『バス釣り上達100のヒント』CH.4・後編「ポストスポーンからの回復魚は、表層系で広く浅く探れ!」【帰ってきた、シン・ネバギバ。】清水盛三、インタビュー連載!! 

毎回語り尽くしのネタ満載トークインタビュー・清水盛三「帰ってきたシン・ネバギバ。」。連載4回目後編は、6月から7月にかけてのポストスポーン回復期におけるバスの行動、ならびに、この時期のBIGママを狙い撃ちするための秘訣を教えてもらったぞ!

●文:ルアーマガジン編集部(写真提供:MORIZO SHIMIZU)

2024 イカメタル特集

清水盛三 MORIZO SHIMIZU 
1970年5月29日生まれ。大阪府出身。’97JBスーパーバスクラシックウィナー、’00JBワールドU.S.チャレンジinレイク・ミード優勝を経て渡米。老舗トーナメント団体B.A.S.S.が主催するエリートシリーズやFLWなどに参戦。2018年をもって引退、17年間の米国競技生活にピリオドを打った後は日本国内の各メディアへの出演他、ご意見番として後輩の指導にあたる。バサー・オールスタークラッシック2022優勝。
オフィシャルサイト http://www.morizoshimizu.jp/
<スポンサー>
エバーグリーンインターナショナル、グローブライド、東レ・モノフィラメント、グレンフィールド、モーターガイド、マーキュリー、カラーズインターナショナル、ALL of FAN
<バスマスター通算成績>
●B.A.S.S.
’01ウェスタンオープンでデビュー。1シーズン目で、翌年からのツアー参戦権を獲得。公式戦出場151回、クラシック出場3回、2006年にエリート・ケンタッキーレイク戦優勝、入賞66回(優勝:1回、準優勝:2回、トップ10:9回、トップ20:21回、トップ30:34回)。獲得賞金77万1299ドル(約1億2187万円 *1ドル158円換算)。

ポストスポーン回復からアーリーサマーの魚は荒食い系が多い!!

「6月の虫」を英語で訳すと…?

――ということで、今回も前半はアツいトークでしたが、日本はすでに別の意味でアツいです(汗)。
清水「ホンマやね。梅雨入りになって湿度もマックス級に高いし…最近の日本は亜熱帯になってるよね。まぁ、でもバス釣りは調子いいですよ。あ、いや、僕が、の主語が抜けてましたワ~。前編でもちょっと話したけど、ロケやテストで関西のフィールドに通ってて、大抵いいバスが釣れてる。『Mr.ジューン』的には、基本は6月のポストスポーンから回復した太っている魚を狙っていってるんやけどね」
――『Mr.ジューン』って(笑)。
清水「僕が最も好きで得意なシーズンなんですワ。ケンタッキー・レイクで優勝したのも、日本の試合で優勝してるのも6月。ちなみに、僕はプリスポーン、ポスト回復、冬直前、の3シーズンが好きやね。いずれのシーズンもブリブリに太ったバスが釣れる。スローな釣りからガラッと変わって、いろいろなスタイルで釣れるようになるのもこの時期やからね。パワーフィッシングがバリバリに効くシーズンでもあるよね」

2006年6月15~18日、BASSマスターツアー第3戦、ケンタッキー・レイク初優勝。初日46位と出遅れたものの、2日目以降驚異的な追い上げをみせる。大会期間中、単日記録として2日目に最重量、最終日には最重量&ビッグフィッシュという、得意とするテネシー水系で怒涛のビッグバス・ラッシュ。まさにJUNEの出来事。

