【イグジストを全バラシ!?】噂のセンシティブチューン体験!【マイスターの神業】

世界に誇るDAIWAのフラッグシップスピニングリール「EXIST」。その巻き心地はデフォルトでも軽快かつ滑らかだが、SLPワークスによる「センシティブチューン」によって更なる極致へと到達するらしい…。そこで業界イチのイグジスト愛好家・フルカワが実際にセンシティブチューンを体験! 

●文:ルアマガプラス編集部

2024 シーバス特集

「巻きの軽さ」を極める、センシティブチューンとは?

昨年、SLPワークスからイグジストを対象としたカスタムサービス「センシティブチューン」が開始され、異次元の巻きの軽さが話題となったのは記憶に新しいだろう。
DAIWAのスピニングリールといえば、ほぼすべてのモデルにマグシールドが搭載され、防水防塵に対し、鉄壁の防御を誇るのだが、センシティブチューンはあえてマグシールドを排除し、3つのボールベアリングをグリス仕様からオイル仕様に変更するというもの。
鉄壁の防御さえも捨て去り、巻きの軽さにこだわるエキスパート向けのサービスである。

実際、藤田京弥プロなどのDAIWAサポート選手のほかに、サポート外では今江克隆プロもイグジストを購入し、センシティブチューンを施している。
今年はイグジストのほかに、エアリティがデフォルトでセンシティブチューンを施したモデル「エアリティST」が追加ラインナップされ、さらなる注目を浴びているのだが、稀代のイグジストオーナーであるフルカワがその波に遅れまいと実際に手持ちのイグジストSFにセンシティブチューンを施すことになった。

フルカワ
元ルアーマガジン編集長。バスメディア最強アングラーを決める、メディアウォーズを2度勝利し、平均順位1.2位のハイアベレージを誇る、自称「メディア界の青木大介」。その名に恥じぬよう、22イグジストを3台購入したのち、追加でイグジストSFを1台購入。業界きってのイグジスト愛好家である。

限られたマイスターが施工を許される、イグジスト――。

今回は特別にセンシティブチューンしていく過程を実際に見せていただいた。
イグジストはSLPワークスのなかでも、限られた技術スタッフ「マイスター」の称号を得た者にしか施工が許されないのだとか。
そんな、SLPワークスのエースであり、トップマイスターの本田さんがフルカワのイグジストをセンシティブチューンしていく。

本田乃士
ほんだ・だいし
SLPワークス技術1課 スピニングリール係の長を務める、トップマイスター。「何か不具合があっても、本田さんならなんとかしてくれる」とDAIWA社員からの信頼も厚く、ご指名でのメンテナンスが後を絶たないとか。ちなみに本田さん自身もイグジストを愛用。

イグジストが一瞬にしてバラバラに! トップマイスターおそるべし。

フルカワのイグジストを手に取ると、回転フィールをチェックする本田さん。
本田「この子はなかなか酷使されてますね、若干ゴロつきが感じられます」。
フルカワ「そ、そうっすね!(え、全然わかんなかった…)」。

ココだけの話、DAIWAのギアに懸ける想いは想像以上に熱く、生産ファクトリーからアフターのSLPワークスまで、恐ろしいほどの感度を備えたエンジニアが細かい動作をチェックしている。
実際に今回のゴロツキに関してはフルカワが気にもしない程度であり、指摘されてなんとなくわかるレベルの症状だった。

本田「その辺も改善しつつ、センシティブチューンに換装していきますね」。

そう言うとテキパキとリールを分解してく本田さん。あっという間にイグジストがバラバラになった。

大から小までのパーツがズラリ。取説があってもこの状態から元に戻せる自信はない…。
ギア周りを洗浄、グリスアップ。「ローターの内側とかは組みあがった状態では拭いたりすることができないので、こちらで吹きあげてお預かりいただいた状態よりキレイなリールをお返しできるよう心がけてます」と本田さん。

センシティブチューン完了! 果たしてその巻き心地は?

トップマイスター本田さんによるメンテナンス、オイル&グリスアップのち、センシティブチューンが完了。
そのスピードもさることながら、高い精度も要求されるマイスターの技術力に脱帽である。

センシティブチューンによって不要になったパーツは返却される。再びマグシールド仕様に戻す場合、ベアリングは品質管理の点から新品を使用するという。
ちなみにマグオイルが注入されていたのはココ。ギアボックスへの異物をシャットアウトし、初期性能を保持してくれていた。
「SENSITIVE TUNE」が刻印されたキャップに換装。特別仕様感がグッと高まる。

もともとの仕様でも不満がなかったフルカワだが、センシティブチューンを施した実際の巻き感はどうだろうか?

フルカワ「スッ…とハンドルが回る巻き出しの軽さが数段アップしましたね…! たしかにこれは、抵抗の少ないリーリングを必要とするi字系とかエリアトラウトのスプーニングには大きなメリットになりますね。巻き出しもそうですけど、回り出してからのリーリングコントロールがしやすいです。この軽さは病みつきになりますね! しかも、バラす前に指摘されたゴロツキも皆無です。本田さん、すごいです…、いや、本田△!」。

センシティブチューンにご満悦のフルカワ。傍から見ても巻き出しが軽そうなのがわかる。

センシティブチューン唯一の欠点、定期メンテナンスもイグジストなら解決?

メリットが際立つセンシティブチューンだが、実はデメリットも少々存在する。
それはオイルBBに変更されたことやマグシールドを除去したことにより、本来の防水性能の低下による、定期的なオイルチェックやメンテナンスが必要となることだ。
しかし、実はイグジストであればそのデメリットはほぼ解消される。
そう、イグジストのアフターサービスプログラムに組み込まれている「年1回のオイルチェック無料サービス」である。
正直、イグジスト本来の性能だと、一般ユーザーレベルの頻度では年1回のアフターサービスプログラムすら使用する必要がないほど、タフである。
その観点から、センシティブチューンとアフターサービスプログラムの親和性は実に高く、リールのパフォーマンスを限りなく低コストで最高の状態をキープしやすいというわけだ。

センシティブチューンに今一歩踏み出せなかったイグジストユーザーはこれを機にオーダーしてみてはいかがだろうか。

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