関東の青物ゲームのメッカ、房総半島外房。首都圏の激戦エリアで結果を出すにはフィールドの特性を知り、それに合わせた戦略が必要だ。外房の青物といえばメインターゲットはヒラマサ。フィッシングアドバイザーとしてルアー船に3年間乗船するなど、外房の青物が戦々恐々のアングラー、松原和裕さんに難敵の攻略法を解説いただいた。
●文:ルアーマガジンソルト編集部
アングラー紹介
松原和裕(まつばら・かずひろ)
新潟県出身、千葉県在住。小学6年生で釣りに出会い、それ以来どっぷり。東京海洋大卒→大手釣りエサメーカー勤務→外房大原のルアー船『山正丸』で3年間中乗りを任務と釣り人生を突き進み、2023年にオフショアルアーブランド『MASHIO』を設立。豊富な経験をいかし、ルアーの開発に取り組んでいる。テンリュウフィールドアドバイザー。
「攻略のしがいがある!」。これが外房青物ゲームの魅力
まずは外房のオフショア青物ゲームの特徴から教えていただきましょう。
松原「メインターゲットはヒラマサになりますが、外房では海に出れば必ず釣れるという相手ではありません。でも、状況に合わせてきちんと狙えば釣れる確率は上がります。難しいからこそ攻略のしがいがある! そこが一番の魅力です」
外房のヒラマサといえば20kg超も夢じゃない! 東京から日帰り圏の海で大型青物と出会えるのも外房青物ゲームの魅力だ。
外房エリアの“浅い海”に合わせた戦略が欠かせない
外房の状況に合わせた狙い方。具体的には?
松原「細かくいえば色々ありますが、外房は玄界灘や日本海側などほかの地域のジギングフィールドより浅い。ここが一番の違いです。釣りをする水深は50m前後から浅いところは水深5mも探ります。水深30m前後の全国的にみれば浅いといわれるポイントが中心になります」
浅いから攻め方も違ってくる?
松原「浅いポイントほどジグを真下に落とすだけでは効率良く攻め切れないですよね。20~30mとできるだけ遠くに投げて斜め引きしたほうが広く探れます。ジグが投げやすいジギングロッドというのも、外房の青物ゲームで結果を出すには重要です」
投げやすく幅広いジグウェイトに対応。シャクリでジグを暴れさせないロッドが活躍!
キャストして斜め引きで広く探ることが多い外房の青物ジギングゲーム。そこで重要なアイテムがロッド。松原さんの選択は?
松原「僕はジグザムドラッグフォースのスピニングモデルで一番パワーのあるJDF601S-5/6をメインに使ってます」
その理由は?
松原「外房で使うジグは90gから200gくらいまでと幅広いんですが、そのすべてに対応します。硬い番手ですが、例えば水深15mで90gを投げてシャクれるし、200gを超えるジグもキャストできる。外房のあらゆる場面で活躍します」
パワーがあればファイトでも有利ですね?
松原「安心感があります。ただ、硬くても高反発なロッドではないので、シャクリでジグのアクションが暴れすぎない。操作性が高く、ジグを暴れさせずにしっかり水を押して魚にアピールするシャクリがしやすい。ここもJDF601S-5/6の気に入っている点で、外房では強みになります」
ジグザムドラッグフォースJDF601S-5/6
ロッドの振り幅を抑えたリーリング主体のワンピッチジャークで誘って喰わせる
ジャークでジグが暴れすぎず、操作性に優れるのもジグザムドラッグフォースJDF601S-5/6の大きな選択理由。どんなアクションで誘うのかも気になるところだ。
松原「投げて底をとったら、ロッドの振り幅の小さいリーリング主体のワンピッチジャーク。5、6シャクリに一回とか一瞬シャクリを止めて、喰わせの間を入れます。この瞬間、糸フケが出て今までミノーのように泳いでいたジグの頭が横を向く。このアクションの変化が喰うきっかけを与えます。JDF601S-5/6は、ジグが暴れすぎないからリーリング主体のワンピッチが行いやすいです」
これが外房の青物に有効な斜め引きのアクションになる?
松原「そうです。季節によって狙うタナが変わったりはしますが、ロッドの振り幅や巻きスピード、喰わせの間の取り方など色々試しながら、魚が反応するアクションを探ります」
ロッドの使い分けでジグのアクションに変化をつけバイトを引き出す!
松原「ただ、JDF601S-5/6を使って魚の反応がなかなか得られないというケースもあります。そういうときは、パワー的には一つ軟らかい番手のJDF611S-4/5を使うこともあります」
その狙いは?
松原「JDF601S-5/6でシャクって、しっかり水を押して誘っても喰わない。強い波動に反応しない魚も居るので、同じジグでも軟らかいロッドでシャクるとジグの波動をちょっと弱めたり、アクションを変えることができます。それで喰う魚が居ますからね」
ジグザムドラッグフォースJDF611S-4/5
表層に魚の気配があるときや浅い根周りはプラッギング。反応がなければ小型メタルジグ!
オフショアの青物ゲームはプラッギングも有効な手段です。
松原「もちろん、外房でもダイビングペンシルは効きます。使うサイズは全長15~16cm、50g前後が中心で、魚が上ずっているときや水深20m以浅の根周りはプラグに反応しやすい魚が居ます。そういう魚は活性が高かったり、サイズが良かったりしますからね」
ダイビングペンシルで使うロッドは?
松原「スパイクSK732S-MHです。これでジグキャストもします」
前述のジグザムドラッグフォース2機種を使うのではなく?
松原「とくに春先や初夏に多いのが、魚がけっこう跳ねているのにプラグは喰わないという状況です。そういうときに70g、90gといった小さめのジグを遠投してちょっと沈めてシャクると喰うことがあります。スパイクSK732S-MHはキャスティングゲーム用に設計されているので70gのジグでも良く飛びます。アンダーでも投げやすいし、長すぎないからジグをシャクるにしても疲れない。取り回しが良いので込み合った乗合船でも扱いやすいロッドです」
スパイクSK732S-MH
外房の青物ゲームは乗合で手軽に楽しめる船が多い。これも外房エリアの特徴で、どてら流しの両舷で釣りをするので、ロッドはアンダーで投げやすく取り回しの良いロッドが有利。ルアーの操作性、パワーも含めた外房青物ゲーム用タックルセッティングの適例が今回紹介した3セットということだ。松原さんの釣り方と道具立てを参考にすれば自信を持って外房の青物に挑めるはずだ!
松原さんの外房青物ゲーム使用タックルデータ
ジギング用①
- ロッド:ジグザムドラッグフォースJDF601S-5/6(テンリュウ)
- リール:ステラSW8000HG(シマノ)
- ライン:PE3号
- リーダー:フロロカーボン12号(2.5~3ヒロ)
ジギング用②
- ロッド:ジグザムドラッグフォースJDF611S-4/5(テンリュウ)
- リール:ステラSW8000HG(シマノ)
- ライン:PE3号
- リーダー:フロロカーボン12号(長さは2.5~3ヒロ)
プラッギング&ジギング用
- ロッド:スパイクSK732S-MH(テンリュウ)
- リール:ステラSW14000XG(シマノ)※スプールは8000番
- ライン:PE4号
- リーダー:ナイロン60~80lb(長さは2.5ヒロ)
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