メガバスらしさ全開の美しいバイブレーション『バイブレーションXウルトラ/スマトラ』が2024年にリニューアル!一見すると変更点はわからないが、今回のモデルには目に見えない秘密が隠されているという。伊東由樹さんに語っていただこう。
●文:ルアマガプラス編集部
『普遍』という個性を持つ強さ
1986年にロッド・アームズ、そしてスピナーベイト・Vフラットから始まったメガバスのエンジニアリングは、毎年のように名作を生み出し続け、我々アングラーに、バス釣り業界に、そしてバスたちに多大な影響を及ぼしてきた。そしてその月日は新たな製品開発のためのきっかけとなっていく。
伊東「バスにヴァージンインパクトが有効なのは間違いありません。製品開発というのが目新しいものにいってしまうのは仕方のないことでしょう。ですがメジャーレイクや歴史の長いフィールドではむしろ『普遍の解』があるように思うのです」
ニッチな性能、局所的な活躍を見せるルアーではなく、より大局を見据え、グローバルな性能を持つルアーは流行り廃り関係なく釣れる。例えば国内外問わずワンテンが「キ
ング・オブ・ジャークベイト」と呼ばれているように。
メガバスの伊東由樹さんはそう考えている。
伊東「だからこそ、これまで作ってきたルアーを再認識する必要があると思いまして。そこで手掛けたのが、バイブレーションXなんです」
1999年のベスト版を超えろ!
伊東「メガバスでは、これまでにもかなりの数のバイブレーションを作ってきましたが、釣れる『普遍性』を持つのはやっぱりバイブレーションXだなと、改めて感じているんです」
なかでも1999年にリリースされた「バイブレーションXウルトラ」は伊東由樹さんの思い入れも強い。ところが時代に翻弄されたエピソードがあった。
伊東「実はリリース当初の99年モデルで使用していたウエイトの材質では、アメリカで市場流通させることができなくなってしまったんです。そこで翌年の2000年モデルから異なる材質のウエイトに変更しているんです。ところが、比重の軽い素材を使用しているため、アクションが少しだけ変わってしまったんです」
とはいえ、多くの人がイメージする様に、バイブレーションXウルトラ、そしてダウンサイジング版にあたるスマトラは誰もが知るよく釣れるルアー。その能力に不足を感じた人は少ないだろう。
伊東「でも事実として、ロール幅やピッチ、対応する巻きスピードなど、間違いなく99年モデルのほうが優れていた。つまり目指すべき答えはすでにそこにあったわけです」
そこでとりかかったのが、99年モデルの復活、むしろ超えること。それも外見を変えることなく、だ。
「見た目を変えて販売するのは簡単です。ですが、それをやるのはメガバスではありませんからね。それからウルトラのデザインに圧倒的な自信があるんですよ。2泊3日のテストを全国各地で行って、3ケタに届く釣果を出したものを最終的に選んできました。現代のルアー開発で、ここまでのテストや性能差の検証を行うのはなかなか難しい。選びぬかれたハイドロダイナミクスを持ったボディデザインに、いよいよベストなウエイト配置が実現したわけです。今回のウルトラは99年版の完全復活であり、完全なるアップデートです」
時代に翻弄されるルアーたち
環境負荷を考慮したレギュレーションをクリアするため、ウエイト素材の変更を余儀なくされた99年モデルだが、2024年モデルは問題ないのだろうか?
「当然、そういった基準はクリアしています。むしろ昔よりも厳しくなっている基準にも適合させていますよ」
時代に翻弄され、その内容を変えてきたバイブレーションXだが、タックルの進化にも影響を受けている。
「2000年モデルが受け入れてもらえた要因の一つとして、リールのギア比が関わっていると思っています。当時のリールであれば、ハイギアモデルでも6 ・3ぐらいが一般的でした。そのリールによる巻きスピードに、当時のウルトラでも十分合致していたのでしょう。ところが、近年のリールはその頃よりも遥かにギア比があがっています」
昨今のリールでハイギアといえば7 ・1は当たり前。ひと巻きで1メートル近く巻き取るリールすら存在する。
「かつてのギア比のリールで気持ちよく使えていたルアーは、現代リールのスピード感に合わないことは多いんです。水流を受けすぎて、例えば泳ぎが破綻してしまう。その点、新しくなったバイブレーションXウルトラとスマトラは、現代リールのスピードでも安定して泳ぎ切ってくれます。加えて泳ぎ出しも抜群ですから、ストップ&ゴーや、ウィードカットなどレスポンシビリティを高めており、バイトチャンスを拡大しています」
メガバスの『普遍性』
ルアーの持つ、普遍的な魅力。
そこにたどり着くことができたのならバスという魚がこの世界に存在し続ける限り、そのルアーの釣獲力が衰えることは決してないだろう。しかしその普遍性は、決して永続的なものでもない。なぜならルアーを扱うタックルが、使い手であるアングラーが、進化を続けるからだ。
なればこそ、メガバスもまた進化の歩みを止めることはないだろう。
バイブレーションXのスペックに不満を感じていた人は決して多くはないはずだ。
それでも2024年、アップグレードを果たしたのだ。
それは時代が変わってもなお、変わらぬ釣果を出し続けたいという、メガバスの思いに他ならない。
そしてその姿勢こそが、37年を経過して今なお第一線を走り続けるメガバスの「普遍性」なのかもしれない。
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