知る人ぞ知るハンドポワードスイムベイト「イービルシャッド」はなぜ生まれたのか?どんな特徴を持つのか?どう使えばいいのか?生みの親である河村亘真さんが解説してくれた。
●文:ルアマガプラス編集部
出ればでかい!ホームラン狙いの釣り
まず、冬にスイムベイトを使う強みはどこにあるのだろうか。
河村「低水温期でもバスは絶対にエサを食べます。ただ、食べる回数は減るので、栄養価が高い大きいエサを1度で仕留めにかかる大きなバスが存在する。スイムベイトはそういう魚を狙うルアーです。一
方、冬に小さいエサを食べている個体もいます。ただ、それは僕が釣って気持ちいいと思うブリンブ
リンの太い魚ではない。僕は違う『種族』や『個性』の魚っていう表現をするんですけど。スイムベ
イトの釣りはアタリは少ないけど出ればでかい、ホームラン狙いの釣りです」
では次に、スイムベイトではどのような場所を狙えばよいのか。
河村「12月以降だったら風おもて。風が当たる面の風裏を見つけます。具体的には大きめの石や杭、木の枝などの裏です。僕はコースを変えて2〜3回通しています。右目が悪くて右目側を通すと騙しやすいとかあるんですよ。バスの個性や特徴って1匹ずつ違うので」
寒い冬の風おもてはバスが嫌がらないのだろうか。
河村「冬でも風はあったほうがいい。寒さを嫌う越冬系のバスは風おもてから排除されるからです。そこには寒さを気にせず『とにかくエサを食べたい!』っていう変態バスだけがいる。僕もそういう個性をもったバスしか狙っていない(笑)。ベイトフィッシュ(小魚)の存在は必須なので、必ず目視で確認します。エサがいるからこそシャローに上がってくるので。あとは流れが当たっていることも大切です。
岬などの張り出した地形、インレット(流れ込み)、カーブしているエリアのアウトサイドなどです」
河村さんが開発したイービルシャッドには、どんな特徴があるのだろうか。
河村「五三川や大江川のように水深が浅いところの中層をゆっくり巻きたかった。ボトムまで20〜30cmしかない中層ですよ。既存のスイムベイトでそのレンジを引こうとするとスピードを上げないと沈んでしまうので、冬のバスは追いつけないんです。冬のバスはベイトフィッシュを確実に仕留めるために弱った個体を狙うので、イービルシャッドならデッドスロー巻きで無防備な弱った魚を演出できます。その動きが出せるボディ素材の比重にかなりこだわりました」
イービルシャッド(ファイナルウェポン)
冬のシャローに差すフィーディングフィッシュを獲る最終兵器
超デッドスロー巻きとジャーク性能を追求して作られたスイムベイト。本物の魚に近い比重の素材を使ってハンドポワードで製作。
河村「基本はショートキャスト。5メートルくらいの範囲での勝負になります。目視した沈み物などのカバーのキワをタイトに通す釣りなので」。
ちなみにイービル(evil)は「邪悪」という意味で「ジャーク」に掛けている。
イービルトピード(ファイナルウェポン)
イービルシャッドを援護射撃する第2の最終兵器
イービルシャッドの遺伝子を受け継ぐペラ付きi字系スイムベイト。河村さんは最初のフィールドテストでいきなり五三川の56cm2850gをキャッチ。
河村「ペラが出す音ってボラの群れがカチャカチャ音を立てながらもじっている音に似ているんですよね」
流れなどで傾いた姿勢が元に戻る瞬間がバイトトリガーになるという。ちなみにトピードは「魚雷」の意。
河村「実際に持ってみると本物の魚の重量感に近いです。軟らかいので食われたときは折り畳まれて、外掛かりせず丸飲みになります。ストローでゼリーを吸おうとすると、ある程度の力で吸った段階でスポッと口に入るじゃないですか。あんな感じで吸い込まれます(笑)。バスって、自分が入れないような浅いところにベイトが溜まっているとめっちゃ興奮するんですよ。その一段深いところで待ち構えている。だから、あえてその20cmとか激浅のところにイービルを投げて、バスが待機している深みに向かってデッドスロー&一定レンジで引いて食い上げさせる。この釣りは引くレンジを変えるのはNGです。泳ぐレンジが変わってしまうのはルアー(偽物)なんです。一定レンジを引き続けることで本物の魚を演出する」
ジャーク性能もイービルシャッドの特徴のひとつだという。
河村「イービルはシャッドテール形状のスイムベイトなのにジャークできるんです。ジャークで首を振らせて、護岸のえぐれとかにルアーを入れたかった。そのためのテール形状と軟らかさにこだわって作ってあります。ジャークとデッドスロー性能の両立が難しくて、プロトも100個以上作ってテストしました」
最後にタックルの注意点は?
河村「絶対にナイロンラインを使ってください。フロロは重たいのでデッドスローで巻いていると下に引っ張られてしまいます。ナイロンの浮力を生かすため16lb、できれば20lbを使ってほしいで
す」
使用タックル
●ロッド:M+~MHパワー6.9~7.3ftのベイトロッド
●リール:お好みのギア比
●ライン:ナイロンライン16~20lb
食い気が上がり始めたときのマル秘カスタム!
河村「バスの食い気が上がる2月以降の早春はボーンラトラーM(ZAPPU)を縦に挿入します。横ではなく縦に刺すと泳いでいるときは音が鳴らないんですが、バスが食った瞬間にカチッと音が鳴る。それがベイトフィッシュの背骨が折れる音に似ていてバイトが深くなると思っています。あ、読者さん引いてません?(笑)」。
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