危険なほど刺さるハリ!?『カツアゲフック』って知ってる?

ルアーのフックだけを見て、そのメーカー名を言い当てられる人は決して多くはないだろう。しかしことメガバスの「カツアゲフック」だけは例外だ。ある程度の経験を持つバスアングラーであれば、誰もが目にしたことがあり、多くの人がお世話になったであろう「カツアゲフック」。象徴的な印象のあるフックだが、その性能の高さは歴史の長さが証明している。

●文:ルアマガプラス編集部

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カツアゲ=メガバス象徴的ともいえるフック

カツアゲフックの名を知らずとも、この針がメガバスルアーに搭載されていることは、多くの人が知るところだろう。

だが実は全てのメガバスルアーがカツアゲフックなわけではない。むしろ割合的には少ない部類に入る。にもかかわらず、ここまで浸透しているのは、搭載しているルアーが定番かつロングセラーモデルだからにほかならい。なかでもワンテンは2000年の登場以来、24年間にわたってカツアゲフックを搭載。他にもディープXやバイブレーションXなど、錚々たる顔ぶれがカツアゲフックを搭載し、今なお各地で活躍を続けている。

そんなカツアゲフックだが、実は単体で販売されている。交換用としての活用はもちろん、標準搭載ではないルアーをカツアゲ化するのも有効だろう。

それでは改めて、カツアゲフックとはどんなフックなのか? メガバスプロスタッフの杉村さんに解説をお願いよう。

刺さりと軽さがルアーにもたらすもの

杉村和哉
すぎむら・かずや/琵琶湖の大人気フィッシングガイド。メガバスからのサポート歴も長く、またフィールドに立つ時間も長いため、メガバスルアーに対する造詣はプロスタッフの中でも随一。明るく丁寧な対応から時折溢れる毒舌にファン多し。

杉村「ワンテンでバスを釣ったことがある人って多いですよね」

ヴィジョン ワンテン
キング・オブ・ジャークベイトとして、国内外問わず愛されているメガバスを象徴するルアーのひとつ。始めてカツアゲフックが標準搭載されたルアーであり、カツアゲといえばワンテンを想像する人も多いだろう。

杉村「その時の釣れ方を思い出してみてください。3フックのうち、2つ以上が刺さった状態でキャッチしていません? それがカツアゲフックなんです」

つまりはとにかく「掛かりのいいフック」であるというのだ。
杉村「アウトポイントにアウトバーブ、軸線径の細さと、とにかく掛けるための要素を突き詰めたフックになっています。まさしくショートバイトを絡め取るという表現がぴったりで、ジャークベイトやバイブレーションなんかでよくある『バイトはあるのにのらない』という悩みを解消してくれるフックですね」。
だからこそ、ワンテンを筆頭に、X-80やプロップダーターといった操作系のルアーに搭載されていることが多いのだ。
杉村「ほかだと、ディープXなんかにも搭載されていますよね。」

ディープX300
ディープクランクの超定番として、琵琶湖ガイドで持っていないひとはいないのでは?というほどの傑作。#4のカツアゲフックを前後に標準搭載。なおディープX200とディープX100には#6が搭載されていた。

杉村「実はカツアゲフックって針そのものの自重が軽いんです。だからディープXならより浮力を稼げて、ウィードをほぐしての浮上がさせやすい。もちろん軽いことでアクションのキレも明らかに向上します。これはジャークベイトを含め、すべてのルアーに言える要素になりますね」

標準搭載のルアー達はカツアゲフックを採用することで、その能力を100%発揮することができているのだ。
一方、注意点も存在する。
杉村「とにかくよく刺さるので取り扱いは注意です。例えば洋服などの布に刺さったときも気をつけてください。普通のフックと違ってアウトバーブですから、引き抜く際の力の掛け方が変わってくるんですよ。慌てていると、本当に手間取ります(笑)」。

文字通り「尖りまくり」の『カツアゲフック』。

適切に使いこなすことで、それまで眠っていたルアーの持つポテンシャルを呼び覚ましてくれることだろう。

カツアゲフック(メガバス)

●サイズ:#4/#6●入り数:5●価格:550円(税込)

アイ
センターバランスのアイ。針先の向きがここから離れるほどアウトポイントとなり、引っかかりやすくなる。つまりショートバイトに強いフックになるのだ。

ワイヤー&ゲイプ
ワイヤー線形はやや細め。刺さりの良さとフックそのものの重量が軽い。ゲイプは最も深い場所が中心軸に寄っており、深く刺さることで高負荷時にもハリが開きにくく、バラシを抑制する

バーブ
一般的なバーブとは異なり、外側に設けられている。フックが刺さる際にはハリの内側に負荷がかかるため、抵抗物となるバーブが外側になることでよりスムーズに貫通させることが可能となる。

ポイント
フッキングのきっかけを作りやすくするため、アウトポイントにデザイン。単に鋭いだけではなくフラットな形状に切削されており、対象物に対して角度がついた状態でも刺さり始める。


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