シン・ドラハンとは何ぞや? それは劇的な体験をハントする、いわば感動の狩人。ちなみにドラハンは「ドラマチックハンター」の略語だ。今回は岸釣り×ライブスコープを検証するために、休眠状態だったドラマチックハンターに召集がかかったぞ!
●文:ルアマガプラス編集部
Profile
第1撃 オカッパリライブスコープに挑戦!
適任中の適任 器用系アングラー!
テッペイ「あ、オリキンさん、久しぶり。実は折り入ってお願いがあるんですけど…」
オリキン「え、なんだか嫌な予感がしますね」
テッペイ「いや、そんなことないよ。実は俺がものすごい企画を考えちゃったら、それが通っちゃってね。その名も『オカッパリライブスコープ』」
オリキン「オカッパリ? そんなの無理でしょう。ブラックボックスとか、バッテリーもあるし」
テッペイ「そんなものは俺が背負うよ。ただ、オリキンさんにはライブスコープを持ち運べるシステムを作ってもらいたい」
オリキン「…」
テッペイ「あれ? 電波弱い?」
オリキン「フフフフ…それ、面白そうですね。やりましょう」
正直この企画、オリキンに断られたら、ほぼ実現不可能だった。
テッペイ「俺、ちょうどいい大きさの背負子を見つけたからさ、それを経費で買って送るよ」
オリキン「それ、頼むかもしれません。で、誰のライブスコープ使います?」
テッペイ「いやあ、申し訳ないね」
この時オリキンは、自分のボートから魚探一式を外さなきゃいけないことに気がついた。
これが、オカッパリライブスコープだ!
万が一ライブスコープを知らない人のために
まずライブスコープの説明をしておこう。ライブスコープとは水中前方の様子がリアルタイムで映し出される魚探。魚の動きはもちろん、ルアーを追ってきて襲い掛かるところまで見えるという、恐ろしいアイテムだ。ただ、これを使うためには、当然バッテリーが必要。それだけではなく、ブラックボックスと呼ばれる情報処理装置も不可欠だ。それに加えて魚探本体とセンサーの役割を担う振動子がないと動かない。かなりの大荷物なので、正直レンタルボートにセットするのにもかなりの労力を要する。それをオカッパリで使おうとするなんて、かなり無理がある話なのだ。でも、オカッパリで使えたら、もう陸王制覇も夢ではないはず。
取材の数日前にオリキンから連絡が入った。
オリキン「やっぱり例の背負子買って送ってくれませんか? それから、テッペイさんの体の横幅を測って教えてください」
それってなにか意味あるのかな? と思ったが、一応図ると47cmだった。
テッペイがたまたまブックオフで見つけたこのフレームザックが、今回の企画にシンデレラフィット。3,300円で購入。実はDAIWAでは現行品もあり、価格は3万9,000円だった。
こんなこと頼めるのオリキンしかいないぜ!
朝からトラブルの連続 この企画大丈夫か!?
早朝6時、常陸利根川。待ち合わせ場所にいたオリキンは、テッペイ専用にチューンした背負子を地面に置いた。ちょっと見慣れないモノなので、土手にいた茨城県民の方々が、見て見ぬふりをしている。
テッペイ「うおお! これは、素晴らしいけど…入るかな?」
オリキン「大丈夫です。横幅は47cmより多少余裕持たせてますから」
しかし、現実はそんなに甘くなかった。
テッペイ「く~、きついぞ」
オリキン「そんなに? 大丈夫なはずなんですけどね」
テッペイ「俺の場合、お腹の横幅だけじゃなく前後の幅も相当あるんだぞ」
オリキン「でも入ったじゃないですか。さてと魚探を付けますよ…あれ?」
テッペイ「どうしたの?」
オリキン「魚探が付かない。お腹にピッタリくっつくから画面が見えません」
テッペイ「逆にしたらいいかもよ」
オリキン「裏側から配線を出すので…それも無理」
いきなり企画倒れ? いや、そんなことであきらめるオリキンではなかった。車の中から様々なパーツを出すと、20分ほどで魚探の取付け台を、お腹のちょっと先にまで伸ばすことに成功!
オリキン「これでどうですか?」
テッペイ「大丈夫だ! よし、いよいよライブスコープ、使ってみよう」
その時、ウイイイイイイイン!
草刈り機の音がけたたましく響いた。さっきの人たち、これが目的で土手の上に集まっていたのか!どうやら今日は、町内会の草刈りの日だったのだ。
「ちょっと声が掻き消されちゃうので場所変えましょうか」
これは動画カメラマンの田中さん。
6時に集合した割に、もう9時を回っていた。
本当にあった見積違いの話
いよいよ試運転開始。お、お魚見える?
スイッチを入れるとそこには魚の楽園が!
