「わずか5cmの隙間から?」「食った!…あれ、巻かれてる!?」「たしかにここは別格ですね〜」オカッパリの解像度を上げる沼の歩き方。

2024 シーバス特集

川村さんが初めて多々良沼に足を踏み入れたのは2022年9月。気温が30℃を超えるなか、初日のオカッパリでは46cmをキャッチ。さらに翌日のボートで手にした1尾は、38cmとは思えないほど良好なコンディションだった。ルアーはギャップジグ+ブルスホッグダディ。

これぞ沼! という雰囲気バツグンの多々良沼だが、周囲をヤブとベジテーションに覆われているので岸からは狙えない範囲が多い。ポジティブに捉えるならオカッパリでのプレッシャーが少ないとも言える。

朝イチに川村さんがやってきたのは近藤沼。周囲およそ2.5kmの規模で、水路で繋がる3つのブロックから成り立っている。釣りができる桟橋が設けられており、足場も非常にいい。春休み中の中学生が「自己ベストは53cm!」と教えてくれた。

“沼”とオカッパリの相性は…?
たとえば牛久沼や印旛沼、手賀沼などは知名度のわりにオカッパリアングラーが少ない。ベジテーションや藪に囲まれ、エントリーできる範囲が狭いのも一因だろう。どうしても流入河川や吐き出しがメインになりがち。

今回訪れた近藤沼と城沼で釣りをするためには、それぞれ遊漁券が必要だ。巡回中の係員さんから購入しよう。一日券500円、年券8,000円。

ルアーに絡んできた岸際の枯れ葉には魚の卵が付着していた。春はバスだけでなくコイやヘラブナなどのスポーニングシーズンでもあり、バンク際が騒がしいと一時的にシャローで釣れなくなることも。

“沼”の3大要素 ①張り出し ②インレット&アウトレット ③角
カバーやベジテーションが多い反面、しっかりとした選球眼を持っておかないとバスと出会いづらいのが“沼”の怖さ。変化を見つけるための手がかりがこの「3大要素」だ。もちろん、この考え方は沼以外のシチュエーションにも応用が効く。

“インレット&アウトレット”
基本的に水の動きが少ないのが「沼」。ということは、確実に水の動く流入・流出のまわりは有望なスポットになりやすい。水門や水路なども見逃さずに狙っていこう。

“張り出し”
桟橋やカバーなど、沖に「張り出しているナニカ」は要チェックだ。なんらかの理由でバスが岸際に寄っていない場合でも、こういうスポットなら出会いのチャンスが残る。

“角”
「張り出し」と似ているが、でっぱりだけでなく凹んでいる“角”でもOK。カレントや地形変化のほか、ボトムの構成要素が切り替わっていることも。

近藤沼の桟橋でクランクを巻いて2バイト1フィッシュ、40アップを釣ったというロコアングラーに遭遇。川村さんの推測どおり、やはりこのスポットは魚影が濃いようす。

北岸の桟橋に入った川村さん。よりフィネスでタイトな攻め方が必要だと感じ、ウェアウルフにコスモ2.5g+M.P.S 2.4inをセットした。

桟橋の柱を囲む四角い枠に対し、川村さんはあえて内側の狭いスペースにスモラバを落としていった。できるだけルアーを柱に寄り添わせてマイクロピッチシェイクを行なうためだ。

近藤沼の桟橋は岸とほぼ平行に設置されているが、よく観察するとバンクの張り出しに絡むところがあった。バスが沖とシャローを行き来するルートになるので、川村さんは支柱だけでなくその周囲も探っていた。

初挑戦の近藤沼でナイスフィニッシュ!

