川から海まで!! ハートランド&リベラリスト’24年モデル実釣解説! 【村上晴彦・ハートランドエボリューション】

DAIWAが展開するYOUTUBEチャンネル『ULTIMATE BASS』の注目コンテンツ『ハートランド・エボリューション』は既にご覧いただいただろうか(*ルアマガプライムにて先行公開中)。村上晴彦さん開発による銘竿・ハートランドシリーズを、実釣を交えて徹底解明していくこの番組。最新作は、注目の新作2024モデルを手に岸釣りのバスからオフショアの青物まで、ノーリミットにて次々にその真価を魅せていく。ココではその全容を、ロッドの機種ごとに徹底解説だ!

●文:ルアマガプラス編集部

PROFILE
村上晴彦(むらかみ・はるひこ)
1990年代に常吉リグ、根こリグなど、現代主流となる先駆けの数々を世に解き放った天才釣り師。自らの感性をフィードバックして開発したロッドシリーズ、ハートランドは四半世紀を超えてもなお厚い支持を受け続けている。

2024 新製品情報

2024年新作ハートランドを手に、山にバス釣り、海に青物…全機種ローテで挑む!!

魚を掛けた時の曲がり、魚との駆け引き、そして魚釣りを純粋に楽しむことができるこだわりの竿。それが 『ハートランド』と呼ぶ、村上晴彦さんによる名作ロッドたちの基本コンセプト。数多の銘竿の系譜はさらなる進化を遂げ、今季2024年も派生機種を含め、実に合計6本が産声を上げた。

Vol.1では、村上さん自らDAIWA本社に出向き、プロトモデルを手に最終チェック。かつ、ハートランドの歴史を紐解くクロニクル的な振り返りをしていただいた。
その貴重な映像がコチラ。

今回の『ハートランド・エボリューション』vol.2では、その新作6本のうち4本を使って村上さんが実釣テスト。昨夏、順調な仕上がりを見せていた最終プロトを手に、バスで、そしてソルトでその本領を発揮した模様が収録されている。

バス編の舞台は、京都と奈良の県境に位置する高山ダムのバックウォーター。

ちなみに現在、ハートランドブランドとしては『フラッグシップ』『スタンダード』の2シリーズと、その派生としての『リベラリスト』が存在する。

その中で村上さんが最初に手にしたのは、
スタンダードモデルの“HL722MLRSS-24”と“リベラリスト733MLRSS-24”だ。

「どちらもMLパワー、RS(=レギュラースロー)テーパーで、7ft2inと7ft3inという近いレングス。72は何でもやれるけどバスロッド、73は何でもやるロッド。2本ともよく似てるけど、実は決定的な違いがある」

右がスタンダードモデルの“HL722MLRSS-24”、左が“リベラリスト733MLRSS-24”。いずれもこの段階ではプロトタイプであったため、コスメの装飾はない。

2本の大まかな使い分けを解説した上で、まずはその前者“HL722MLRSS-24”について深掘りしていく。

“ハマスピ”現代進化版…HL722MLRS-24

まずはスタンダードモデルの1つ、「何でもやれるけどバスロッド」の“HL722MLRSS-24”を解説していこう。

722MLRSS-24
SPEC
●全長:2.18m
●継数:2
●仕舞寸法:113cm
●標準自重:99g
●ルアー重量:1.8~7g・1/16~1/4oz
●適合ライン・ナイロン/PE:4~6lb・0.5~1.0号
●価格:5万7750円(税込み)

コンセプトのベースはハマスピニングスペシャル。
浜に立ち込み、各種ライトリグを遠投して自在にアクションするために開発された、通称ハマスピと呼ばれた銘竿中の銘竿の進化版。4inのロングレングス化で遠投性能を向上した一方で、現代の最先端テクノロジーが長さを感じさせない使用感をもたらすと共に優れた操作性を実現している。

「先はわりと硬め、張りアリめ。そのままバットまでスローなグラデーションで、先調子にも見えるけど胴まで入る竿」

ストレートワーム4inの5gライトキャロをセットして、まずは第1投。

「元々はジグヘッド1/16ozを投げて、ウィードや岩を絡めて釣るために開発した竿。穂先が食い込むことなくウィードをほぐせるように、穂先に張りを持たせたアクション(させる)ロッドやね」

