
一誠にて多くのヒットソフトベイトをプロデュースする赤松健。独特の感性で釣りをする赤松さんが考える、高比重のワームが釣れる理由とは。大ヒットルアーの沈み蟲や新作のAKパンチの使い方を交えて、その秘密を語ってくれた。
●文:ルアマガプラス編集部
使いやすくてよく釣れる、高比重は理想のマテリアル
塩入ワームはもっともエサに近いワーム素材
まずは単刀直入に、高比重ワームが釣れるのはなぜだろう?
「ひとつは水の押し方だと思います。水の中で重たいものが動くのと軽いものが動くのとは、水の押し方に差が出ますよね。高比重のほうがより強く水を押し、より生き物っぽい水の押し方になっているんだと思います。そして、淡水魚は塩に対してものすごく強い反応を示します。例えば、金魚やエビがいる水槽に塩をちょっと入れてみてください。塩が溶けてモヤモヤっとなって、魚がそれに気付いた瞬間に一気に魚の動きが変わって、塩の周辺に集まってきます。ただの塩分だけで、魚の活性は上がるんですよ。練りエサの釣りをする人は、エサに塩を混ぜるだけでも釣果は上がるはずですよ」
ワームは素材に塩分を含ませることで高比重化がされている。
「塩がたくさん入ったワームは、水中で微量ながらも塩が溶け出していて、恐る恐るワームに近づいて、鼻先でチョンと触ったときに、塩分を感じるとそれで食べ物だと認識してくれそうな感じがしますよね。そして食感。塩が入っているワームはジャリっとした食感になる。それが甲殻類や小魚の感触に似ているんだと思います。バスが噛んだときも塩っ気があるから、それでよく釣れるんです」
高比重ワームは水中で微量ながらも塩が染み出している。魚が近づいてくるとその塩分を察知し、味覚アピールとなっている。淡水魚は塩分に機敏に反応するので、塩が釣れる一因になっているというのが赤松さんの考えだ。
ただ、塩は入れればいいというものではないらしい。
「塩を入れればオートマチックに釣れるワームになる一方で、入れすぎたらマテリアルは脆くなる。少な過ぎると、丈夫にはなるけど塩の恩恵は少なくなってくる。そのちょうどいい塩梅を、ワームの特徴によって決めていく感じです。だから、スパテラもビビビバグも、沈み蟲もAKパンチも、塩の含有量は全部違います。サカナサカナ、ギルギル、ライアーミノーは塩は入っていません。これらは浮力が大事なワームですから、むしろ高浮力の素材を使っています」
低比重のワームはシンカーの重さを利用してアクションを加える釣り。高比重のワームはノーシンカーリグなどで、フォールやズル引きなど、ワーム本来の自重を生かした釣りが向いている。やりたい釣りに合わせて、ワームの素材感をマッチさせていくとより釣りの幅が広がる。
高比重ワームは素材そのものに釣れる理由が備わっているのだ。
「塩が多いワームは、ノーシンカーやネイルリグなどのリグがいいですね。比重が低いワームは、シンカーの重さを利用してアクションさせることで釣れる動きを作りだす、操作系のリグがいい。シンカーの重さとワームの重さにメリハリが生まれる、だから釣れるんです。プラグでも、浮力の高いウッド素材のほうがメリハリのある動きが出たりしますよね、それと同じです。高比重ワームを重いシンカーで使うと、そのメリハリが効きにくい感じがします。フォールとか放置、ズル引きなら高比重、シンカーで操作するなら低比重ですね」
高比重ワームを使うのに特別なアクションはいらない。フォール、放置、ズル引きなど、ワーム本来のアピール力を生かした釣りがもっとも効果的だ。「ノーシンカーでストレスがあるかないか、それが高比重の境目だと思います」
ギルギル[一誠]
ギルギルやサカナサカナなど、浮力を生かした釣りや機敏なアクションを加えていくワームには塩が入っていない。
高比重ワームは使用していくとどんどん塩分が染み出していき、素材が柔らかくなっていく。
「塩入りワームは脆い、それは宿命です。塩入りのワームは新品、使い始めくらいが一番釣れますよ。生エサ感覚で使ってください!」
高比重のメリット
◎ 強い水押しが出る
◎ 魚の好む味(塩分)が出る
◎ 魚の好む波動が出る
◎ ジャリっという食感
◎ 飛距離が出る
◎ 底取りが早い
高比重のデメリット
× マテリアルが脆い
× 細かいパーツが整形できない
profile
赤松健(あかまつ・けん)
村上晴彦さんを師と仰ぐ岸釣りのスペシャリスト。ロングロッドを駆使して独自の攻略法でビッグバスを次々とキャッチしていく。自宅は水族館さながら多くの生き物を飼育している。