エギングでアオリイカを狙う場合に重要となる要素が、海藻が生い茂るスポット「藻場」だ。良型の個体が身を潜める絶好のスポットだが、果たして効果的に狙うことができているでだろうか? 藻場攻略で数々のアオリイカをキャッチしてきた湯川さんに、その攻略法を解説して頂いた。
●文:ルアーマガジンソルト編集部
体力をつけるために、藻場周りで積極的に捕食するイカを狙う
冬の間、低い海水温だったエリアも、季節が進むにつれ海水温が上昇。18℃以上で安定するようになると、海藻が繁茂するシャローエリアの藻場に向かうイカが増える。そうなると、必然的に藻場がストックするのアオリイカの個体数も増えてくる。
湯川「ショアから狙いやすい春イカ捕獲のメインステージといえるのが藻場ですからね」
ただ、メスとオスがペアリングして藻場に入ると、あまりエギには反応してくれないイメージもありますが…。
湯川「なので、そうなる前のアオリイカを狙います。具体的には、藻場付近でフラフラしている個体ですね。同じようなところに居ても、ペアリングして白くなったアオリイカはエギに反応しにくいですからね」
藻場でエギに反応するイカは、どのような状態なんですか?
湯川「エサを探しています。産卵を控えたイカは、海水温が安定しない早春シーズンのように、深場と浅場を行ったり来たりするイメージはないですね。体力を蓄えるために、産卵場近くで積極的にフィーディングしています」
藻場で捕食を意識しているから釣りやすい?
湯川「ですね。今回のように日が出て温まって藻場でイカがポンッと浮くことも多い。水温18℃を超えて安定する時季は、夜より日中の方が釣りやすくなる。だから、どれだけ藻場を知っているかで釣果が変わると思います」
アオリイカを狙う場合、具体的にはどんな藻場が良いんですか?
湯川「潮がよどむところはダメです。ワンドの奥でも反転流などで適度に潮が流れて、フレッシュな海水が供給されているエリアがいいですね。あとは、ベイトの姿も確認できればなおよし。ちなみに、実績の高い海藻は、種類で言うとホンダワラですね。あ、あと潮通しの良い砂地に生えるアマモも良いですね」
春イカ狙いで苦手意識を持つ人は、藻場を数多く知らなくても自己記録を更新できるような一杯がキャッチできれば満足度が高いはず。そのための近道はありますか?
湯川「藻場は潮位の高い時間帯に狙うのがオススメですね。水中で藻が立って、水面と藻のツラの間を攻めることができます。プラス晴天だとさらにいいですね。光量があると水中が見やすいのと、海水温が上昇してイカが浮きやすくなります。使うエギは、沈下速度が遅いシャロータイプが使いやすい。やんわり落としたり、水平姿勢を長く見せれば春の大型イカが応えてくれるはずです」
海藻帯の際やスリット、ポケットを探るのが藻場攻略の基本
潮が動いてベイトフィッシュが居る藻場が有望。
湯川「藻場は海藻帯の際、海藻帯と海藻帯の間のスリット、藻穴などエギが海藻に引っかからないスペースを探ります。浅いのでエギはゆっくり落とせるシャロータイプ。フォールさせる水深がない浅瀬や藻面は、ロッドを立てながらエギが水平に動く間を長く取るようにします」
湯川さんは、立ち位置から見て海藻帯を超えた向こう側にも、積極果敢にエギを送り込む。
湯川「スラックジャークで手前に寄せずに海藻帯の向こう側をゆっくり探ります。際の根元に付いてるイカもいますからね。反応がなければ藻面を通して、手前側の際を狙います」
【スラックジャーク(サムライジャーク)の詳しい解説記事】
フォールと並び、現代エギングの根幹となるテクニックと言えるのがシャクリ。つまり、ジャークテクニックです。伝統的な漁具を昇華した、イカ専用のルアーであるエギは、ウォブルやロールなどのアクションを発生しな[…]
また、アオリイカの体色でも、個体の活性の状況が判断できる場合があると、湯川さんは考えている。
湯川「春は藻場周りでフラフラしているイカが一番釣りやすい。産卵場近くでエサをとって体力を蓄えようとしています。茶色っぽく見えるイカが浮いていれば居れば活性バリ高のこともあり、GW以降はこういうイカが増えます。藻場でペアリングして白っぽくなったイカは産卵態勢に入っているのでやさしく見守りましょう」
メスとオスのアオリイカがペアリング状態に入っている場合は、アオリイカの資源を守るためにも、狙わずにそっとしておこう。
それでも藻場攻略に苦手意識がある人への、湯川さんからのアドバイス
ある程度、エギングをやっている人であれば、ここまでの湯川さんの解説が、具体的にイメージできたかと思う。ただ、それでも「やっぱり、藻場攻略って難しいよな…」というアングラーに、湯川さんが藻場攻略のアドバイス!