張りのあるティップを持つRSテーパー。その構造が意味するところとは何か。

「全体的に硬いと、魚を取り込む時に大変。胴を柔らかく仕上げたことで、ルアーをアクションさせた時に胴が揺れてくれて、弱い入力でもルアーがしっかり動いてくれる」

バスロッドならではの高感度に繋ぐ軽量感も備えている。

「胴が柔らかいと言っても、硬めのティップから徐々に反発力が増していくブランクで、しっかりとフッキングが決まる。水中の情報収集能力もすごい。軽く竿を作ると、手元に伝わる力が伝わりやすくなる。だから、軽さは感度に繋がっていくし、操作性も高くなる」

解説しながらのわずか2投目にして、40アップがヒット!
足下の岩に潜られるも難なくランディングへ。

「バスは根魚と違うので、潜っても貼り付かない。ゆっくりやり取りすれば大体言うことを聞いてくれる。ただリーダーは(岩に擦れて)ザラザラになるんで、無理矢理引っ張ったらダメやね」

小型のハードルアーから、7gのライトリグまでをこなせるロングバーサタイルスピニング。ハートランドの歴史に残る銘竿を凌ぐ1本がここに完成した。

<村上晴彦使用セッティング>

●ルアー:ストレートワーム4in+5gライトキャロ
●ロッド:ハートランドHL 722MLRSS-24
●リール:イグジストLT2500S-H
●ライン+リーダー:PE0.8号+フロロカーボン12lb+8lb

「超何でもできるスピニング」…リベラリスト733MLRSS-24

続いて手にしたのは、『何でもやるロッド』の“リベラリスト733MLRSS-24”。

リベラリスト733MLRSS-24
SPEC
●全長:2.21m
●継数:3
●仕舞寸法:94cm
●標準自重:130g
●ルアー重量:4~25g・ジグ5~30g
●適合ライン・ナイロン/PE:6~16lb・MAX1.5号
●価格:6万8750円(税込み)

前述のスタンダードモデルと近しいレングスだが、こちらは『ターゲットに外道なし』がコンセプトのリベラリストシリーズ。バスのみならず、淡水及び海水、ショアキャスティングからボートゲームまで場面を選ばず幅広いスタイルに対応するモデルの1つだ。

「(HL722MLRSS-24)とよく似てるけど、ここ…ベリーの粘りが違う。というのも、海の魚はバスと比べてスピードが速いんですよ。急な締め込みや突進に耐えるために、竿を立ててアカンと思ってももう一段曲がってくれる。そこがバスロッドとの大きな差」

肉厚かつ細身に仕上げ、耐久性を極限まで追求したリベラリストのブランク。初期ハートランドから続くチューブラーパワースリム構造を踏襲して、曲がり込むほど素直に反発力を増していく。

「それと、全体を通して長くしたグリップもこだわったところやね。エンド部分は脇に挟んでアクションできるし、ファイトがラクになるようにしっかり握れるフォアグリップも付けてます。バスだけじゃなくて、海のボートゲームでのジギングやキャスティングもOK。割と何でもできる超何でもスピニングロッドやね」

高山ダムではストレートワーム4inの5gライトキャロを使用。

ハードルアーでいくと、小型クランクやミノー、軽量クラスのブレーデッドジグやスピナーベイト、メタルバイブなどにも向く。また、海では100gクラスのジギングにも対応する万能なモデルだ。

「ライトリグを思いのままに操れる…(*ここでヒット!)って、しゃべれへんやん(笑)」

解説しながらの実釣中にヒット!

リベラリストならではの、胴から曲がるレギュラースローテーパー。美しい弧を描く。

「強引に(ファイト)できるのがいい。全体的にしなるから、ラインをかばってくれる。腰が柔らかい、全体的にしなやか。大きな魚ほど柔らかい竿の方が身体の負担が減る」

今季のリベラリストには、この733MLRSS-24の他、3インチ長い763MLRSS-24もラインナップ。そちらはまた後ほど詳解する。

<村上晴彦使用セッティング>

●ルアー:ストレートワーム4in+5gライトキャロ
●ロッド:ハートランド・リベラリスト733MLRSS-24
●リール:イグジストLT2500XH
●ライン+リーダー:PE0.6号+フロロカーボン12lb+8lb

