「ジャンルが全然違うよね」「でも実はスゴい威力…」意外すぎる視点でルアーを選ぶと釣りが大きく変わる!「逆にシーバスルアーの素晴らしさもわかる」

九州のシーバスで活躍するアングラー、通称「左岸の岡本」さん。総合釣り具メーカーのDAIWAの営業スタッフを勤めるかたわら足繁くフィールドへ通い、ランカーシーバスを追い求める。そんなシーバスエキスパートによる連載コラム[DAIWA岡本隆治の極鱸道]。今回は、ユニークな視点でのルアー選びを解説。

●写真/文:岡本隆治(DAIWA)

いろんなジャンルを試してたどり着いたルアー選択

ルアマガ読者の皆様、明けましておめでとうございます。ダイワ営業の岡本です。今年もよろしくお願い致します! 今回の記事はシーバスでもオススメの他ジャンルのルアーについて書こうと思います。

私が営業巡回の度に買うルアーの半数は、実はシーバス以外のルアーです。恐らく、シーバスアングラーの中では、色々なルアーを試した部類だと思いますので、今回の記事のテーマにしました。

他ジャンルのルアーを使うメリットは?

もちろんシーバスルアーはシーバス専用に開発され、シーバスを釣る上で非常に理にかなっていて、よく釣れるのですが、あえて他ジャンルを使うメリットってあるのでしょうか。

①釣りの幅が広がる
例えばバスフィッシングはワーム一つとっても、ジグヘッドリグ、ワッキーリグ、テキサスリグ等々、日々リグが開発され、何通りものリグで使用します。プラグにしても、フォルムやアクションタイプが多彩です。

私は元々バスフィッシング出身なのですが、シーバス釣りは、ルアーの商品数は多いですが、分類としてのルアータイプが少ないことに驚きました。

しかし、シーバス釣りを少しずつ学んでいくと、その理由がわかりました。 シーバスは基本的にカレント(流水)の中でゲームを構築し、ルアーの対カレント性能が秀でている事が絶対条件であるため、それを満たすと、ルアーのアクションやタイプが制限されてくるからでした。

例えばショアラインシャイナーZバーティスRはシーバスルアーの中でも、特にシーバスルアーらしいルアー。飛距離やカレント対応能力が高い。

とはいえ、シーバスは、激流だけではなく、鈍流や止水が時合いになることも多々あります。そういった時、他ジャンルのルアーを手駒にしていると、釣りの幅が広がり、取り切れなかった魚を釣ることにも繋がります。

②他の人に釣れない魚を釣ることが出来る
フィッシュイーターは学習能力があり、釣り人に狙われていく中で、確実にルアーを覚えていきます。特に居付きの魚を相手にとると、1年前通用した釣りが似た状況でも通用しにくくなる。時には1週間間に通用した釣りも通用しなくなる、といったことは多々あります。

もちろん魚がスレただけでなく、状況が変化しパターンが変わっているということも考えられますが、居付きの見えシーバス等を相手にしていたりすると、前回釣行で食わせたルアーを如実に嫌がるのがわかることもあります。

一世を風靡したアマゾンペンシルも元はバスルアー。ってか今江克隆さんがピーコックバス狙いのアマゾン遠征用に作ったルアーですからね。

……ということは、魚に対して新しいアプローチが出来れば、周りの釣り人や過去の自分に叩かれた魚も釣れる可能性が出てくるということです。 なので、他人と差をつけるためにはジャンルレスでルアーを選んだ方が得であると考えます。

では、さっそく、ジャンルレス、更にはメーカーもお構い無しにオススメルアーを紹介しようと思います!(我ながら、とんでもない営業マンだな…)

クランクベイト

クランクベイトこそ、先程書いた、カレント対応能力が無いという理由でシーバスに導入されないルアーの最たる例です。

クランクベイトといえば、フグの様に膨れたボディーが特徴で、大量の気室があるため、超高浮力で、また、そのボディーを動かすために基本的には大きめのリップが着き、ブリブリと強烈なアクションを産むバスルアーです。

