バス釣り用タックルで83cmの巨大魚を釣り上げた!?「水に浸かってないと釣れない」折れずに投げ続けた結果

22024年の第8回目、シーズン2最終回の舞台となったのは秋の東京湾、テーマはボートゲームでのシーバス攻略。バンタムを始めとしたバスタックルに組み込むルアーは、奥田さんの武器として代表格であるビッグベイト&ジャイアントベイト。今回も“海でも凄いロボ奥田”をお楽しみいただくことにしよう。

●文:ルアマガプラス編集部

奥田学
おくだ・まなぶ/ビッグベイトやジャイアントベイト、そしてアンブレラリグなどストロングスタイルを主軸に、現場最大級のバスを仕留め続けるMr.バンタム。愛称は“ロボ奥田”。直立不動で精密機械の如く狙った獲物を確実に仕留めるのがその名の由来だ。当連載ではバスのみならず、淡水海水の大物ゲームに挑む氏のフリースタイルをお届けしている。

ビッグ&ジャイアントベイトで大型連発か!

シーズン2のラストトリップとなったのは、もはや当連載恒例とも言える秋の風物詩、東京湾ボートシーバスゲーム。

近年コノシロを追う大物シーバスを狙うべく、ビッグ&ジャイアントベイトを果敢に繰り出すスタイルはファンから熱い支持を受け連日の大盛況。奥田さんも約半年前から船宿に予約を入れ、この日を心待ちにしていたのだった。

奥田「コノシロがめっちゃおる! まるでコノシロ絨毯やわ! でも、いつもより今日はかなり水色がキレイやね」

魚探の画面上では一面に広がるコノシロの群れが確認できるばかりか、水面上から目視できるほどの濃い魚影。この群れを大物はどこかで虎視眈々と狙っているであろうことは明らか。単発のボイルも時折発生して、この日の状況は朝から上向きかに思えたのだった。

奥田「でも、単発のボイルは意外と釣りづらいんよ。完全にコノシロにシーバスの眼が向いとるもんで。バイトがあったとしても『カーン』て、ルアーと認識してアタックしてくるような感じになってまう」

敢えて仕掛けていくより、絶妙な間合いで万全な準備を整え、その時を待つ。現場で数々の経験値を積んできた奥田さんの言葉には実に深みがある。

奥田「それはショートバイトっていうか、シーバスがルアーをド突きに来てる感じやね。今日は水がキレイなこともあって、そういうことも多いんやないかなとは思う。大切なのはド突かれた後、どうアプロー
チするかなんよね」

朝は水面狙い、ペンシルベイトのアピール力で大物を吸い上げていく作戦。だが、出船から2時間半を経過してもなぜか全く反応がない…不穏な空気が流れる…。

取材協力

サニー・フィッシングガイドサービス

横浜市内を流れる運河から出船して、東京湾岸エリア全域で大型シーバスを狙えるガイド船がこちら。船長は、奥田さんと同じくシマノサポートのチームメイトでもある家田成大さん。今回も釣らせる船長とのタッグで、ボートゲームを満喫!

家田成大
いえだ・しげひろ/日々、東京湾のインショアゲームの楽しさを伝道するガイド船の船長にして、近海から遠征のルアーゲームまで精通する達人。左ページのコノシロペンシルなどを始めとした人気作の開発にも数多く携わる。

海上から見るベイエリアはアングラーの士気を高める

横浜市内から出船したボートは、まず鶴見つばさ橋周辺からゲームをスタート。

羽田空港沖では轟音と共に上空を駆け抜ける飛行機など、陸上と異なるアーバンな風景にテンショ
ンは上がる。ベイトフィッシュとなるコノシロも豊富…だが、なぜかバイトは遠い…。

次の扉を開けるのは経験値〝+α〟の要素

ローライト時、及び朝夕のタイミングはペンシルベイトなど水面系を多投。太陽が真上に登る頃にはレンジを下げ、水面下を探っていくのがこのゲームのセオリーだ。奥田さんは今回、4セットのタックルを駆使して東京湾に挑む。

奥田「いや、長かったねぇ! 何とか1本目! 群れで追ってくるんじゃなくて、単発で追ってきてペンシルをド突いてきた。それでもまだ追ってきていたもんで、ドッグウォークのスピードによるアクション変化で食わせた感じやね」。

出船から3時間が経過しようとした頃、ついに1本目がヒット!

1本目は小手調べの70センチ弱。コノシロペンシル185Fスライドチューンを追って一度アタックした後も追尾してきた個体に対して、ハイスピードのアクション変化でリアクションバイトを誘発。考える前に身体が動く。奥田さんの瞬時の判断が結果へと直結!