冴掛の血統を継ぐ、極限の繊細さ…HL6112ULRFS-SV AGS24

「そこそこ数釣りできたね。絞り込んだら、もっと大きいのも釣れるかと思うけど…」

先の2モデルでは、釣りに釣って釣果は既に2ケタ超え! 共に遠投性能とキャストの正確性、そして優れた操作性を発揮して、彼方の対岸に潜む魚さえ自在に口を使わせていく。村上さんも納得の釣果だったようだ。

「そしたらちょっと遊んでみましょうか。フラッグシップの24モデルで」

6112ULRFS-SV AGS24 冴掛 Feather Touch Technical
SPEC
●全長:2.11m
●継数:2
●仕舞寸法:109cm
●標準自重:58g
●ルアー重量:0.45~3.5g・1/64~1/8oz
●適合ライン・ナイロン/PE:1.5~3lb・0.15~0.4号
●価格:9万6800円(税込み)

そこで手にしたのは“HL6112ULRFS-SV AGS24 冴掛・フェザータッチテクニカル”。

不朽の名作“冴掛”の血統を受け継ぐ正統派後継機種にして、軽さと操作性の限界に挑んだモデルブランクにはSVFコンパイルXナノプラス、ガイドにはDAIWA独自のカーボンガイドシステム・AGS。いずれも超軽量かつ超高感度を発揮する最先端テクノロジーで、6フィート11インチながら実に58グラムという圧倒的な軽量感を味わえるのが、このハイエンドモデルだ。

「触ってもらったら分かるけれど、超繊細ロッドです。ここまでの飛距離が出せる竿…とかじゃなくて、コンセプトは『カル・ピン・シャン』。軽くて、ピンと立って、シャンと使えるロッド。ティップ側には小さめのガイドを数多く採用して、元ガイドから一気に絞り込むことで、振った時の慣性モーメントで手元に伝わる重さを軽減。ダイレクトな操作感がある」

リールをセットした状態で、フォアグリップに指一本を添えるだけでバランスが取れる。「ホラ、ヤジロベエのバランスで理想的でしょ」

軽さと共に導かれる優れた操作性に期待ができる。

「張りがある穂先で当然繊細やけど、ワームをピッピッと動かせる。最小限の引っかかり感もかわすことができますよ」

ストレートワーム4inのハイパーツネキチリグで中層からボトムまでを探った後、5gスプリットショットへローテーション。1/16ozクラスの軽量リグを自在に操ることが可能だ。

「おもろいねぇ。完全に釣り味を楽しむ竿。竿曲げるのって楽しいでしょ? ある意味、僕はこのために竿を作ってる(笑)」

童心に戻ったかのように笑みを浮かべる村上さん。その笑顔が最終プロトモデルの完成の証だった。

「面白い竿の出来上がり。エエ感じ。感激、感動すると思います。その代わり、お値段も少々高いかと(笑)。今日はこの3本のロッドでバスを仕留められたね。ということで、次は海に行きましょう」

超繊細仕様でBIGバスを狙うという、特殊にして贅沢なシチュエーションを可能にするのが、ハートランド・ハイエンドモデルだ。

<村上晴彦使用セッティング>

●ルアー:ストレートワーム4in+ハイパーツネキチリグ、5gライトキャロ
●ロッド:ハートランドHL6112ULRFS-SV AGS24
●リール:イグジストLT2500S-H
●ライン+リーダー:PE0.6号+フロロカーボン8lb+6lb

遠投もジギングもより自在に…リベラリスト763MLRSS-24

舞台は変わってバスから海へ。

オフショアのボートゲーム展開、大阪湾からの出航だ。リザーバーのバスフィッシングで存分な威力を発揮した24新作モデルの1つ“リベラリスト733MLRSS−24”を帯同。同じくリベラリストの“763MLRSS-24”も出番を控えていた。

リベラリスト763MLRSS-24
SPEC
●全長:2.29m
●継数:3
●仕舞寸法:98cm
●標準自重:132g
●ルアー重量:4~25g・ジグ5~30g
●適合ライン・ナイロン/PE:6~16lb・MAX1.5号
●価格:6万9300円(税込み)