太い+激しい動き+水を掴む大きなリップ

ものによっては下流に投げて巻けば、並みのシーバスが掛かった状態よりもロッドは曲げ込まれます。カレント対応能力は最低と言えます。しかし、その強烈なアクションは他のシーバスルアーに無く、ニュートラルなシーバスを一撃で喰わせる力を持っています。

学生の時はこのバグリー君が大好きバサーでした。

対シーバス オススメ クランクベイト

ピーナッツSR[DAIWA]
コチラはダイワが誇る、いや、バス業界が誇る永遠の名作クランク。可愛いルックスにラウンド系クランクベイトの基本が詰まっている・・・そんなルアーです。 安価ですので、初ジャンル挑戦にはピッタリです!

T-bait FAT[Skillful]
これは福岡のルアービルダー岡本さん、同じ名前の岡本さん(笑)のメーカー、スキルフル様のフラットサイドクランクなのです。発泡樹脂素材で、ハンドメイドクランクとしては比較的安価でありながら、発泡樹脂特有の超高浮力で、しかもフラットサイドなのにロールメインでなく、ビリビリっと超強烈なハイピッチウォブンロールを演出。

ともかく、なんかめっちゃヤバいクランクです(笑)。スレっ枯らしの見えシーバスが夢中でバイトしてくる光景を何度も見ています(多分今は入手困難ですが…)。

ハドルテール系ルアー

コチラは、ブラックバスやパイク等、アメリカやヨーロッパで主流となっているスイムベイトです。ここ数年、バスのサイトフィッシングでも一世を風靡しております。ハドルテール系ルアーについてはこれまでいくつかの記事で既に書いているのですが、シャッドテールと違いロールを含まず、左右へのテールスイングを行い、基本的にはボディーはほぼI字の超ナチュラルルアーです。

魚って、捕食や逃避等の瞬間はひるがえってロールの様な動きをすることがありますが、基本的に普通にゆっくり泳いでいる時にロールしませんよね。まさに泳ぐ魚そのままのナチュラルルアー。シビアな厳冬期等は本当に重宝します。

一方で、現状販売されているこの手のルアーの多くは、流れの中でのコントロールが難しかったり、横から流れを受けると少し斜めを向いてしまったりと、シーバスで通常時に満足して使える物が無いのが残念なところ…。集魚力は薄いのでかなり使い手を選ぶルアーでもあります。

対シーバス オススメ ハドルテール系ルアー

ハドルトラウト[ハドルストン]
ハドルテールの産みの親のような存在。もはや本物の魚です。横からの流れにはちょっと弱いな…。

他社さんルアーは中々口元写真を撮らないので写真が無くてすみません。

ヴェイロン[ジャッカル]
こちらは本家ハドルトラウトより、適度な比重があって、ソルトでも使いやすいと感じました。東京湾の激戦区で私がずっと愛していたルアーです。ちなみに…なんでか巨大なアリゲーターガーも釣獲しております。 中古屋さんで見つけたら必ず確保します(笑)!

150㎝のアリゲーターガー…(笑)。もちろんシーバスも沢山釣ってます!

フラッグ

コレだけ、ジャンルでなくルアー名(笑)。グローデザインワークス様が作り上げた最強のスイムベイト。スイムベイトの常識を壊したスライド系スイムベイトです。

スローではS字を描き、早巻きをすると、まさに旗のように靡くようなアクションをし、更にはデッドスローでは揺らぐ程度のI字になる。流水対応能力も非常に高く、私の永遠の一軍ルアーです。これまで、かなりの数のシーバス、ランカーシーバス、更にはアカメ等もキャッチしております(このルアーも、入手は困難ですが…)。

オススメルアー

フラッグ170/フラッグ255[グローデザインワークス]