トゥイッチをスローからハイスピードへ変換した際に伴うアクション変化がシーバスのスイッチを入れた。いわばリアクションが奏功した形だ。

奥田「シーバスはこういうことがよくあるんよ。ルアーを追って来てもう食わないかなと思っても、スピード変化で食ったり、パッと止めて食ったり。そこはその時々次第で、こんな時はこうだとか言えんけど。ただ、ずっと同じアクションを続けていたら船べりまで付いて来るだけになってしまうし、そこまで長い距離を追ってくれることもなかなか少ないんよね」

ヒットルアー

エクスセンス コノシロペンシル185F スライドチューン(シマノ)

●全長:185ミリ●重量:7 8 グラム● タイプ:Floating●カラー:全6色●価格:3850円(税込み)

ドッグウォークはタイプで使い分け

奥田「元々コノシロペンシルというモデルがあって、コレは今春にファクトリーチューンモデルとして登場」。それがスライドチューン。「シーバスは水面をスケーティングするタイプをより好むイメージやね」。

アカメなどにも好実績のモデルだという。

コノシロペンシル185F [写真タップで拡大]

コノシロペンシル185Fスライドチューン [写真タップで拡大]

オリジナルはほぼ垂直浮きで短い移動距離でのアピール。スライドチューンは水平浮きで左右方向へやや長めのスライド幅で広範囲にアピール。いずれもスプラッシュダートを見せ、激しいラトルサウンドでバイトを誘発。アクションの差で当日の正解を探すのだ。

奥田さんは「絶対ではないよ」と前置きして、こう続けた。

奥田「中海などの山陰エリアでは超ハイスピードが主力の一方で、東京湾は1ピッチで刻むアクションが効果的なイメージがあるのは確か。でも、状況が厳しさを増した場合はそれだけじゃ太刀打ちできない。臨機応変に手数を繰り出すことが大切やね」

日本全国、そして世界を釣り歩いてきた賢人・ロボ奥田。

その言葉のひとつひとつに重みもある。

2日目は出船後の朝イチにスライドチューンが炸裂!

奥田「クイックな操作にもハイレスポンスなのが強み。複数本が奪い合って激しいバイトだったね」

好調な滑り出し。

奥田「でもサ、俺は朝イチに釣れると、その後苦戦するっていうジンクスが…」。

まさかの…。

思い通りの劇的展開がアングラーを絶頂へと

奥田「AJ(=アーマジョイントの略称)だからこそ獲れた1本やね!たまらん!最高に気持ちがいい1本やー!」

2日間に渡って行われた今回の東京湾ボートシーバス釣行。初日のラストで見せ場を作ったのがこの1本だ。それはブレイクラインをドテラ流しで撃っていた時、遠目の水面にボイルらしき様子が見えた時のことだった。

奥田さんは瞬時にアーマジョイント280SFがセットされたバンタム174XXH-SB/2に持ち替えるや、遥か彼方へロングショットを決める。そしてハイスピードでのリーリングへ。

「グリグリグリ・ピタ、グリグリグリ・ピタ…の2回目のハイスピード中に食ってきた。捕食のスイッチが完全に入っとる激しい食い方やったワ! ぶっ飛んで、キャスト精度が抜群に高いAJだからこそ、確実にチャンスをモノにできたと思う!」

アーマジョイントには、従来のジョイントベイトの泣き所を完全払拭したアーマブースト機構を搭載。飛行時はボディを折り畳んで狙いのスポットへ一直線、かつ超遠投性能を発揮。着水してからはフレキシブルなジョイント部が実に艶かしい蛇行アクションを見せて誘い、触れるだけのバイトだとしてもより確実なフッキング性能へと繋げてくれる。

ヒットルアー

バンタム アーマジョイント280SFアーマーブースト(シマノ)

より正確に、より飛び、より泳ぎより掛ける。その名の愛称「AJ」

当連載のバス釣行では出番の多いビッグベイト・アーマジョイント190SFのアップサイズver.が280SF。より大型フォルムで優れた集魚力を秘めたジャイアントベイトが今回の見せ場を作った。安定した飛行姿勢は十二分な遠投性能を発揮して、内臓ウエイトをあえて非固定としたことにより首振りを再現しやすく、強過ぎないサウンドがバイトを誘発する。

空気抵抗の強いジョイントベイトは不安定な飛行姿勢で時に狙いの方向へのキャストが定まらずスライスしがち。シマノ独自のアーマブースト機構により、遠投性能を身に付けると共に艶かしいアクションも両立した。

遠投性能の要となるのが、この飛行姿勢。ボディを折り畳んで空気抵抗を強く受けず、狙いのスポッ
トへの直行も自在だ。

奥田「ヨシ、気持ちいいところで今日は終わろうか。この後もダラダラやって釣れずに終わるより、ここでスパッと終えて明日への英気を養おう。釣りってメンタルも大切やからね。明日はもっとでかいのを狙うよ!」

