海の中はどうなっていて、どんな魚がいるのだろうか。魚たちが暮らす場での、そのリアルな生活を垣間見たい。そんな思いで水中に潜り、撮りためた写真を集大成しました。キスは古くから親しまれている魚で、俳句では夏の季語にもなっている。水温が上がると沖から岸の近くに寄ってくるため、多くの人々がこれを狙って釣りに出かける。その身体の美しさから海の女王と呼ばれることも。天ぷらにしたときなどの繊細な食味も人気。(※本原稿は『水中釣魚ワールド』からの抜粋です。)
●文:ルアマガプラス編集部
水中写真で見るサカナの生態:シロギス編
【Target Profile】
シロギス
北海道南部から九州にかけて広く分布する魚。砂地を好み、ゴカイ類や甲殻類を補食する。近似種としてアオギス、ホシギス、モトギスが日本には生息している。
50尾ほどのシロギスの群れ(!?)が海底を行ったり来たり
キスは水温が高くなる夏場には海水浴場などの浅い場所にもやってきて、波打ち際でも見かけることができる。しかし意外に警戒心が強く、潜って見たりするとすぐに散っていなくなることが多い。
ただし、少し深い場所にいるときは、ダイバーが近付いても逃げないまとまった群れがいることがある。
堤防沖に広がる水深15mほどの砂底でそんなキスの群れを発見した。推定の数は50尾くらいだろうか。
だいたいこれくらいの数で群れを作り、それがあちこちに点在する。シロギスの生活はそんなイメージで考えるといいかもしれない。群れは行ったり来たりしながらを繰り返していたが、オキアミを撒いてみると、その足が止まった。
まずキスが食って他の魚が横取り
群れの密度がギュッと狭くなり、オキアミを気にしているのがよく分かる。そのうち1尾が食うとみんなが食いだした。
この騒ぎを遠くから見ていたのは堤防の住人のイシダイ。さらにウマヅラハギやキュウセンも加わって砂底でのオキアミパーティーがはじまった。
オキアミを撒くとキスだけでなく、近くの堤防のテトラに潜んでいたのだろうか、イシダイもやってきた。さらにウマヅラハギやキュウセンも登場。
その後、キスたちは少し遠慮気味にその場を離れ、海底から少し上で浮遊。休憩時間を楽しんでいるかのようだった。
魚は水中でどんなふうに暮らしているのだろうか?
海の中はどうなっていて、どんな魚がいるのだろうか。魚たちが暮らす場での、そのリアルな生活を垣間見たい。そんな思いで水中に潜り、撮りためた写真を集大成しました。釣魚の行動観察録にはじまり、海中を彩る多種多様な魚たちの生態、そして捕食の瞬間まで、釣魚の生の姿を大紹介。水中撮影での苦労話やトピックス、各魚種の釣り方なども盛り込んでいます。
『水中釣魚ワールド』
●発売日:2021年8月4日
●価格:1,980円(税込)
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