「釣りのためにケニアに行った日本人が?」「意外なことで現地の有名人に…」最後に手にした巨大魚に感動…。[トゥルカナ湖・ナイルパーチ釣行記]

2024 シーバス特集

近いのに遠い…トゥルカナ湖畔国立公園

拠点となる町に到着した私は、早速トゥルカナ湖畔を目指すことに。湖畔には3つほど小さな町があるのですが、ひとまず最寄りの町に行く乗り合いタクシーに乗車します。が、このタクシーがとにかく大変で、トヨタのプロボックスという車の運転席に2人、助手席に2人、後部座席に4人、トランクに7人の計15人を乗せて、すし詰めの状態でおよそ1時間の道のりを走るのです。

トヨタ プロボックス。ケニアでは欠かせない、人々の足として活躍。

ミッション車なので当然ギアを入れ替えますが、運転席の隣に座る人の股の間にシフトレバーがある有様。間違いなく人生で一番窮屈な乗り物を経て、ついにトゥルカナ湖を目前に捉えました。

せっかく目的地に到着したにも関わらず、逆戻りするハメに…

トゥルカナ湖のほとりへ行くと、ほのかに潮の香りが漂ってきました。事前に調べていた段階でトゥルカナ湖が塩水湖だというのは知っていましたが、実際に湖のほとりに立って、五感を通して実感します。ちなみにトゥルカナ湖は3つの流入河川がありますが、流出河川はありません。ではどうやって水位を保っているのかというと、蒸発だそうです。それだけで? と思うかもしれませんが、ここ10年間トゥルカナ湖の水位は減少し続けているそうで、このままだと遠くない未来に湖は消滅する恐れもあるのだそうです。

トゥルカナ湖の湖畔。

地球温暖化や砂漠化の弊害が、ここでは顕著に現れているのです。 さて、湖畔に立った私は早速漁師に手あたり次第話しかけて釣りに行きたいことを伝えますが、中々色よい返事が返ってきません。よくよく聞いてみたところ、トゥルカナ湖は国立公園に指定されているため、立ち入るためにはパーミット(許可証)を取得する必要があるそうです。ですがパーミットはこの町では取得できないらしく、来たばかりの道のりをすし詰めのプロボックスで戻り、拠点の町で探す羽目になりました。

パーミット(立ち入り許可証)を求め、湖畔の街をさまよう

即座にパーミットを取得して湖畔に戻ってやる! と意気込んでいましたが、そんな思いも空しく、パーミットを取るのに苦戦してしまいます。というのも、拠点の町ではどこでパーミットを取ればいいのか、具体的なことを知る人を見つけることができなかったのです。てっきり大きな町に戻ればすぐに見つかると思い込んでいましたが、完全に裏目に出ました。

時にはバイクタクシーで荒野を片道2時間走ることも。あまりの悪路に心底後悔したが、結果的にこの行動がパーミット取得に繋がった。

湖畔の町なら漁師がいるので知っている人もたくさんいたはずですが、確定ではありません。不確定要素に賭けて再度往復するのはリスクが大きいと考えた私は、自力でパーミット取得方法を探すことにしました。時には騙されて市場の職員に賄賂を払いそうになったり、無断でトゥルカナ湖に繰り出すよう唆されたりもしましたが、情報収集も兼ねて訪れたもう一つの湖畔の町で、ようやく取得方法を聞き出すことに成功します。

騙されかけた市場。途中で怪しいと思ったが、自分の直感を信じてよかった。

どうやら拠点の町の外れにケニアワイルドライフサービス(通称KWS)という機関があるそうで、そこに滞在予定日数分の滞在費を支払うことで、パーミットを発行してくれるそうなのです。私はすぐさまKWSを訪れて1週間分の滞在費を払ってパーミットを取得し、三度目のプロボックスへ乗り込みトゥルカナ湖へ戻りました。

苦労して入手した、ケニアワイルドライフサービス(KWS)が発行するパーミット。

一難去ってまた一難。爆荒れで釣りができない日々…

パーミットを取得してからは漁師との交渉もすんなり進み、翌日にはトゥルカナ湖に小船を浮かべていました。目指すは人里離れた漁場。そこで1週間キャンプをしながら釣りをする魂胆です。しかし、そう簡単にはいきませんでした。湖上では見る見るうちに風が吹き荒れ、それに伴いどんどん波が高くなっていきました。

湖といえば穏やかで煌びやかな印象ですが、冒頭で記したようにトゥルカナ湖の面積は琵琶湖の10倍。わかりやすく言えば、もはや海です。爆風で荒れ狂うトゥルカナ湖を木造の小船で航行しますが、波がドバドバと入ってきます。何もかもがびしょ濡れですが、かまっている暇はありません。絶えずひざ下まで溜まっている湖水を掻き出しながら、時折来る大きな波は船にしがみ付きます。そうこうするうちに日は落ちていき、私たちは湖の中洲で野宿することにしました。

ご飯は魚の干物。 [写真タップで拡大]

翌朝の中洲。風は落ち着いていた。 [写真タップで拡大]

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