藻場付近で見えている個体に対して、どうアプローチしていいかわからない!
A.「一度エギを通して反応がなくても、通すコースを変えてチャレンジしましょう!」
藻場付近を観察していると、アオリイカの姿を見かけることがある。しかし、エギを投入してみるものの全然反応してくれない、という経験はないだろうか?
湯川「藻場で茶色くてでかい、いかにもやる気がありそうなイカが見えると興奮しますよね。そのイカにアプローチして最初は喰わなくても、エギを通すコースを変えると反応することがあります。実際に、以前喰わせたイカも、前を通すと後ずさりしてしまうけど、イカの背後を通すと振り向いて追いかけ、スーッとエギを落としたら寄ってきて、もう一度シャクリ上げて止めたら抱きました」
同じコースを何度も通すのではなく、様々なトレースコースを試してみるのが効果的なようだ。
カンナにすぐ藻が引っかかってしまい、うまく釣りが展開できない
A.「潮位の高い時間帯に入り直して見て下さい。日当たりの良い藻場も有望です」
藻場をタイトに狙うと、どうしても藻を引っ掛けてしまう。その度にエギをピックアップしていると、ポイントのプレッシャーも高めてしまう。そんな場合の対処法は?
湯川「藻場は潮位が高い時間帯のほうが水中で藻が立って釣りやすいです。実釣時は潮位が下がって藻が海面を覆い、イカは藻の下に隠れやすい(写真)。なかなか攻めにくい状況ですけど、山などの陰に入らず日が長く当たる藻場は有望。表層が温まって浮くイカが現れたらチャンスです」
藻場攻略でオススメのエギを教えて!
A.「藻場攻略時は、シャローモデルの使用がオススメです!」
藻場狙いの実釣で、湯川さんはエクスカウンターシャロー各種を投入。
湯川「藻場は浅い。藻がかりを防いでしっかり見せるためにゆっくり沈むシャローを使います。シルエットでアピールしたいときや潮にのせてよりやんわりと落としたいときは3.8号。ノンラトルとラトルでどちらに反応が良いかも試します。シャローモデルはピンクの眼(アイ)が目印です」
湯川さん使用、藻場攻略タックル
湯川さんが実釣で使用したロッドは、セフィアエクスチューンS92ML+。
湯川「ティップがしなやかで春に多用するスラックジャークがやりやすい。レングスがあるのでサオを立てながらエギを水平に動かして長く見せることもできます。ML+でパワーがあって2kgクラスがきても余裕でやりとりできる。春イカ攻略にぴったりのロッドです」
解説アングラープロフィール
湯川 マサタカ(ゆかわ・まさたか)
豊富な経験と鋭い洞察力でアオリイカを的確に追い詰める日中エギングのスペシャリスト。空気を切り裂く鋭いシャクリから“侍JOE”の異名を持ち、ベストな釣りを引き出すためのタックル選びにも強いこだわりをもつ。シマノインストラクター。
※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。