シーバスフィシングで一般的に使用されているPEラインは、今から数十年ほど前に誕生した比較的新しい素材のライン。PEラインには4本撚りや8本撚り、硬いものや柔らかいものなど、いろいろな種類が存在する。たくさんあるPEラインのそれぞれ特徴や使い分けを、安田ヒロキさんが解説してくれた。
●文:ルアマガプラス編集部
安田ヒロキ
元・アウトドアショップの店長。東京湾をホームに河川や港湾、干潟、磯などあらゆるフィールドを得意とするシーバスプロアングラー。自身の豊富な経験値を活かし、ルアーブランド「LEGARE(レガーレ)」を立ち上げる。
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PEラインのメリットとデメリットについて
PEラインはポリエチレンという素材からできており、ポリエチレンはビニール袋などにも使用されているとても身近なもの。世界でもっとも生産数が多いプラスチックがポリエチレンと言われている。ナイロンラインやフロロカーボンと違い、PEラインはこの複数の素材を編み込んで作られている。これがPEラインが他のラインともっとも大きな違いだ。
このPEラインの特徴は、伸張性が低く伸びにくいこと。伸びないということは、直線的な引っ張り強度が強く、感度も高い。一方でデメリットもあり、耐摩耗性に弱く、障害物などに擦れるとラインブレイクしやすい。岩などに擦れると編み込まれた原糸1本1本が切れてほつれることで、切れやすくなってしまうのだ。また、熱にも弱いという特徴がある。
伸びにくくて感度が高く、引っ張り強度も強い、そしてフロロカーボンよりも細い糸を選択できることから、シーバスフィッシングにおいてはPEラインは重宝されている。
PEラインの4本撚り・8本撚りって何?
PEラインには4本撚りや8本撚りなどがあり、パッケージにX4、X8などと表記されていたりする。PEラインはポリエチレンの原糸を編み込んで作られており、4本の原糸を編み込んでいるなら4本撚り、8本の原糸を編み込んでいるなら8本撚りとなっていいる。同じ号数なら、4本撚りも8本撚りのほうが、1本の原糸は細くなってくる。
PEラインは撚り数の多い方が、柔らかくしなやかになると言われている。同じ種類・同じ号数のPEの4本撚りと8本撚りを比べると、4本撚りは硬くコシがあり、8本撚りは柔らかくしなやかに感じるはずだ。また、撚り数が多いほど、表面が滑らかになり、が摩擦抵抗が減るため、飛距離が出やすいという特徴もある。8本撚りのPEラインは、4本撚りと比べると値段が高い、という違いも出てくる。
メインラインの太さはどう決める?
細いラインはあらゆる抵抗が減るので飛距離がよく出る。風に流されにくいので、リトリーブしているときも巻きが安定しやすい。水馴染みがいいので、深いレンジに沈める釣りもしやすい、といったメリットがある。細いラインのデメリットは、耐摩耗性が下がることで、毛羽立ちやすくなることだ。安田さんは、この耐摩耗性の低さを補うために、頻繁にラインを新品に巻き替えるようにしている。太いラインは、単純に強度が上がる。しかしながら、飛距離が出にくかったり、風に流されたり、水の抵抗感が上がったりする。
やっぱり、細いラインのほうが釣れる?
釣り人なら、ラインは細いほうが魚に気付かれにくく、より釣れるような気がきっとするはず。安田さんがいろいろ試した経験上、シーバスからは釣り糸は見えていないんじゃないか、という結論になっている。安田さんが感じているのは、細いラインのほうがルアーがよく動いているということ。そして、細いラインのほうが、ルアーの動きや水中の流れなどの情報がアングラーに伝わりやすい。結果、細いラインのほうがよく釣れるというのが安田さんの答えだ。
しかしながら、安田さんが普段シーバスフィッシングで使うラインは1.2号と、決して細くはない。それはまず、安心してファイトがしたいから。そして、橋脚などの障害物をタイトに攻めたいからだ。ただ、バチパターン、アミパターンなど、使うルアーが小さいときはラインは0.8号に落としたりする。また、ビッグベイトを使う場合は、高切れを防ぐために1.5号を使う。
オープンウォーターで釣りをする分には通年0.8号がメインでも問題ないが、ビギナーの方などは1〜1.2号を使うことを推奨する。細いラインを使う場合は、毛羽立ってきたらすぐにその部分をカットして結び直すなど、ちゃんとケアをするようにしよう。安田さんは毎釣行リーダーは結びかえるし、その際にフタヒロ(約3メートル)ほどメインのPEラインをカットする。また、根掛かりでラインブレイクした際も、メインラインが傷んでいるので2メートル以上カットしてから新たにリーダーを組むようにしている。釣行を繰り返し、スプールに巻いてあるメインラインが短くなってきたら、新しくラインを巻き替えればOKだ。
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