リールカスタムの方法論は幾通りも存在するが、エリアの場合は軽く、滑らかに、繊細にというベクトルが正しい。
そこを突き詰めると、釣りはより快適に楽しくなり、魚がもっと釣れるようになる。
●文&写真:丹律章
和田浩輝(わだ・こうき)
DAIWAフィールドテスター。ヴァンフックフィールドテスター。トラウトキング選手権トリプルマイスターにして総合優勝2回。現在、史上初の4度目のマイスターに最も近いエキスパートと噂されている。その影響力は強く、新進気鋭の若手アングラーとして現在、最注目されている。エリア業界の若き牽引者
快適さの追求
警戒心の強い魚、ルアーに慣れきったマス、釣り人の技術から逃げ永らえているトラウト。エリアで僕らが相手にするのは、決まってそんな強者達だ(放流直後のウブな高活性君も、たまにはいるけどね)。
だから僕らが使う道具は、繊細でありたい。わずかな違和感を感じとれる性能が欲しい。それを追求していくと、リールには感度を高める剛性感とともに、滑らかさや軽さが必要になる。
和田「数年前に、12ルビアスを4〜5年使い続けていて、その時は凄くいいリールだと思っていたんですが、18イグジストを初めて使ったとき、巻き出しの軽さとドラグの性能の高さにびっくりしたんです。リールとして全くの別物でした。高性能なリールを使うと、釣りがここまで快適になるんだと驚きましたね」
18イグジストから更に進化し、ただでさえ、軽量かつ滑らかな回転性能を誇る22イグジストを、さらに繊細な高みへ押し上げることを目指したのが、今回紹介するSLPWORKSのサービスと製品群だ。
彼らの想像力は、ハイエンドリールが到達する地平の、先の先を見据えている。
SLP WORKSの仕事①
イグジスト・センシティブチューン
ダイワのフラッグシップリールであるイグジストを、より繊細で高感度なマシンにチューニングするサービスが、センシティブチューンだ(18&22イグジストに対応)。その特徴は大きく3つ。
①主要箇所の両端のボールベアリングを、グリスタイプからより粘性が低く抵抗の小さいオイル仕様に変更
②マグシールドキャップなど外観パーツの交換
③マグシールドの除去
上記のチューニングはリールを別次元へと導く。より滑らかになったマシンのハンドリングの初動は驚くほど軽くなり、使用感はよりダイレクトになる。繊細さに特化したリールの導入により、これまで全く感じられなかった魚の存在を、ラインの先に捉えるようになるだろう。
ただし、繊細なリールなだけにリールの取り扱いにも注意が必要で、ホコリや砂などがリール内部へ侵入しないよう地面には置くのはNG。また、マグシールドの除去により防水性が低下するので海水域での使用は推奨されず、淡水での使用でも定期的なメンテナンスが必要になる。
SLP WORKSの仕事②
イグジスト・アップグレードサービス
18イグジストのローターを、22イグジストで採用されているエアドライブローターへ変更するサービス。エアドライブローターの換装により大幅な軽量化が可能となり、ベールの小径化とベール角度を最適化したことも相まって、リトリーブが格段に軽くなる。軽量ゆえの低慣性ローターなので、巻き始めのみならず止める際にも重さを感じない。4年の技術進化をインストールするリールカスタムだ。
SLP WORKSの仕事③
SLPW カーボンライトハンドル
剛性感と軽量化を高いレベルで実現したのがカーボンライトハンドル。カーボンシャフトの採用で全くねじれることのない剛性の高さは感度に直結し、11gのアルミハンドルから4gも軽くなった7gのカーボンハンドルは繊細さを別次元へ押しあげる。
「最初カーボンハンドルの40mmが出たのが21年11月です。使い始めてすぐ大会があって、驚くほどアタリを感じて、ハンドルデビュー戦でいきなり優勝という結果に結びついたんです。リールが別物になりました。長さは3種類から選べますが、短い方がより繊細な釣りに適し、長ければ巻く力が強くなります」
40mm
スプーンやクランクの巻きの釣りに多用。短いので手首の動きだけでリーリングできて軽快な巻き心地が特徴だ。和田さんが多用するサイズで、アタリを感じてアワせるのに最適だ。
45mm
ボトムの釣りでは45mm。ハイギアのリールと合わせて使用することが多い。デジ巻きやリフト&フォールの釣りは糸がたるむ釣りなので、それを素早く回収してアワせる釣りには少し長めの45mmがいい。
50mm
ボトムで素早いフッキングが必要な状況に適する。巻く力が強いのでハンドルを回しているだけでフッキングしてくれる。また、大物狙いのときには力強く巻けるので長めのハンドルがいい。ボトムの釣りで、より素早いフッキングを決めたいときは50mm。
SLP WORKSの仕事④
ハンドルノブの幅広い選択肢
①ノンコートコルクノブ(3g)/デザイン性にも優れ、コーティングを施さないコルク素材むき出しの軽量ノブ。
②Iシェイプザイオンノブ(5g)/感度に優れたザイオン製。ブランキング形状なのでハンドルリベットへのタッチも可能。
③RCSハイグリップIシェイプライトノブ(4g)/指にフィットするおすすめノブ。ノブをしっかり握る釣り人に最適。和田さんのフェイバリット。
④RCSハイグリップIシェイプフィネスノブ(3g)/親指と人差指でノブをつまんでリーリングする人に向く。小型で軽量なのが最大の特徴。
SLP WORKSの仕事⑤
イグジスト・セミオーダーシステム(2000番の場合)
オリジナル状態で購入したイグジストにSLPWORKSのパーツを組み込んでいくと、オリジナルのパーツが無駄になることがあるが、その無駄を省き、最初からSLPWORKSのパーツを組んだ状態のリールを購入するシステム。SLPWORKSの熟練技術者がオーダーに合わせて組み上げてくれる。
たとえば、オーダーの時点でマグシールド仕様にするかセンシティブチューンにするかの選択ができ、これはどちらを選んでも追加料金はかからない。カーボンライトハンドルを選択すると、15,000円の追加料金が発生するが、カーボンライトハンドルの本体価格は22,000円なのでかなりお得だ。
ボディのベースはブラック×ゴールドが多用されたSLP WORKS特別仕様となり、これにSLPWORKSのパーツが組み込まれるので、シルバー基調の22イグジストとは全く違ったブラック×ゴールドのSLP WORKSカラーになる。
タックルは4セット
右から。
オールマイティタックル①
ロッド:プレッソLTD AGS 61L-S
リール:18イグジスト(ローターアップグレード、センシティブチューン)
ハンドル:SLPWカーボンライトハンドル40mm
ライン:プレッソ・エリアタイプE 0.35号
オールマイティタックル②(小型のスプーンやクランク)
ロッド:プレッソLTD AGS 61L-S
リール:イグジストSF2000SS−P(センシティブチューン)
ハンドル:SLPWカーボンライトハンドル40mm
ライン:プレッソ・エリアタイプE 0.35号
ボトム用タックル
ロッド:プレッソLTD AGS 58L
リール:イグジストSF2000SS−H(センシティブチューン)
ハンドル:SLPWカーボンライトハンドル45mm
ライン:UVF プレッソ センサー+Si Ⅱ 0.3号
パワー系、重めのスプーン用
ロッド:プレッソLTD AGS 61ML
リール:22イグジスト
(セミオーダー、センシティブチューン)
ハンドル:SLPWカーボンライトハンドル40mm
ライン:プレッソ・エリアタイプE 0.4号
※ロッド、リール、ライン、ルアーはすべてDAIWA製
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