釣りメディア界の草トーナメント「ヨコザワ杯」。主に雑誌関係者が腕を競う地味な大会なのだが、なんとエリートプロの藤田京弥が参戦!これって草野球に大谷翔平が参加する級のインパクト?更に京弥の首を狙う凄腕の刺客が次々に宣戦布告! 下剋上が始まる!
●文:ルアマガプラス編集部
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第3撃 シン・ヨコザワ杯で藤田京弥をやっつけろ!
試合前夜の作戦会議?
モッチー「ザワ杯、藤田京弥だけではなく大津さんも出るらしいですね」
ザワ杯とはヨコザワ杯のこと。ちなみにモッチーとはフリーライターの望月のことだ。
テッペイ「大津さんは必勝を期して5日間もプラをやったらしい。そのうち1日は艇王のチャンピオンカーニバルだけど。それからオリキンも出るぞ」
モッチー「藤田京弥に一介の編集者やカメラマンが挑むという趣旨ではなかったんですか?」
テッペイ「それどころか、大場(未知)のパートナー知ってるか? 川島勉さんだぞ」
モッチー「亀山、最強決定戦ですか? 大場さんだって亀山のガイドだし、金丸さんが連れてくる高松さんって、多分TBCで年間を獲ってる人ですよ」
テッペイ「ビッグネームが集まればそれだけ盛り上がるし、全員まとめてやっつければ、こんな気持ちのいいことはないだろう」
モッチー「いかにも。でも勝算はあるんですか? 先週プラクティス行ったんですよね?」
テッペイ「釣果はゼロ。でも奥の手があるだろ、わかってるな?」
モッチー「御意!」
どんな作戦だが知らないけど、本気で勝てると思ってるみたい。
7 | 6 | 5 | 4 | 3 | 2 | 2 | 1 |
大場未知/川島勉 ベトベトセンセイ | 大場諒/平木学 ヤミノスナイパー | 古川和弘/中澤将 エセメディアキング | 金丸昇司/高松正人 マンマイチバスヤンケ | 大津清彰/大津雄介 オオツブラザーズ | 藤田京弥/近藤圭一 キョーヤイズテイオー | 横沢鉄平/望月俊典 ドラマチックハンター | 折金一樹/今井亮介 ミスターオリキン |
☆ | △ | ◯ | ◎ | ▲ | |||
ライターの大場未知(以下、大場)は、コアングラーでFLWチャンピオンシップ2位の実績。あだ名はアメリカ先生。川島は「ベトベト」代表で亀山最強レジェンドだ。 | ルアマガで動画コンテンツの撮影を担当するティーチャー大場(以下、T大場)、長年フリーランスで活躍するカメラマンの平木。今回はカメラをロッドに持ち替えて優勝を狙う。 | バスメディア界最強を決める「メディアウォーズ」で、過去4戦中2回優勝(2位2回)の古川。中澤は、自身のブランド『フィストリック』でハンドメクランクを製作する。 | 漫画「イチバス」の作者・金丸と、漫画内で「印西工業」の顧問のモデルとなった高松。高松はかつてTBC年間優勝もしているかなりの実力者。 | 現H-1グランプリ年間チャンプであり、業界一の理論派でもある清彰はプラ5日間! 実弟・雄介は、兄を凌ぐ腕を持つという噂。本命藤田の対抗馬。 | 参加者全員から首を狙われる「バス界の大谷翔平」藤田京弥。業界ベストライターの近藤は、釣りを藤田に任せて、その力を最大限に引き出す作戦。 | 30年前のデカバスハンター・テッペイと、その弟子で滋賀県在住モッチー。根拠の無い自信だけは、誰にも負けない師弟コンビ。今回は忍術で勝つ予定。 | 亀山湖のプロガイド・オリキンとダイワの誇るロッド設計者・今井のゴールデンコンビ。オリキンが飼いならしたバスを釣れば、リミットは確実か? |
気がつくとビッグネームがずらり!ヨコザワ杯にしちゃ豪華すぎ?
薄暗い師走の駐車場に、飢えた男たちが集結!
今回ヨコザワ杯(以下ザワ杯とする)に参加するのは16名。メンバーは上の競釣新聞を読んで把握してほしい。中でも前出のモッチー君は滋賀県からの参加なので、大変だったようだ。予算もないので高速バスで上京。予定ではテッペイが6時ころに上野で拾うはずだったが、テッペイの仕事が長引いてそれが不可能に。続きは左の4コマを参照。いろいろあって、モッチーもテッペイも亀山の宿に着いたのが夜中の12時前後。3時間ほどしか寝る時間がなかった。
朝6時、まだ薄暗いのむらボートハウスには野望を抱えた男たちが集結した。みんな釣り業界の人間なので、表情は和やかだが、腹の中は違う。ぐつぐつと煮えたぎる溶鋼のごとき闘志が、体中をぐるぐると回っていた。「若きスーパースターをラッキーパンチで倒すのは俺だ」という夢は、ブレイキングダウンのオーディションに集まる元ヤンのオッサンのそれと、それほど変わらない。
そこに藤田京弥登場!
藤田「おはようございます!」
ここで全員拍手! やっぱり彼は日本の誇りだし、全員が応援しているのだ。でも、全員ラッキーパンチを狙ってはいるが……。
アメリカより遠い亀山湖
滋賀県に住むモッチーはザワ杯に行くのも大変だ。
テッペイ&モッチー組の忍法ヘラバス釣法は成功するのか?
