「あくまで仮説だけど…」金属パーツが採用されると釣れるってどういうこと?「この人の解説はさすがだね」

H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回は、金属リップがバスを呼ぶメタルリップクランクの有効性を2025年注目の新製品とあわせて解説してくれた。

●写真/文:大津清彰(ティムコ)

水中の羽根モノ? 古くからあるメタルリップクランクの威力とは?

近年、シェイク巻きなどでメタルリップクランクが効果的なことは広く知られています。 

ルアーの歴史を振り返ってみても様々なメタルリップクランクが存在していますが、私が数多くのメタルリップクランクを試した結果、一軍として使っているは3つあります。ただ、これだけではメタルリップの威力が存分に発揮されていないと感じて作ったのがクランキーダーター200Aです

クランキーダーター200A(ティムコ)

まずは私の一軍メタルリップクランクを紹介し、なぜクランキーダーター200Aを作ったかを紐解いていきましょう。

タックルハウス チビリコクランク(メタル)

チビリコクランク(タックルハウス)

約40年前に販売されていたタックルハウス社のクランクベイトです。

サイズは2種類あり、リップはメタルモデルとポリカーボネートモデルがありました。 

浮力が高く、しかもリップの角度的に潜らないため、表層を引くメタルリップとしては2サイズとも最高傑作。 近年流行りのシェイク巻きでは、その場から全く動かないほどのバランスを誇ります。 ただし速巻きでは泳ぎが破綻。 難点は、ほぼ手に入らないことです。

ティムコ クランキーダーター90

クランキーダーター90(ティムコ)

復刻を遂げたティムコ初のオリジナルルアーです。 

チビリコランクよりもやや深い場所を攻略するルアーですが、基本的には目に見えるサイトレンジで使用します。 

チビリコランクやハイパークランクに比べ、今でいうシャッドに近いためジャークなどで使用することも可能。多彩な仕掛け方ができます。ただ、正直に言うとほかの2つより飛距離はちょっと劣ります。


DAIWA  T.D.ハイパークランク

T.D.ハイパークランク(DAIWA)

とにかく飛ぶ! 潜る! そのため深いレンジを攻略するのが得意です。 

ゆっくり羽根モノのように使用するのがコツで、中層でも喰わせるパワーはやはりメタルリップならでは。 ライブスコープと相性抜群で、水中で羽根モノのように使うと釣果を伸ばせます。

動きの切れ&薄いリップと厚いボディの幻惑効果がバイトを誘う?

メタルリップクランクは強烈なアピール力に加え、リップの薄さからくるアクションの切れ、そして厚みのあるボディと薄いリップが動きの中で幻惑効果を生み出し、バイトするのではないか? と私は考えています。 

ルアーサイズに対しての曖昧さが生まれ、バスが見切れないのではないか? という説です。 

まぁメタルリップにバイトする謎は私の中でも全く解明されておらず、この説もただの仮説にすぎませんが…。

重量のあるリップによる前傾姿勢! シャローで根がかりしにくいルアーが作れる!

さらにメタルリップは“前傾姿勢が強く出る”というメリットがあります。 

これはデメリットにもなりますが、クランクベイトはもともとトレブルフック搭載にもかかわらず、リップという構造が根掛かりを回避するという夢のようなルアーです。 

ロングリップを持つディープクランクでも、泳いでいる姿勢は想像以上に立ってはいませんが(もちろん潜行深度とルアーにもよる)、メタルリップクランクはリップが沈んで前傾しやすく根がかりが回避しやすい。ハイスピードで巻くとこの限りではないので、スローに巻くのが前提です。 

この重いリップという構造を利用すれば、シャローでも根がかりしにくいルアーを作れるんです!

シャローで根がかりしない大型ルアー! を想定して作ったのがクランキーダーター200Aだ!

そこでクランキーダーター200Aですが、大型の金属リップは深く潜らせるためではなく、シャローでカバーを回避するために搭載されているのです。 大型リップなのに潜らせない! それがこのルアーのコンセプトです。

表層系ビッグルアーがビッグバスに効果的なことは、各種羽根モノ等々で証明されていますが、これらはカバーに絡めた釣りは苦手です。根がかり回避でダブルフックを使う手もありますが、ここではフッキング重視のトレブルフック使用が前提の話し。

ビッグルアーの最大の弱点はここにあると思っていて、例えば枝が水面上に飛び出している複雑なレイダウンのポケットにこれらのルアーはちょっとパワー不足を感じていました。 

というのも、ビッグルアーはある程度助走距離が必要で、しっかり長く引くことでバスをバイトさせるルアーだと感じているからです。

狭いポケットでもバスを誘い出せる大型金属モノルアーのニューカマー!

クランキーダーター200Aは、そういった複雑なレイダウンの中に入れてただ巻きしてもリップ構造が根がかりを回避します。 

また、薄い金属リップはシェイク巻きしたときもその場から動くこと(前進)がないため、アピールするための距離がなくてもバスを引きつけることが可能となるのです。 

また、浮きごみが多いシチュエーションでもリップがごみを回避するため、非常に便利です。 

羽根モノといったルアーの中にもう一つローテーションとして加えられるルアー、それがクランキーダーター200A!

大型金属モノルアーの新たな一手として使用していただければと思います。

クランキーダーター200A(ティムコ)

アングラープロフィール

大津清彰(おおつ・きよあき)


老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の『奇人』。


※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。