十人十色のギルルアー使いこなしマニュアル/濱田禎二

不思議な魔力を持ったブルーギルを模したルアーたち。ここではギルルアーの使い手である10人のアングラーに、各々がプロデュースしたモデル、得意とする使い方を紹介してもらった。あなたも目指せ、ギルルアーマスター。

●文:ルアマガプラス編集部

100人いれば100通りの動きになる、それがゾーイ

左右非対称ボディが生む唯一無二の生物感

濱田さんは本物の魚の型を取ってルアーにするプロダクトをいろいろ研究しており、なかでも特にバスの反応がよかったのがブルーギルタイプだった。

「いろいろテストしていくうちに、もっとも反応がよかったのが、リップ付きでもS字でもなく、i字系でした。ただのi字では見切られるので、魚の興味を引かせるルアーっぽさとしてスカートやブレードを装着したんです。横から食われることが多かったので、フックはサイドに装着しました」

実はゾーイのボディは左右対称になっていないという。

「微妙にボディが曲がっているんです。これにより、トゥイッチやジャークしたときに、左右どちらかに飛んでくれるんです。左右対称に調整することもできるんですが、そうすると動きが直線的になりすぎてしまうんですよね」

発売後は多くのプロにも愛用され、口コミで人気が広がっていった。そしてゾーイもいろいろな形に派生していく。ゾーイシリーズの釣れっぷりはいまだ健在だ。

「魚から形を取っているので、バスから見てもリアルなのは間違いないはず。止めておいても、そのシルエットだけでバスに違和感なくアピールできているんだと思います。そして、使う人に合わせて100人いれば100通りの動きのルアーになるのがゾーイ。それがスレずに長く釣れ続けている理由だと思います」

ゾーイ[T.H.タックル]
多くのトッププロが認める圧倒的集魚力
本物のブルーギルを型取りしたボディに、テールにはラバー、サイドにフック、そしてブレードを装着。トッププロがシークレットルアーとして使い始め、口コミでその性能が広まり、i字引きで使うギルルアーとして定番化していった。

[使用タックル]
●ロッド:フルレンジC65MH/G(テイルウォーク)
●リール:SLX DC70HG(シマノ)
●ライン:レッドスプール14lb(ジャッカル)

基本はデッドスローのi字引き、放置も秀逸
ゾーイの基本的な使い方はスローなi字引き。その圧倒的な集魚力で、どこからともなくバスが集まってくる。バスがチェイスしてきたら、そのまま食うか、食わなければワントゥイッチで食わせる。バスの回遊ルートでのボトム放置も効果的な技だ。

ゾーイバーバリー[T.H.タックル]
ディープでも使えるミドスト専用ゾーイ
ディープエリアでもゾーイを引けるように改良したのがゾーイバーバリー。シンカーを重くしていけば任意の水深で使うことができ、10m以上のディープまでカバーする。ディープでも水平姿勢をキープし、左右のラバーによりふわふわとシェイクしてもよく釣れる。

ジョイントゾーイ[T.H.タックル]
連結にすることでトゥイッチ&ジャークがより強化
ゾーイの持つトゥイッチ・ジャーク時の動きをより強調させたモデル。S字のためのジョイントではなく、食わせの動きを滑らかにするための構造。ゾーイとは異なるアクションで仕掛ける進化版だ。

タイニーゾーイ[T.H.タックル]
稚ギルパターンで使える横浮きギル型スイッシャー
水面で横浮きになるギル型スイッシャー。ゆっくり巻いたり、ジャークでジョボっと潜らせて浮上からのステイも効果的。稚ギルが浮いていたり、ギルが水面の虫などを捕食しているときに使いたいモデル。

ゾーイプリテンダー[T.H.タックル]
水面では横浮き、巻けば縦姿勢でスイミング
水面では横浮き、リトリーブするとリップで水を受けて正体して縦泳ぎになる。体力を失ったギルが水面で横たわり、力を振り絞って泳ぐようなイメージで使えるルアー。基本アクションはストップ&ゴーで。フックは左右どちらでも装着できるようになっている。

ゾーイトップブレード[T.H.タックル]
ブレードが唯一無二の波動を生むギル型トップ
水面横浮きのチャターブレード搭載モデル。ブレードの振動がボディに伝わり、細かく震えながら表層を泳いでくる。クローラーベイトのようなイメージで、ブレードの金属音や水を切る波動がバスを惹きつける。

もっと釣りたい、誰よりも釣りたい、そんな濱田さんの釣り人としての純粋な思いが、ルアー製作のインスピレーションになっている。

profile

濱田禎二(はまだ・ていじ)
T.H.タックル代表。ゾーイをはじめオリジナリティあふれるルアーを開発。そのルアーは多くのトッププロに愛用されている。自身もトーナメントに出ることで『釣れるルアー』開発の活力になっている。


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