あらゆるジャンルでメジャーとなっているPEライン。ことバス釣りにおいては圧倒的なシェア率を誇るフロロカーボンライン。それではナイロンラインの立ち位置は?ナイロンの伝道師・村田基さんにお話を伺った。
●文:ルアマガプラス編集部
村田基(むらた・はじめ)
王様、JIMなどの愛称で知られるプロデモンストレーター。あらゆる魚種とワールワイドに闘う精力的な活動は“フリースタイル”として世に広く認知。潮来つり具センター店主。
スプール性能を向上する「軽いナイロン」の優位性
村田「最初に言っておきたいのは、俺はナイロン至上主義者じゃないよってこと。勘違いされがちなんだけど、フロロカーボンもPEも使う。要は使い分けが大切ってこと」
そんな中でも、とりわけナイロンに関しては思い入れが強く、GT-Rシリーズは全13モデルのうち実に9モデルがナイロンライン。中でもバスフィッシング対応の最高峰に君臨するのがここで紹介する『GT-Rウルトラ』だ。
アプロード GT-R ULTRA 100m巻(サンヨーナイロン)
GT-Rシリーズ最高峰!
超極限耐摩耗性を追求したGT-Rシリーズの最高峰モデル。強度や耐摩耗性はフロロカーボンとの比較で遥かに強く、過酷な状況下でもポテンシャルを最大限に発揮。4lbから50lbまで実に15アイテムを揃え、バスのみならず様々な釣種に応える。
村田「ここで強く言っておきたいのは、『ナイロンは軽い』ということ。同じメーカーの同じlb数、同じ巻糸量のナイロンとフロロカーボンがあったら、重さを計ってみるとわかるよ」
村田さんは小数点以下まで細かく計量できる精密なデジタルスケールを用意。「同じメーカーなら外ケースやスプールに大差はないから、そのまま計っても大丈夫」と、素材が異なる2つの100m巻きラインを計った。すると、驚くべき結果が判明した!
村田「フロロの方が5~6g重いんだよね」
はたしてこれは何を意味しているのか?
村田「現代のリールってさ、回転レスポンスを向上するためにスプールの軽量化を図ってるわけでしょ。リールメーカーが1g軽くするために、どんだけ企業努力しているか。せっかく軽くなったスプールにわざわざ重いラインを乗せて、飛ばなくする必要はないよね」
100mで約6gの差。実釣に必要なラインとして、半分の50mをスプールに巻いたとしても約3gの差が生じることになる。
村田「同じlb数ならナイロンよりフロロの方が太いから、100m巻いたつもりでも実は85mしか巻けてないとかね。みんな飛ばしたいんでしょ? ならば、より多く巻けるのがいいよね」
言い得て妙な村田さんの解説。最後には、さらに驚くべき発言があった。
村田「それとね…今後フロロは市場からどんどん少なくなっていくと思うよ。ゼロにはならないと思うけど」
現在、金属各種が軒並み価格高騰を続けているように、フロロの原料もその傾向にあり将来的には大幅な値上げが予想されているのだという由々しき事態…。
村田「それでもアナタはフロロを使い続けますか?」
アプロード GT-R ULTRAの糸強度と価格表
TEST(lb) | 4/5/6/8/10 | 12/14 | 16/18/20 |
---|---|---|---|
100m | 1,700円 | 1,900円 | 2,000円 |
600m | 5,100円 | 5,700円 | 6,000円 |
TEST(lb) | 22/25/30 | 40/50 |
---|---|---|
75m | 2,000円 | 2,400円 |
600m | 6,300円 | — |
フロロとナイロンのメリット&デメリット一覧
村田さんにご解説いただいたフロロカーボンとナイロンの特性をひと目でわかるよう表組化。ただし、重さが『フロロ>ナイロン』であるように、表内の◯が必ずしも良いではないことをご理解いただきたい。
材質 | フロロカーボン | ナイロン |
---|---|---|
伸び率 | △ | ◯ |
感度 | ◎ | ◯ |
対象物が硬い | △ | ◯ |
対象物が柔らかい | ◯ | △ |
水分吸収率 | △ | ◯ |
水中での光屈折率 | △ | ◯ |
硬さ | ◯ | △ |
重さ | ◯ | △ |
太さ | ◯ | △ |
村田「ナイロン優勢だけど、一長一短があるよね。これらの特性をどう感じてどう自分の釣りに活かすか。それはアナタ次第です!」
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