――具体的に教えていただけますか?
清水「特に、朝と夕方のまずめ時はスーパーアグレッシブにエサとか食ってると思うから、表層系でいい釣りができるはず。シャワーブローズやバブルトルネードなどのトップウォーター、ちょっとレンジを落としてDゾーン、ジャックハンマー、そしてゼルク、ワイルドハンチなどのクランクベイト、もうちょっと落としてXXオーバー…とかね。晴れの日はさすがに暑いから、昼間は、例えばシェード側をワンズバグのストップ&ゴーとか、ラストエースの表層ピクピク…もうここまでくるとサマーパターンやけど(笑)、全然イケる。もう、とにかくムービングベイトでキッチリ狙っていける季節なんですワ」
――本当に何でもOKですね! ちなみに、ポストの時期から、バスはどうやって動いていくんでしょうか?
清水「スポーニングのベッドから離れたバスは、エサを食っていける段階になるとグルーピングといって、その周辺にいるバス同士がグループ行動を起こすようになる。シャローのストラクチャー、沖目のアイソレート系、ブレイク…各フィールドによってバスが付くモノは様々やけど、なんとなく寄り添う流れになるんですワ。そうやってエサを食いつつ徐々に回復していくと、そのままスクーリングする個体と、離れて単独行動をとる個体とに別れていくんやけどね」
――なるほど~。『グルーピング』というワード、初めて聞きました。
清水「でしょう。ちなみに、ワームのカラー名で『ジュンバグ』ってあるでしょ? この意味知らないヒト、意外に多いんやで。英語で書くと『JUNE-BUG』…ジューンバグ。直訳すると、6月の虫って意味。日本でいうコガネムシ類のことやけど、アメリカではこの6月の時期に釣れるカラーということで、特にワームのラインナップでは外せないんですワ」
――紫系のボディベースにグリーンラメ、ペッパー少々といった色ですよね。
清水「そうやね。僕が作ってるバイズシリーズにもあるけど、最近の日本では、紫系統のカラーはなかなかお目にかかれなくなりましたねぇ…とまぁ、余談ではあるけれども、色の名前に月名が入るってのも、他のラインナップを見てみてもなかなか無いからね」

「JUNE-BUG」・・・通称、ジュンバグ。アメリカでは特にソフトルアー、ワームの定番カラーとして大抵ラインナップされている。特定の時期や季節で、時として絶大な威力を発揮するカラーなのだが、今の日本ではなかなか定着しない。モリゾーさんは、そのジュンバグをジャックハンマーに採用している。

――今回は、その余談ネタについてお話を伺いたいんですが…ピンクも夏に効くといわれていて、モリゾーさんも必ずラインナップされていますよね?
清水「モリゾーピンクね。ピンクカラーは売れないからって言われてるけど、僕が作るルアーにはラインナップしてる。それは釣れるから。もう単純明快。みんなも、ナチュラル系だけではなくて、食わず嫌いのアタマをちょっとだけ柔らかくして普段とは異なるカラーを試してみるといいよ」
――6~7月のポスト回復のシーズンは、そういったことを試すのもいい時期ですよね?
清水「そうやね。メインにしないまでも差し色として持っておくといいよ。いざという時に頼りになる時が絶対にあるからね。いつもの自分の定番カラーで釣れない時、ルアー自体を変えるのもいいけど、色を変えるだけで食ってくることもあるしね」
――ちなみに、ピンクはどういった時に?
清水「クリアでもマッディでも、膨張色系としてよく釣れる。ホワイト系のカラーっぽく見えるんじゃないかな。要はベイトフィッシュとして見られているのではないかと。今でも売ってるかな…昔、バブルガムワームっていうストレートのフローティングワームがあったんやけど、カラーがピンクとかオレンジとか派手な色ばかりがラインナップされていてね、トップウォーターで使うとよく釣れた。アメリカの試合でも、シャワーブローズのモリゾーピンクが爆発して初日1位になったこともあるしね」
――そうなると、アカデミックに理論立ててカラーチョイスをしていくのにも限界がありますね。
清水「もちろんその考え方は間違いではないけど、全てが当てはまるワケではない。直感的な、ノー・リーズンの時もある。とにかく今日、この状況下ではこのカラーが効く!…みたいなね。ホワイトには出ないけど、ピンクには出る、とか。だから、カラーは出来るだけ多く揃えておくに越したことはないんですワ」

モリゾーさんは、差し色とされる特殊系のカラーラインナップに人一倍こだわりを持つ。このモリゾーピンクもそのカラーのひとつ。常に必要なわけではないが、ここぞという時に爆発するポテンシャルを持つ。そういった場合、理論を超えた先にある「ノー・リーズン」直感パターンが多いという。動物的な直感が働くときは、概ね流れが変わる時。そのため、差し色といえども必ずボックスに忍ばせている。

トライ&エラーでOK。経験則も大事なこと!