このルアーは…反則です(笑)。

アンブレラリグ

これぞバスフィッシング。大量のワームをワイヤーで繋げ魚群を演出するという凄まじいリグです。因みにこのリグが生まれたアメリカのバストーナメントでは、あまりの破壊力にアンブレラリグの使用自体が禁止になるレベルの釣獲力を誇ります。

シーバスにこれが……効かんワケありません。ちなみに、最初はシャッドテールワームをいくつか付けて巻くだけの釣りが主流でしたが、ダイワのバスプロの佐々木勝也さんが、アラバマをストする(ロッドで上下に揺らす)いわゆる「バマスト」を発明し、現在は、シャッドテールワームの使用も少なくなり、ミドスト・ホバストセッティングのワームを大量に付けた物をストするのが主流になっています。

細かいミドストセッティングのアンブレラリグはもはや漁具レベルです(笑)。

やっている人はめちゃくちゃ少ないですが、シーバスでも同じです(笑)。バマストの破壊力たるや…。

対シーバス オススメ アンブレラリグ

ワイヤー:ステルスセブン[ジークラック]+ ワーム:スティーズ スターリングフィッシュ[DAIWA]
2枚入っていることで、ワームフックを付けても反射板がつぶれることが無い、優れものです!

スティーズ スターリングフィッシュ[DAIWA]

スターリングシャッド[DAIWA]
シャッドテールで集魚力を上げる場合は全てシャッドテールで!

スターリングシャッド[DAIWA]

ハドルスイマー エラストマー[イマカツ]
バマストと言えば…なワーム。シーバスでもすごいです。

ハドルスイマー エラストマー[イマカツ]

フラッグ[グローデザインワークス]
フラッグをアラバマの芯に……ちょっとマニアックな方向けです。

芯に大きいルアーを付けると芯へのフッキング率が上がります。

ダイビングペンシル

ダイペン=ダイビングペンシル。青物を対象としたトップウォータールアーですが、シーバスルアーにはあまりない「ダイブ&スラローム➡浮上」という大味な釣りを行うルアー。現状、シーバスのトップルアーというと、モンスタースライダー等のように、規則的なドッグウォーク系が覇権を握る市場となっていますが…。

富山に居た頃、コノシロトップゲームを行う中で、あることに気づきました。最初、アマゾンペンシル[エバーグリーンインターナショナル]やメガドッグ[メガバス]等、ドッグウォーク+飛沫系が非常に魚の反応良く、その後その動きにスレて来るとモンスタースライダーのような水平浮きの規則的なドッグウォークにパターンが移り変わります。

さらにそれにもスレてきたか…というタイミングで、ダイペンのダイブ&浮上アクションがハマる、というケースが非常に多かったのです。

フックをシーバスに合わせ細軸に変え、ウェイトチューンが必要になりますが、コノシロトップの釣りで困ったときに導入はアリかと思います。当時はメーカー名もわからないダイペンを使っていたのでコレと言ったオススメはありません…。

が、今年ダイワから出る瀬川さん監修の「ダイブスター160」を楽しみにしております(笑)。

釣りがマンネリになってきたときのアクセント

さて、見事に営業失格…いや、ダイワ社員失格な記事になってきましたが…。当連載では、書きたいことを書かせて頂こうと思っているので、こんな内容になってしまいました。

今回紹介していない物でも「スピナーベイトが良く釣れる」「バズベイトが良く釣れる」等、色んな話を聞きますので、気になるアイテムは先入観無く試せば、新しい釣りに出会えるかもしれません!

個人的に釣りの楽しみ方にボーダーを引くのは勿体ないと思いますし、少しマンネリして飽きてきた方なんかは、良いアクセントになるかもしれません。他ジャンルのルアーを使えば、そのルアーの凄さがわかるだけでなく、逆にシーバスルアーの素晴らしさが改めてわかり、新たな使い方に気づくことも出来ます。

面白いルアーを試した方は是非報告をお願い致します! それでは2025年も最高の釣りをしていきましょう!

最後まで読んで下さり、ありがとうございました。


※本記事は”ルアーマガジンソルト”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。