実力者は実力を出し 策士は、策に溺れる
全員の準備が終わり、集合写真を撮影して出船となったのは、もう8時近かった。
大場「ちい、朝イチ白鳥島で釣ろうと思ったのに8時かよ」
ここにはザワ杯参加船が5艘も浮いていた。ただ、テッペイ&モッチー組は、そそくさと通過して、上流の長崎の岬にボートを固定。
モッチー「さてなりすまし開始です。ヨコザワさんは、動かないで下さいね。釣りもしちゃだめです」
テッペイ「釣りもダメ?」
モッチー「完全にヘラ師になりすまさないとだませませんよ。ヘラ師のボートに人間が2人乗っていたら不自然ですから」
彼らがやろうとしているのは「忍法ヘラバス釣法」。房総のダム湖ではへら師がいるとバスが寄ってくる。なぜなら、ヘラ師は釣ったギルをよくリリースするので、それを食べるためにバスが寄って来るのだ。そこでヘラ師になりすまし、バスが寄ってきたタイミングでギル型ワームをポイと目の前に落とせば、何の疑いもなく食ってくるという、遠大なる作戦だ。
モッチー「あ~乗っ込みはまだかな? おっと、エサでも練るか」
テッペイ「それヘラブナに聞こえるのか?」
モッチー「何のたわごとを言ってるんですか? バスに聞かせているんですよ(小声)」
テッペイ「あ、そうか」
どっちがたわごとなのかはさておき、モッチーはひたすら茶番劇を続け、ヘラ師になりすます。エサを練ってる風の音を出したり、ランディングネットを玉網風に置いたりする。そして15分後、満を持したモッチーはギルワームを手に持ち、こうつぶやいた。
モッチー「なんだ、ブルか!」
そしてポチャンと落とした。緊張が走る! そして15分後。
モッチー「場所変えますか」
これを2回やって1時間は無駄に費やした。そのころ白鳥島では。
藤田「来ました!」
大場「あ、京弥釣れてる」
一度大場が見切ったシャローに藤田京弥が入ると、シャッドで軽く先制打! 同じころ、メインレイクから押切沢に入った大津兄弟にもチャンスが訪れた。
大津(兄)「よし、今日はこれじゃないと釣れないな」
その手には550gのバスがぶら下がっていた。
忍法ヘラバス釣法
やや水がぬるんできたら各地でアタリが!(小バス)
日が昇ってきたら釣れ始めてきた?
テッペイ「モッチー、一気に笹川筋まで移動するぞ。1週間前はあの筋の水だけが生きていたんだ」
望月「作戦通りの釣りですか?」
テッペイ「プランBだ。シャッドとミノー。ダウンショットとスモラバだな」
プランBのほうがかなりまともな作戦だ。この時、ザワ杯参加艇、8艇のうち半数以上がその方向に向かっていたと思われる。古川中澤組もその一組。でも、途中の押切沢に入ろうとしたところ、中から大津兄弟が出てきた。
古川「中澤パイセン、今の大津さんのオーラ見た?」
中澤「ものすごかったね」
古川「ありゃ釣ったな、押切沢で」
まあ、大津さんは明け方、否、前日からかなりのオーラを出していたけどね。
みんなが目指していたのはヨリトモ周辺の立ち木群らしい。ここはオリキンがガイドの客に手堅く釣らせるためのスポットなのだが、なぜかテッペイ以外はみんな知っているようだった。細かい場所は不明だが、オリキンペアはここであっという間にリミット達成。古川組も中澤が2本釣り、京弥プロも1本追加に成功! かなり熱い展開になってきた!
10時過ぎに笹川に入ったテッペイ&モッチー組は色々考えてプランBにした割に、どのルアーにも飽きてしまって、もっぱら崩落のカバー撃ちばかりやっていた。すると、対岸にいたボートから歓声が上がった! 大場が釣ったのだ。近寄って記念撮影。
大場「これが今年最後のバスになるのかな?」
テッペイ「何で釣ったの?」
川島「ダイラッカ!」
テッペイ「シャッドか…」
あとで聞いたら、ブルフラットのテキサスだった。
イチバスコンビ、ハードルアーで猛追!ドラハン艇にも、待望のワンヒット!
状況は上向き! 伏兵現れるか?
テッペイ「今度は逃がさねえぞ! うりゃあ! よし乗ったあ」
フッキング成功! 実は先ほども1回テキサスでアタリがあったが、乗らなかったのだ。
モッチー「ネット用意します!」
テッペイ「頼むぜ!」
と、言うや否や、びよよ~んと飛んできたのは260gのいたいけなバス。
モッチー「ネットを用意して損しました」
一方、メインレイク近くでもドラマが起きていた。
高松「うお~、バドで釣った!」
金丸「ここから逆転だ!」
帰着は14時。12時半を回って、大津兄弟は1本目を釣った押切沢に戻ってきた。そして1本目を釣ったまさしくその場所にレインズスワンプミニを落とし込み、ボトムでシェイクすると弟の竿が曲がった!
大津(兄)「お前、今度はバラさないでくれ」
大津(弟)「アニキ、大丈夫だ」
この魚が880g。優勝に大きく前進する1本だった。
ラスト30分、プランCの橋脚粘りのためにのむらボート付近まで戻ったテッペイ&モッチー。シャローで狂ったようにスピナーベイト投げる金丸に声をかけた。
テッペイ「リミット揃いました?」
金丸「いや、1本だけです」
しかし、金丸はラスト30分で、2本のバスを追加。イチバス、浜野岬愛用のあのスピナベで。
やがて、続々とボートが戻ってきた。14時、試合終了。すべての釣果が、テッペイのスマホへと画像付きで送られてきた。戦前のオリキンの予想では、参加チームの半数は完封負けになるという、悲観的なものだった。でも、釣果ゼロのボートはなかった。
テッペイ「では、発表します! まずは最下位から。最下位は合計180gで……」