オカッパリライブスコープセッティング
試しに土手を降りてみたら、草刈り機の音がかなり遠くなった。これならいける。テッペイはスイッチを長押しした。すると、画面にはGARMINの表示。通電している。護岸の際から、アルミポールを下ろし、振動子を水中に入れた。するとモニターには、桃源郷が映し出された。
オリキン「ひゅ~、これはスゴイ」
テッペイ「これ全部魚じゃないの? すごい量だね」
オリキン「いや、魚は魚だけど、バスかどうかはわかりません」
テッペイ「でかいな!」
オリキン「それ絶対、巨大魚です。レンギョいっぱいいますから」
この場所ではロッドは振らず、別のポイントに移動してみたがそこはあんまり魚がいなかった。
テッペイ「よし、じゃあ絶対に魚がいるってわかってる場所に行こうぜ。先週、サミーで2回ヒットさせたからさ。多分、バスの魚影が濃いはずだ」
これにはオリキンも賛成して、常陸利根の支流に入った。斜め護岸を降りて、振動子を水につけてみると。
オリキン「これは…バスかもしれない」
ほんの10mほど先に魚らしき反応がある。まずはスピナーベイト。
テッペイ「追ってる!」
オリキン「バスっぽいですね」
ライブスコープの画像で魚種まで見極めるのは難しい。でも、ルアーを追ってきたら、それはバスである可能性が高いのだ。
テッペイ「ダウンショットは?」
オリキン「やってみますか!」
テッペイ「今沖に大群がいるよ」
オリキン「バスじゃないですね。カスミのバスがそんなにいっぱいいるわけないから(笑)」
大群もバスではないらしい。それもなんだか夢がないなあ。
祝・人類史上初 オカッパリライブサイト・フィッシュ
そのとき歴史が動いた! 世界初(!?)の偉業達成!
テッペイ「やっぱりサイコロラバーのダウンショットがいいんじゃない」
オリキン「HPミノーのダウンショットやります」
テッペイは、振動子を動かしてバスらしき影を探す。
オリキン「6m先にバスっぽい魚がいますね」
テッペイ「追ってきたね。ここもなんかいるじゃん」
オリキン「来た、何かが来た」
テッペイ「来たね」
オリキン「おっ、おっ、おっ」
テッペイ「来た来た来た!」
オリキン「やったやった」
テッペイ「見たよね?」
オリキン「見た! すごーい」
ここまではモニターを見た2人の会話。そして気がつけば、オリキンの手には小さなバスがぶら下がっていた。
オリキン「やったー!」
テッペイ「これはひょっとすると人類史上初のオカッパリライブサイト・フィッシュじゃないか?」
オリキン「間違いないでしょ。面白かった!」
テッペイ「俺たちが一番乗りだ」
サイズはともかく、バス釣りの歴史に新たな1ページが加わる大きな意味のある魚。偉業を成し遂げたふたりは大興奮だ!
この大きさのバスだって、世界初は世界初だ
どうせなら、俺にも釣らせろライブスコープ
新たな釣りの楽しみ方発見! もしかしたらこれ流行るかも!?
テッペイのお腹の大きさに合わせるため、昼食後はホームセンターに立ち寄り資材を購入。背負子の枠を増強させ、水中に入れる振動子の棒も伸ばした。
オリキンに妥協という文字はないのだ
そして完成した第4世代モデルは、120kgを超えるテッペイのお腹もしっかりと収まり、バーが伸びたことで水中もサーチしやすくなった。釣り終了まで残り約1時間。追加フィッシュを狙って和田ワンドに望みを託す。
テッペイ「18m先のクイまでバッチリ映ってるな。結構追ってくるじゃん!」
オリキン「めっちゃ魚いますね。ただこれもバスじゃないんだろうなぁ…。いや、少しバスもいるっぽい。この追い方はバスですよ」
スマホに飛ばす機能あり
和田ワンドに無数にあるクイを、スピナーベイトやダウンショットで1本1本探っていく。
オリキン「魚がいるクイといないクイがはっきりしてるんですね。これはライブスコープじゃないとわからないことですよ」
テッペイ「今は霞ヶ浦の魚が減っちゃったけど、もっとバスがいたころにこれ使ってたらどうなってたんだろうな」
結局、この日は追加の魚は釣れず納竿。しかしながらオカッパリライブスコープの可能性を大いに感じることができ、実験は大成功と言えるだろう。
テッペイ「小バスしか釣れなかったけど、めちゃくちゃ 楽しかった! 背負子のシステムも良かったし、オリキンに頼んで正解だったよ!」
オリキン「まだまだ改良の余地がありそうですけどね。もっと時間があれば…」
テッペイ「じゃあ今度は2台用意してライブスコープ陸王でもやるか!?」
オリキン「こんな重たい魚探道具一式を背負いながら歩けるの、テッペイさんくらいしかいませんよ…」
なにはともあれ、バスを釣ることができた今回の実験。この企画が好評ならリベンジ編がある、かも? 協力者募集中です!
シンドラ横丁
潮来に行ったら、和源でランチ
潮来の近くで釣りした際、ランチタイムは和食の美味しい「和源」がオススメ。テッペイは悩んだ末にサンマ塩焼き定食を選択。車だけではなく、ボートでも行ける店なのだ!
住所:茨城県潮来市潮来532。水曜定休。
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