細やかなアプローチが功を奏して、コンディションのいい“沼バス”をキャッチ。
「表層から50cm刻みでシェイクしながら落として行って、だいたい1.5mレンジで食いましたね」

インレットの周囲をネコリグで探っていると、しだいに水中の地形変化が見えてきた。画面奥の枯れたハスは浅いのでパスしたが、川筋(やや掘れている)との間にあるアシの張り出しは「シャローへの上り口」になるので要チェックだ。

城沼にはあちらこちらに枯れたハスの茎が広がっている。一見美味しそうに見えるけれど核心部を絞り込めないので全流しするのはタイパが悪い、と川村さんは判断。通い込んで釣れるタイミングなどが掴めてくれば、狙う価値があるかもしれない。

加法師川の河口部でブレーバー2のスナッグレスネコにビッグバイト!? 巻かれてミスったかと天を仰いだが…。

上がってきたのは黒光りするニホンナマズだった。キャットフィッシュではないところが霞ヶ浦水系とはひと味違うところ。産卵を控えたメスなのか、すでにおなかが膨らんでいた。

ブレーバー2[ボトムアップ]
おもにカバーやバンク撃ちで使用。
「春はネコリグが効く。通常は1.3gのネイルシンカーを使うことが多いですが、まだ寒い日もある時期なので1.8gでリアクションを強めてます」
フックはN・S・Sフックパーフェクション#1/0。

コスモ 2.5g+M.P.S 2.4in[ボトムアップ]
桟橋の支柱をマイクロピッチシェイクで探って貴重なバイトをものにした。途中、ベイトフィッシュが多いのを見てスモーク系のカラーに変える場面も。スイミングで誘うのもアリだ。

ギャップジグ5g+ブルスホッグダディ[ボトムアップ]
やや透明度の低かった城沼ではダディ、クリアアップしていた近藤沼では3inモデルを合わせた。表層〜中層でのジグストが中心。ただし今回は「さかんにフィーディングしている状況ではなさそう」と判断、出番は少なめだった。

スクーパーフロッグダディ[ボトムアップ]+スティーズ フレックスジグ 10g[DAIWA]
近藤沼の桟橋のシェードなど、プリスポーンのメスが浮いていそうなストラクチャーまわりでジグスト的に泳がせた。なおフレックスジグは形状のマイナーチェンジで姿勢の安定感が増している。

ビーブル 3/8oz[ボトムアップ]
早春に欠かせない定番アイテムのひとつとして川村さんが挙げたのがスピナーベイトだ。今回は出番がなかったが「今日のように寒の戻りに当たっていなければ、もっとキャストしていたと思います」とのこと。

岸際に手頃なウッドカバーが並ぶ古城沼。やや濁りも入っていて雰囲気バツグンだが、気になるのはヘラ師以外にアングラーがいないこと。

足場の悪いエリアにも果敢にアタックしたが、古城沼では反応なし。バスがいないわけではないらしいので、時期やタイミングを変えて再チャレンジしてみたいところ。

古城沼ではマッディな水質に合わせてルアーセレクトも微調整。ギャップジグ5gにはブルスホッグダディを合わせ、ブレーバー2の色も「グリパンチャート」にパワーアップした。

城沼のアウトレット付近。沖のハスが通路のように途切れているのは、チャネルラインが通っているからだと思われる。

こちらは昨年夏の風景。城沼は大部分がハスに覆われて釣りのできるエリアが制限される。

城沼の最下流、アウトレットで「クランクで3本釣りました」というロコアングラーと出会う。水温15℃未満でこの釣果は驚愕!

【使用タックル(※上から)】
ロッド、リール、ラインはすべてDAIWA。
①スモラバ&ネコリグ用
●ロッド:スティーズショアコンペティションSC C66M/ML-SV・STウェアウルフ
●リール:’24スティーズSVTW100XHL
●ライン:スティーズフロロタイプフィネス10lb
②ヘビーカバーでのネコリグ用
●ロッド:スティーズショアコンペティションSC C69M+-STファイアウルフ
●リール:’24スティーズSVTW100HL
●ライン:スティーズフロロタイプモンスター13lb
③ヘビーバーサタイルに使用
●ロッド:スティーズショアコンペティションSC C69MHキングヴァイパー
●リール:ジリオンSVTW100XHL
●ライン:スティーズフロロタイプモンスター16lb