初日は計4本の70UPを捕獲。コノシロペンシル、アーマジョイントで各1本、残りの2本は奥田さんが「もはやエサ」と呼ぶあのルアーで捕獲したのだった。

折れずに投げ続ける集中力MAXのままに

奥田「サイコーや!1ピッチのグライド、基本アクションで一発!まさに〝エサラプター〟やね!」

2日目は朝イチにコノシロペンシルで1本を仕留めるも、長らくの沈黙が続いた。初日のようにコノシロの群れに出会うこともごく稀で、横浜から木更津、羽田からスカイツリーが見えるエリア、そして最後の最後に起死回生の1本を仕留めたのが浦安エリアだった。

奥田「東京湾をグルリと一周して、最後はディズニーが見えるエリア。いやー、厳しかったね、ホント」

奥田さんが冒頭の通りの愛称で呼ぶのが、バンタムブランド珠玉のグライドベイト・Btスラプター。初日も複数本を仕留めた好実績に続き、この日も大活躍を見せた。

バンタム Btスラプター

●全長:182ミリ●重量:5 8 グラム● タイプ:Floating●カラー:全8色●価格:3993円(税込み)

一定速の1ピッチアクションでは左右へグライド軌道を見せ、ジャーク一発か巻きスピードの高速化で瞬時に急浮上アクションへと変換。フローティング設定ながらベリーにはウエイトホルダーを装備して、ネイルシンカーを装填することでスローフローティングからスローシンキングまでの調整が可能だ。

体高のあるボディは東京湾における秋の風物詩的ベイトフィッシュ、コノシロに近似。時に、このフォルムの差がバイトの差にも繋ぐ。

Btスラプターは、近年注目を浴びているグライドベイトの有効性にいち早く着目して、奥田さんが開発したバンタムビッグベイトのひとつで2019年のリリース作品。バス界のみならず、シーバス界でも着実に釣れ筋としての認知度を高めている。初日2本の70アップ、2日目には何と!

山陰エリアを始めとする西日本では既に定番のルアーだが、東京湾では奥田さんの昨季釣行で魅せた快進撃により愛好者が増殖中の隠れた凄腕モデルだ。

奥田「ペンシルだけで楽しむのもいい。アーマジョイントだけでもいい。それでも獲れる魚はいると思う。ただ今回みたいな厳しい状況では、いろんなタイプやサイズ、レンジを駆使してこそ辿り着ける答えもあるってことなんだよね。シーズン2を締め括るには最高の1本じゃない?」

「1ピッチリーリングによる左右への基本アクションでグライド」。朝イチに1本を仕留めた後、長らく無の時間が続いた2日目。Btスラプターの威力に加え、奥田さんの絶対に諦めない気力がジャイアントシーバスを呼び込んだのだ。

実測83センチ。

昨季のシーズン1では釣果の数こそ多かったものの最大は82センチで、今季は当連載内での記録を更新。いつしかメーター級も射程内だろう。

奥田「ビッグベイト&ジャイアントベイトの釣りってサ、どんなにつらくても投げ続けること、やり続けることが大切。当たり前のことなんだけど、ルアーが水に入ってなければ魚が食うわけがない」

言い得て妙。それが釣りの真理。

奥田「ダレてくるとサ、キャストのコントロールも疎かになりがち。でも、そこは絶対に崩さない。せっかく投げても雑やったら意味がない。全てをキッチリやらんとね」。

賢人・ロボ奥田、かく語りき。
来シーズンもお楽しみに!

奥田学使用タックル

写真左から

[Btスラプター用]
●ロッド:バンタム1711MH+-SB/2●リール:バンタムXG+夢屋ウルトラストロングハンドル48ミリ
●ライン+リーダー:アバニ キャステイングPE SMP4号+ショックリーダーナイロン40ポンド(バリバス)
[アーマジョイント280SF用]
●ロッド:バンタム174XXH-SB/2●リール:カルカッタコンクエストMD300XGLH●ライン:アバニ キャステイングPE SMP5号+ショックリーダーナイロン50ポンド(バリバス)
[コノシロペンシル用]
●ロッド:ディスラプション ビッグベイトC610-XX●リール:アンタレスDC MD XG●ライン:アバニ キャステイングPE SMP4号+ショックリーダーナイロン40ポンド(バリバス)
[アーマジョイント280SF用]
●ロッド:ディスラプション ビッグベイトC78-XXXX●リール:カルカッタコンクエストMD300XGLH
●ライン:アバニ キャステイングPE SMP5号+ショックリーダーナイロン50ポンド(バリバス)
*指定外は全てシマノ製品

今回の様子を動画でもチェック!


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