アーバンチニングの第一人者であり、フリーリグの名手、もりぞーこと森浩平さんによる、チニング連載「もりぞー的アーバンチニング」。今回は本格的なシーズンインを迎える今、もりぞーさんが「本気バイト」を誘発するメソッドを公開!そしてリリースされたばかりの最新ロッドやチニンググッズのインプレッションもお届けします!
●文:森 浩平(もりぞー)●写真:森 浩平(もりぞー)/編集部
【森 浩平(もり・こうへい)】
大阪府在住。アーバンチニングの第一人者で、クロダイ・キビレの年間キャッチ数は年間2000枚を越すことも。ベイトタックルスタイルとフリーリグの有効性にいち早く着目し、この釣りを普及させてきた。愛称はもりぞー。
ルアマガ+をご覧になっている皆さま。ダイワフィールドテスターとして大阪の淀川をホームに活動中のチニング伝道師”もりぞー”こと森浩平です。
ゴールデンウィークを前にして、大阪湾も水温15度を超え(場所によっては20度近いところも)、ボトムはもちろんトップウォーターでも好釣果が見込める状況になりました。
いよいよ春のチニングシーズン本番ですね!前回の連載では、低水温期の必釣メソッドとしてボトバンを紹介しましたが、水温15度を超える現況では、巻きパターンが優位に立つことが多くなってきます。
先日、春の浜名湖でのプライベートチニングでは、フリーリグの巻きパターンで非常に良い釣果が得られました。
フラット系のエリアでは、ペアーリングタイプのシンカーとアーバンシュリンプ 2.8でしっかりボトムを取っていく展開でキビレをヒット。
牡蠣瀬エリアでは、スタックしづらいスリムタイプシンカーとアーバンクローラーなどを組み合わせてフワフワとアクションさせるパターンで良型クロダイをヒットさせることができました。
風速や流速、ラインの角度などが変わる状況では、適切なラインテンションの管理が重要です。そのためには、意図的にラインテンションを抜いて食わせの間を作ることが大切です。
本気バイトを誘発する「食わせの間」の作り方とは!?
巻きと言っても、風速や流速、それに対するラインの角度、選択シンカー重量、タックルバランス、スラックコントロール(リーリング主体orロッドのさびき主体)などで変わってくるので一概には言えませんが、最も大切なのは「抜き=食わせの間」を入れることでしょう。
時合いと呼ばれるような高活性ならラインテンションを張って巻いている状態でもガツーンと引ったくっていってくれて、カウンターで針掛かりしてくれますが、そんな美味しい状況は長くは続きません。そこで重要なのが、ラインテンションを張って巻いてくる中で、こちらから意図的にラインテンションを抜いて食わせの間を作って上げることです。
テンションを抜けば、本気バイトを誘発可能ですし、弱いバイトでもワームがしっかり口の中に入ります。これは、チニングに限らず、シーバスやエリアトラウト、アジングなど全てに通じる必釣メソッドですね。
バイトを弾いてキャッチできなかった魚と、バイトを掛け損なってキャッチできなかった魚、どちらが多いですか? 自分は圧倒的に後者です。
「巻き=柔らかい竿」とは限らないのがチニングの世界。ラインテンションを張りっぱなしの状態でも「ドンッ!」っと吸い込んでくれるような高活性状態であれば、カウンターで自動的にバイトをノセてくれる柔らかい竿も面白いのですが、魚をしっかりキャッチしていくには、時合い外だったり、低活性な状況にも対応できなければなりません。そういった状況では、自分から誘って、自分から掛けていかなければキャッチできないため、掛けシロを持たないノセ調子の柔らかい竿は圧倒的に不利です。そのため、ラインスラックコントロールが容易なハリと掛けシロのある操作性優先のロッド、例えばシルバーウルフEXやシルバーウルフAIRなどを選ぶのが良いですね。
柔らかいロッドを硬く使うことは物性的に難しいですが、硬いロッドを柔らかく使うことはラインスラックコントロール次第で可能です。ただし、意図せずにラインを張り過ぎてしまう場合は、シルバーウルフMXやシルバーウルフなどの、よりマイルドな調子のロッドを選ぶのも良いでしょう。
「シルバーウルフ EX」デリバリー開始!
いよいよ発売されました…まるで手の延長のような超高感度とルアーを意のままに操れる操作性、そして、チヌの硬い顎を確実に貫く強靭なパワー、チニングの新たな世界を切り拓くハイエンドモデル「シルバーウルフ EX」!
高剛性、操作性、そして感度の共立、これこそが私が求める「究極のチニングロッド」です!