狙うは青物。近年一大ブームを起こしているサワラを手始めに、あらゆるターゲットに高次元に対応するリベラリストで応戦する算段。
ところが取材当日のコンディションは不運にも最悪。そんな悪条件でも真価を発揮できることを村上さんは証明する。

「まずは“763MLRSS-24”。バス釣りで使った733より3インチ長いモデル。40gのジグをフルスイングして、投擲点は60mくらいかな。前回は5gのライトリグで飛ばしていたわけで、それくらいの使用幅があるってことです」

シンキングミノー12cm、ピンテールワーム4.5inの28gジグヘッドなどもローテーションに入れていく。 「バスの時も解説したけど、バスロッドと比べて胴が柔らかい。で、先は硬め。長さを活かしたロングキャストでストレスがないね。まぁまぁ、気持ちエエよ」

バスでも使用した“733MLR−24SS”とはどう使い分けるのか。

「使い心地はほぼ同じ。長いか短いかの差。3インチ、約8cmの差はほんの少しの投げやすさ、取り込みやすさに繋がるだけ。好きな方でいいと思う。敢えておすすめするなら、距離を必要としない港湾部なら短い方の73、オカッパリで狙う場所が50mより手前なら73、それ以上なら76とか」
これもシチュエーション次第、もしくは自らのお好みで選択したい。

「そもそもこのリベラリストをバス釣りで使って違和感がないのは、ルアーをしっかりアクションさせることができるからに他ならない。長さが気にならないのは、胴に乗って重い負荷を吸収してくれるから。手首にも負担が少ない。軽い下投げでもしっかり飛ぶ」

ここでキャスティングからジギングへとスイッチする村上さん。

「ジグに竿を合わせるんじゃなくて、魚にジグを合わせる。ということで、メタルジグ150gで竿を酷使します」
幅広い適応能力を秘めたリベラリスト。胴までしっかりと仕事をして、ジグを自在かつ軽快に跳ね上げる。すると初ヒット!

天候不順の悪条件の中、なんとかヒットに持ち込んだファーストフィッシュ。村上さんにもようやく笑みが。

「ハマチを相手に全然負けてない。竿先が曲がり切ったら、その手前、さらにその手前…と、だんだん仕事する場所が変わっていくだけ。だから、楽にファイトできる」

青物の不意の突っ込みにも耐えるRSテーパーが美しい曲線を描いて、ファイトをサポート。丸々と太ったハマチが村上さんの瞬く間に手に落ちたのだった。

「次は、長い方“763MLRSS-24”でもジギングを。3インチの差をより強く感じるね。同じ調子だけど、柔らかく感じる。でも、しなるから手元から穂先の距離はそんなに変わらない。思った以上にシャクリやすいよ」

すると、メタルジグ120gにヒット。長めのフォアグリップがやり取りを優位に進める。

「ストロークも長い分、シャクった時のフォールの幅も変わる。全然気持ちよく使えます」

難なく2本目をキャッチした後、周囲の水面が慌ただしくなる。ロッドはそのままに、キャスティングへとスイッチ。遥か彼方のナブラへ、シンキングペンシル18グラムで狙い撃つ。

「気持ち良く飛んでいくなぁ…ヨシ、きた! ツバスや。コレコレ、この引き感覚、最高や!」
縦横無尽に走る相手をリベラリストのRS調子がいなし、こちらもまた難なく仕留めることに見事成功した。

「状況は厳しかったけど、とりあえず魚は獲れてよかった。この曲がりを見たらわかるけど、かなり汎用性が高いです。ヨシ、これからいろんなとこへ行きましょ」

村上晴彦さんとハートランドの旅は、Vol.3へと続いていく。

<村上晴彦使用セッティング>

HL763MLRSS-24
●ルアー:シンキングミノー12cm、メタルジグ40g、メタルジグ120g、シンキングペンシル18g
●ロッド:ハートランドHL763MLRSS-24
●リール:セルテート5000D
●ライン+リーダー:ジギング…PE1.5号+フロロカーボン30lb、キャスティング…PE1号

HL733MLRSS-24
●ルアー:ピンテールワーム4.5in+28gジグヘッド、ブレードジグ、メタルジグ150g
●ロッド:ハートランドHL733MLRSS-24
●リール:セルテートLT3000-XH
●ライン+リーダー:PE0.8号+フロロカーボン12lb


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