材には東レ社のナノアロイテクノロジーを用いた低弾性・中弾性カーボンを使用しているため、トルクのある仕上がりとなるのである。
TAF製法の特徴2:DPH構造
簡潔に言うなれば、従来の製法に比べてより薄いカーボンシートをより多い回数巻き付けるという構造だ。
この方法を採用することで、細く繊細なロッドやティップ部分にもしっかりと役割を持たせつつ、縦横繊維がしっかりくみあわさったCPC構造が活きて強靭に作ることが可能。
また、より多く巻けることで強度を出しやすく強いロッドを作ることもできてしまうのである。
さらには巻ける回数が多い=組み合わせの余地の多さであり、従来製法に比べて弾性率の異なるカーボンシートをより複雑に組み合わせることも可能なのだ。
加えて複数枚のカーボンシートの巻き始めと巻き終わりをずらすことができるため、カーボンシートの端がブランクスに癖を与える「スパイン」を無くすように製造することすらもできてしまうのである。
TAF製法の特徴3:OCPD
3つ目の製法はカーボンシートのカット方法。
従来方法ではブランクス状(筒状)にした際にカーボンシートの繊維方向がティップ―バットという鉛直方向からズレてしまうことも多かった。
これを極限まで排除するために、カーボンシートをカットする段階から吟味。
繊維方向がロッドに適した方向性になるよう、配慮してカットするのである。
これによって生み出されるブランクスには歪みが少なく、カーボンの性能を存分に発揮することができるのだ。
1枚のカーボンシートからできるだ多くのロッドが作れるようなカット方法が選ばれることも多いのだが、TAF製法ロッドでは採算度外視とも言えるこの方法を採用しているのである。
TAF製法が引き出した中弾性ブランクスの本気
CPCブランクス:縦横の繊維を組み合わせた100%カーボンを使用
→グラスと併用するよりも圧倒的に強く軽いブランクスが作れる
DPH構造:同じ肉厚のブランクスでも従来の倍量のカーボンシートを巻きつけ
→複数種類のカーボンシートを組み合わせることでブランクス特性の幅が広い
OCPD:カーボン繊維がブランクスの縦方向と平行になるようにシートをカット
→カーボン素材の持つ強さを無駄なく発揮できる
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