今回改めて各モデルの紹介をしていきましょう!
シルバーウルフ EX 75MLB
プラグを操作するときの気持ちよさや楽さを求めると、やはりフルチューブラーになります。ラフトリックなどの重いルアーでも投げやすく、操作感も軽いです。かといって、トップウォーター専用かというと、決してそんなことはありません。ボトムでしっかりルアーを操作して掛けることもできるように仕上げています。ソリッドティップモデルはどうも肌に合わないという人もいると思いますが、トップとボトム、どちらも高いレベルで使い勝手のいいチューブラーを求めている方には最適な一本です。
【75MLB スペック】
- 全長(m):2.26
- 継数:2
- 仕舞寸法(cm):117
- 標準自重(g):95
- ルアー重量(g):4-18
- 適合ライン PE(号):0.4-1.0
シルバーウルフ EX 76MLB-S
フリーリグスタイルにフォーカスしたモデルです。ソリッドティップをAIRに比べて若干柔らかくしているため、牡蠣瀬を舐めるようなトレースなど繊細な操作が可能になり、今まで取れなかったようなアタリも取れます。そしてバイトの保持力も上がっています。重要なのは、掛ける際のベリーへの負荷移動が速くなっている点です。バイトはティップからベリー、バットと入ってきますが、これまでのモデルよりも早くベリーに負荷が移動するため、フッキングのレスポンスが向上します。そのため、掛け損ないが減ります。
【76MLB-S スペック】
- 全長(m):2.29
- 継数:2
- 仕舞寸法(cm):118
- 標準自重(g):96
- ルアー重量(g):4-18
- 適合ライン PE(号):0.4-1.0
ハイエンドモデルの監修は、その年度において最高の技術と素材を使用し、他者の評価に左右されずに自分が満足できるモデルを作るという、テスターとしての最大の特権であり栄誉です。しかし、製品を発売すると、どのような評価を受けるかは気になるものです。皆様からの支持がなければ次がありませんしね。
監修モデルのリリース時は、期待と不安が入り交じった気持ちになりますが、発売後に好評価を得るととても嬉しいです。自分が求めるアイテムを追求していった結果、皆さんに喜んでいただけることは本当に素晴らしいことですね。
また、ボートチニングで威力を発揮するシルバーウルフAIR71MB-S、フリーリグやトッププラグの遠投、壁の落とし込みなど繊細な釣りに向いたロングスピニング、シルバーウルフMX83Mもリリースされましたので、合わせてよろしくお願いいたします。
もりぞーさんイチオシ!新作DAIWAアイテムを一挙ご紹介!
シルバーウルフシリーズの新作ロッドを解説したところで、ここからはもりぞーさんが今季イチオシのDAIWA新アイテムをご紹介していただこう。チニングをより極めるにはロッドだけでなく、小物や他釣趣のアイテムにも目を向けるべし!
遂にデリバリー開始!「シルバーウルフフックSSスクリューキーパー」
GWになんとか間に合いました!このフックの注目点は、わずかに外を向いたフックポイントや高い貫通性能、さらにホールド性能を両立するマイクロバーブ、サクサスコートなどの特徴を備えています。フックが開く力が加わった際にポキッと折れずに撓みながらも粘りキャッチにつながる絶妙な強度設計と、ワームズレが発生しにくく再バイトを得られる専用スクリューキーパーも特徴です。
オールシーズンさまざまなシチュエーションで実釣テストを繰り返し、作り上げた「コダワリのフック」です。是非お試し下さい。
新発売の「ルアーシンカーTG12g」がイイ感じ
これまで使用していたバザーズシンカーTGにはなかった「12g」がルアーシンカーTGにはラインナップされていて、これがとても使いやすい!
風や流れが強い状況や深場狙い、またボートチニングなどで「ボトムのタッチ感が10gだと軽いけど14gにしたら重い」という状況はよくありますね。従来はどちらかを我慢して使うしかありませんでしたが、12gの登場でこの問題が一発解決しました。
「ラフトリック90F」に新色追加!
昨年リリースされ、チヌトップシーンに革命を起こしたペンシルベイト「ラフトリック90F」に新色が追加されます。 カラーはボーン、半々ピンク、ゴーストアユの3色。6月発売予定ですのでこちらも乞うご期待を!
