シマノから新しく発売されたPEライン、ハードブル8+が大きな反響を読んでいる。これまでのラインとどう違うのか、そして、どんな釣りにマッチするのか。現場で実際に使って見た感想も踏まえて、このハードブル8+の特徴を紹介していく。
●文:ルアーマガジンソルト編集部
トラブルレスな“ハリ”と“コシ”を実現したハードブル8+
ハードブル8+の大きな特徴は、ラインに適度なハリとコシを持たせてあるという点。そして、耐摩耗性にも優れており、根ズレなどにも強い。ライントラブルを抑えたい、ボトムやストラクチャーを果敢に攻めていきたい、大型のルアーを使いたいという釣りにぴったりのラインになっている。
ラインナップは0.6号から6号まであるので、ライトゲームやエギング、シーバス、ショアジギ、ビッグゲームまで、いろいろなターゲットに使っていくことができる。
強力なライン素材「Spectra®」原糸採用
HARDBULL8+のラインマテリアルは、Honeywell社のポリエチレン原糸「Spectra®」。鉄と比較し約15倍の強度があり、防弾チョッキや船舶用のロープなどに使用されている素材で、その強度は折り紙つき。
一般的なPEラインの原糸には「IZANAS」という素材が使われている。この「IZANAS」はしなやかな反面、耐久性に欠けるというデメリットがある。そこで、これまではいろいろなコーティングなどを施して耐久性をアップさせたりという工夫がなされてきた。
シマノはこの素材から見直すことで、これまでにないまったく新しいPEを作り上げることに成功した。「Spectra®」はラインを構成するファイバーの太さがこれまでのPEラインよりも太いので、耐摩耗性がかなり向上している。
シマノは「Spectra®」を「MX2工法」という手法でPEラインを組み上げた。「MX2工法」は、PEラインの線維表面に高結晶化層を形成。さらに、最外層にはシリコーンコーティングを施すことで水を弾きやすく、糸さばき性が向上させるというもの。この「Spectra®」と「MX2工法」により、ハードブル8+は完成した。
“ハリ”と“コシ”が生む高いトラブルレス性
シマノでは実験を用いてこの“ハリ”と“コシ”の強さを示している。スピニングタックルのキャストでたまに発生するのが、一番手前ガイドへの巻きつきというトラブル。ハードブル8+はラインにハリがあるので、ガイドへの糸絡みが一般的なラインと比べて起こりにくい。
また、このハリがあるという特性はベイトタックルでの使用にもかなり有利に働く。ベイトタックルで柔らかいPEラインを使うとバックラッシュが起きやすいが、ハードブル8+はラインがまっすぐになろうとする力強いのでバックラッシュがかなり抑えられる。近年はベイトタックルでPEラインを使い、キャスティングゲームをする場面が多くなってきているが、ハードブル8+ならライントラブルを恐れることなく釣りを楽しむことができる。
【ハードブル8+ 比較実験】ガイド絡みのしにくさ
ハリのあるPEライン「ハードブル8+」は、キャスト時のヨコ風などでのティップやガイドへの絡みが低減されている。その特性を動画で解説。
【ハードブル8+ 比較実験】スプールからの浮き方
ハードブル8+は、その特性上ベイトリールでも扱いやすいというメリットがある。その理由が動画でも解説されているので、興味のある方はぜひ、チェックしてみてほしい。
カバーも果敢に攻められる耐摩耗性
また、シマノでは耐久性においても実験を行っている。水中でラインをこすり合わせるという実験で、一般的なPEラインは75回で切れたのに対し、ハードブル8+は215回で切れた。このことから約3倍の根ズレに対する耐久性があることがわかる。岩や水草、橋脚など、障害物越しに魚を掛けて、寄せてこなくてはいけない場面も、ハードブル8+ならこれまで以上に強引なファイトをすることが可能だ。
【ハードブル8+ 比較実験】水中での耐摩耗性
その他ラインとの使い分け
では、これまでのPEとはどのように使い分けていけばいいのだろうか。
ピットブル8+は、抵抗の少ないルアーや軽量ルアー、オープンウォーターなど、負荷がかかりにくい場面での使用にマッチ。ハードブル8+は、ストラクチャー周りやボトムを攻めたいとき、大きいルアーを使いたいとき、ベイトタックルを使いたいときにオススメだ。
他にもシマノのラインのそれぞれの特徴を表にまとめてあるので、選ぶ際に参考にして欲しい。
ハードブル8+を実戦投入! すぐに実感できるハリとコシのメリット
実際にハードブル8+を使ってみると、そのハリとコシの強さはすぐに感じ取れる。簡単に言えば、ラインがフニャフニャではなく、ピンと芯のある硬さがある。キャストするとラインはまっすぐに飛んでいくし、着水後はラインがフケにくいのでラインスラックが回収しやすい。キャスト後にすぐに巻き始めたい場面でも活躍するはずだ。スピニングリールでの糸ヨレから起こるトラブルはなかった。
また、実釣では風も吹いていたが、しっかりと飛距離が出たし、ライントラブルもなし。しなやかすぎるラインだと、ルアーの着水と同時にラインがフニャッとなり、ルアーに絡んだりPEとリーダーのノット部分に絡まったりというトラブルが起きることもあるが、ハードブル8+では皆無。
釣りをしたのは橋脚周りで、ボトムにはコンクリートブロックが多く沈んでいる根掛かり多発地帯だったが、ハードブル8+の耐久性のおかげでラインが障害物に擦れても問題なく魚をキャッチできた。
筆者が個人的に感じたのは感度の良さ。ハリとコシがあるので上がれがあってもラインが水中でまっすぐになりやすく、ルアーの振動や魚のバイトなどを感じやすくなっていると思う。
また、今回、インプレ釣行をサポートしてくれた釣りユーチューバー、リライト調査隊のBOSS吉田さんにもハードブル8+(スティールグレー)を使用してもらい、実際にシーバスも釣ってもらったのだが、その評価は上々。
特に、ルアーキャスト時のラインの放出が非常にスムーズな点や、糸フケの処理のしやすさを挙げていて、丸一日の実釣で、かなりのキャスト数を重ねたにも関わらず、ラインに起因するトラブルは1度も発生することがなかった。
また、糸フケの回収、処理がスムーズに行えるため、フォールでのアタリを逃しにくいという点も、BOSS吉田さんの高評価につながったようだ。
今後は、ラインスラックを駆使するエギング、細いPEラインを使用するブリームなどのベイトキャスティングゲーム、強い負荷がかかるビッグベイトシーバスゲームなどに、このハードブル8+を使用していきたいと思う。
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