ハードベイトオンリーで戦い抜くオープントーナメント H-1グランプリ

使えるルアーはハードベイトオンリーの釣り大会、H-1グランプリ。参加者は一般アングラーがほとんどだが、そのレベルは年々上がってきており、各々がハードベイト使いこなし、練りに練った戦略で挑んでいる。ここでは2024シーズン第2戦・新利根川の上位のパターンに注目して紹介する。

●文:ルアマガプラス編集部

H-1グランプリとは?

関東をメインにレンタルボートフィールドをトレイル
H-1グランプリは2011年に発足した、誰でも参加可能なオープントーナメント。大きな特徴は、使えるルアーがハードベイト(スピナーベイト、バズベイトなども含む)に限られること。1年に5〜6戦、関東のレンタルボートフィールドをメインに開催。年間優勝者にはアメリカ釣行権が与えられる。

大会オーガナイザー

鈴木美津男
H-1グランプリ総合プロデューサー。バスフィッシングの面白さ、奥深さを伝えるためにH-1グランプリを発足。2011年、震災に見舞われて自粛ムードだった業界を盛り上げる意味もあった。

2024年6月23日(日)
シーズン第2戦 新利根川(茨城県)

晴天が続いたなかでの大会当日は大雨予報。マッディシャローの新利根川はクランクベイトやスピナーベイトなどが効きやすいフィールド。プラクティスでは厳しい釣果も聞かれたが、ハードベイトならではのゲーム展開に期待が膨らんだ。

優勝は3投で3kg 圧巻のスピナーベイティング

24シーズン第2戦の舞台は霞ヶ浦水系の新利根川。マッディシャローフィールドなのでハードベイトが活躍しやすく、大会が行われるフィールドの中ではウエイイン率も高めだ。試合数日前に梅雨入りし、当日は朝から冷たい雨が降り、昼前には土砂降りに。川には濁りも入っており、流れも発生するという、味方につければハードベイトでビッグウエイトが出そうな雰囲気だ。

参加者は満員御礼の107名。ウエインは33名で、複数尾釣ったのが6名で、3尾のリミットを揃えたのが3名という結果に。キロアップは8尾検量された。

ヒットルアーはこの水系のセオリーであるタイニークランクやスピナーベイトをメインに、バズベイトなどのトップウォーターでも釣果が見られた。とくに上位陣はスピナーベイトの釣果が目立ったのが興味深い。 

優勝はハンドメイドクランクを手掛ける『MPBルアーズ』代表の櫻井亮さん。クランクベイトでノンキー~500gクラスを複数キャッチしたもの、「今日はクランクではサイズが出ない」と判断。得意のクランクベイトを封印し、スピナーベイティングに切り替え、1,670gの今大会ビッグフィッシュを含む3尾を持ち込んだ。この3尾は3投連続、狭いストレッチからわずか5分で釣り上げたという。櫻井亮さんの独特の嗅覚が冴え渡る、圧巻のゲーム展開であった。

この日の参加人数は107名。大雨の影響で急激に入った濁りと発生した流れ、そして水温低下にいかにアジャストできるかが勝負を分けることになりそうだ。

1位 櫻井 亮さん ■3,130g/3尾(ビッグフィッシュ1,670g

濁り&水温低下に対応しスカートとブレードをカスタム

Hit Lure
旧クリスタルS 3/8oz(ノリーズ)
スカートは柔らかいソリッドホワイトに、フロントブレードはピンクの蛍光色に塗装。プラクティスで状況を判断し、前日にカスタムしたという。アイの部分はワイヤーが開かないようにゴムで固定。