春はハイボリューム系が効く場面もある ムーブベイト2.5
オカッパリを基準に考えられ、場所を選ばず使用できる複雑波動系シャッドテールワーム「ムーブベイト」。バス用のワームで、既存3.1inだと少しチニングにはボリュームが大きすぎで導入を見送っていたのですが、この春にダウンサイズ版の「2.5in」が出たことでチニングに導入してみたところ、好反応を得ることができました。
もちろんチニング専用設計ではないので「もう少しこうしたい」と思う点もあるのですが、 飛距離も出ますし総じて使えるワームとなっています。
スティーズ フレックスジグ&スティーズ フレックスフットボール
春にはボリュームのあるワームが強い状況が生まれることがありますが、3in以上のボリューム系ワームは飛距離が出にくく水中での抵抗も大きいため、使い勝手がいまいちですし、フッキングも悪いことがあります。そんなときに、アーバンシュリンプなど使い勝手の良いワームを手っ取り早くボリュームアップさせる方法として、ラバー系のリグを使うのも一つの手です。
ただし、ラバージグを選ぶ際には注意が必要です。一般的なバス用のラバージグはチニングに対してフックサイズが大きすぎることが多く、逆にチニング用のラバー系リグはラバーのボリュームが少なすぎて、ハイボリュームが効く状況で効果的ではありません。
スティーズフレックスジグは、ヘッドとフックのジョイントに、スプリットリングを介さず、プライヤーなしでフック交換が可能な特殊構造(C.J.S.)を採用しています。
そのため、簡単にチニングに適したフックに交換できます(ノーマルの#2/0フックを使用するワームに応じて、シルバーウルフオフセット#2や#3、シルバーウルフストレート#1/0などに交換して使用します)。
さらに今年度フットボールタイプが追加され、従来のタイプに比べてラバーが細くなったため、チニングでも使いやすくなっています。
ラバーはそのまま使ってもよいですが、ワームサイズに応じて少しカットすることも有効です。特に飛距離を求める場合は、ラバーの数を少し減らすなどすると抵抗が減って使い勝手が向上します。ただし、あまりにカットしすぎるとボリュームが不足する可能性があるため、注意が必要です。
フットボールタイプの利点の1つは「移動距離の短さ」です。これがボートチニングに有効で、90度に設定されたアイは手前に寄りにくく、浮き上がりにくいため、しっかりとボトムをトレースできます。また、垂直にフォールさせやすいので、ディープエリアでも効果を発揮します。ただし、その一方で、ショアからではボトムに噛みすぎて抵抗が強くなるため、ノーマルタイプのフレックスジグが使いやすいですね。
DG-9024 BUG BLOCKER®ストレッチグローブ
飛来する蚊が生地に寄り付きにくい「BUG BLOCKER®」を採用し、UVカット(UPF50+)も兼ね備えた薄手のストレッチグローブ。掌側にはグリップ素材を採用しており、縫い目の少ない仕様で手感度を高め、フィット感抜群です。
極力日焼けしたくないアングラーにお勧め!自分は極力日焼けしたくないのもありますが、不意に手をついたらフジツボで手が切れたり、キビレやチヌのヒレが手に刺さったり、鋭いエラでスパッと切ったり、危険が一杯のソルトシーンは指先ロングタイプを着用することが多いのですが、このバグブロッカーストレッチグローブ、快適ですよ。
DA-9624 アイスドライ®メッシュフェイスカバー
ひんやりクール素材を使用した呼吸がしやすいフェイスカバー。口元は呼吸がしやすく、サングラスが曇りにくいメッシュ素材を採用しています。
フェイスカバーは口元や後頭部側がピッタリして不快だったり、逆にずり下がってストレスを感じたりすることがありますが、この製品は口元には呼吸がしやすく、サングラスが曇りにくいメッシュ素材を使用しています。
また、耳が隠れるまで引っ張り上げても使えるよう、頭の形に沿った立体形状でフィット感も良好です。 フェイスカバーには一家言ある覆面アングラーの私ですが、これはオススメです!
シルバーウルフ「25モデル」も開発スタート !
先日、2日間かけてシルバーウルフのテストを実施し、25モデルの開発が始まりました。
テストでは、初日はボートに複数のロッドサンプルを持ち込み、その中から最適なものを選び、翌日にはショアで使用感を再確認しました。
ボートとショアではアプローチの距離感やポジションの違いから、道具に対する要求も変わるため、ショアからの釣り込みが重要です。
ダイワでは、現場にロッド設計者も同行して釣りを行うスタイルを取り入れていて、これにより、口頭だけでは伝わりにくい情報も的確にフィードバックできます。
ロッドの方向性も見えてきましたし、新作ルアーのテストも順調。シルバーウルフチーム一同、チニングアングラー皆様からの高い評価や好釣果により、モチベーションも高まっています。今後もよろしくお願いします!
もりぞーさんによるシルバーウルフEXの実釣模様は下記動画をチェック!!
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