――本来、バス釣りっていうのは、自分でアレコレ考えて、答えを自ら出せるところが楽しいですよね。
清水「まさにその通り! 考えることからスタートなんですよ。そこがまた楽しくもある。言うたら、推理ゲームやからね。バスも生き物やから、その日その日でやっぱり食いたいモノが変化する。僕がいつも返す返すルアーをチェンジして試して答えを出すのは、自分の仮説が合ってるかどうか、その考えの答え合わせでもある。これまでのアメリカでの経験則の積み重ねから導き出した答えは、そのタイミングも含めて大体合ってることが多いから…」
――「な、言うたやろ?」に繋がっていくんですね(笑)。
清水「そういうことなんですワ(笑)。まあ、とにかく、思いついたらまずはやってみる。トライ&エラーでいいんですよ。考えて推理してバス釣りを楽しんでほしい。その答えが返ってきやすい一番いい時期でもあるんだから」
――この時期だからこそ、モリゾーさんが皆さんにお勧めしたいルアーのジャンルってありますか?
清水「そうやねぇ…まず、Dゾーンは除外やナ」
――ん?…それはなぜ?

清水「Dゾーンはどこでも年中釣れるから。シーズン問わず、ハメることができる殿堂入りのルアーやからね! ということで、それ以外となると、やっぱりトップウォーター~サブサーフェス系になるかな。バズベイト、ポッパー、ペンシルベイト、ウェイクベイト、シャロークランク…まぁ、そのフィールドがザリガニレイクなのか、ワカサギレイクなのかにもよるけど、基本水面炸裂のエキサイティングなゲームをオススメするよ」
――タックルは多めになりそうですね。
清水「そうやねん。ソコだけがちょっと難儀やけどしょうがないかな。総じて言えるのは、広く浅く、いろいろと持っていったらエエかなと。万が一トップに炸裂しない日だったとしても、ちょっと潜らせれば何かしらで必ず反応を得られる時期やから。昨年の6月とか、トップに出ない日でもゼルクやフラットフォースでボッコボコに釣ったりしたからね!」
――なかなかにエキサイティングですねぇ。では、モリゾーさんのご指示通り、ムービングベイト系のラインナップでOKということですね。
清水「スーパーパワーフィッシングでテンポよく、ですワ! ゆっくり釣るのは、昼前の10時前後くらいから気圧が張り出す12時くらいまでと、風が吹き止む14時くらいから夕まずめ時まで。朝夕はいずれも狙い時。雨なら一日中イケるね。キモは何度も言うけど、広く浅く、ですよ。反応が薄いのであればひとつのルアーに固執しすぎないこと」――ひとつ、フォローとして撃ちモノタックルを持参するならどんなモノがオススメですか?
清水「そうやね、カバーでもオープンでもキャストでも近距離でもどっちでも対応可能なIRジグの1/2オンスがオススメ。この時期、カバーに付いているバスは太ってるからねぇ。それはそれで狙い目やね」

モリゾーさんオススメの「ここぞというときのお助けルアー・ジグ編」にて必ず登場するIRジグ。真円ではない変形ラウンドヘッドのコンパクトジグだ。ウエイトラインナップも1/4オンスから3/4オンスまでと幅広いのも、アングラーの好みに合わせてチョイスが可能。何かと使い勝手が良い、オールラウンダールアーだ。

<モリゾー・おすすめタックル> IRジグ使用Ver.

●ロッド:CSYC-73MH シナジー・スーパートライアンフ(EG)
●リール:ジリオンSVTW1000XH *8.5:1(DAIWA)
●ライン:エクスレッドNS 16ポンド(東レ)
●ルアー:IRジグ1/2オンス(EG)+バイズクロー・ポートリー4in(ベイトブレス)

清水「とにかく、バス釣りに対する感性を磨かなアカンから。上手くなるためにはね。なんかこの攻め違うよな…って本能的に思ったら、迷わずチェンジ、やで。違ったらまた戻せばエエだけの話やから。あ、そうそう、ひとつ、お助けルアーとして、ピッコロのノーマルサイズとダイブシャロー、Dゾーン・フライはボックスに忍ばせておきましょう。どうしても釣れへん時とか、過去、僕自身が助けてもらったという、まさにボウズノガレルアーやからね」
――このパターンはいつくらいまで出来そうですか?
清水「エリアとフィールドにもよるけど、梅雨が明けるくらいまでは通用すると思いますよ。時期的に雨は必須やから、必ずレインブーツ&レインスーツは忘れずに! 濡れるとビショビショで気持ち悪いし、ことのほか冷えるから風邪も引くかもしれないし…着替えも持っていくといざというときに重宝するかも。ということで、読者の皆さんも、今の時期に自信と経験値を積んでほしいですね!」


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