時を捉えて5分間で引き出したこの日のMAXウエイト

エリアは大会最上流域。この時期によくバスに食われているタナゴを探し、土嚢が入っている十数mの狭いスポットにエリアを絞り込んだ。旧クリスタルS 3/8ozを土嚢ギリギリに入れ、巻き落とすのではなく、ピンクのブレードが見えるくらいのレンジを引いて食い上げさせるようにするのがコツだった。狭いストレッチだったので、岸と並行ではなく直角に引いて、ポイントを潰さないようにルアーを入れていった。
「キッカーブレードはバスに視認させるためです。濁り・水温低下したときにアメリカのプロがよくやるチューンですね」
11時過ぎに一瞬晴れ間が見えた、わずかなタイミングで3投連続の連発撃だった。

2位 磯崎 靖さん ■2,710g/3尾

Hit Lure
ビーブル3/8oz(ボトムアップ)
プラでブレードバイトやミスバイトが多かったので、トレーラーフックをセットし、ロッドは吸い込ませやすいグラスコンポジットを使用。

Hit Lure
タイニーブリッツDR(O.S.P)
10時半ころまでノーバイトだったが、200gクラスを2尾キャッチしリズムを取り戻す。エリアは上流域のバイト屋周辺の沈み物。

弱い食い込みに対応するためスピナベでもグラスコンポジット

エリアは上流域。沈み物にタイニーブリッツDRを当てて2尾キャッチ。枯れたミズヒマワリにビーブル3/8ozを入れて1,200gをキャッチ。続けて4尾目もキャッチし、これはブレイクで食い上げてきた。ロッドはWSC-GC66Mグラスコンポジット。
「ロッドのおかげか、フロントフックにがっつり掛かってましたね」

3位 齋藤 誠さん ■1,830g/2尾

クラッチMR(ラッキークラフト)
ただ巻くのではなくトゥイッチしながらトレース。ライン絡みを減らすため、フロントフックはあえて1本折ってある。

旧クリスタルS 1/2oz(ノリーズ)
1,300gのキッカー以外にも、ピックアップバイトなどもあった。キャットフィッシュを釣り、ワイヤーが曲がりスカートも取れてしまった。

流れを意識したポイント選びでキッカーをキャッチ

流れの効くアウトサイドベンドを中心に展開。水門周辺でクラッチMRをトゥイッチしながら巻き、530gをキャッチ。水中のクイを掠めるように旧クリスタルS 1/2ozを引いて1,300gを釣り上げた。この日、クリスタルSで複数回バイトを取っている。

4位 佐々木 徹さん ■1,530g/3尾

Hit Lure
旧クリスタルS 3/8oz(ノリーズ)
濁っていた水に合わせて、スカート・ブレードともにゴールドベースをチョイス。

H-1年間優勝経験をもつバサー編集長が4位に

プラクティスでは2日間ノーフィッシュ。当日はバドやバズベイト、スピナーベイトで挑んだ。マット際に旧クリスタルS 3/8ozを入れて1尾目をキャッチし、これを手掛かりにやりきりリミットメイク達成。
「詳しくはバサーでみっちり語ります!」

5位 加藤裕司さん ■1,180g/1尾

Hit Lure
ステルスペッパー110S(ティムコ)
アシのポケットに入れて、リール数巻きで食わせるというパターン。2バイト1キャッチで、同じくらいのサイズをバラしている。

エビボイルにマッチさせるためのシンキングスイッシャー

エリアは洲ノ野原の稲敷大橋周辺。プラでエビボイルを発見しており、1日ここに費やした。「今日もスジエビが跳ねており、そこに入れて引いたらドカンと食いました」。どしゃ降りのタイミングだったが、釣れたスポットはアシが倒れてオーバーハングになり雨が水面に落ちていなかった。

RESULT

107名のうちウェインは33名、3尾のリミットを釣ってきたのは3名という結果に。優勝の櫻井亮さんは合計3kgオーバーを持ち込み、見事優勝を果たした。

順位名前尾数
1櫻井 亮3,1303
2磯崎 靖2,7103
3齋藤 誠1,8302
4佐々木 徹1,5303
5加藤裕司1,1801
6髙木伸一1,1001
7袴田 航11
8大津清彰1,0402
9佐伯和哉1,0001
10横山俊文9701
※上位10名

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