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フロロカーボンラインが主流となっている日本のバスフィッシングシーンだが、ナイロンラインのメリットを理解し、自分の釣りに取り入れているプロや釣り上手アングラーは多い。今回はナイロンラインのトップランナー・サンヨーナイロン『GT-R』シリーズの主な特徴と使い分けを村田基さんに聞いた。
●文:ルアマガプラス編集部
村田基
むらた・はじめ/ミラクルジム、王様などの愛称で親しまれる日本のルアーフィッシングのパイオニア。誰にでも理解できるわかりやすい解説と華麗なキャスティングテクニックが魅力。日本全国・全世界を飛び回りあらゆる魚を釣り上げるフィッシングデモンストレーター。
フロロよりもスレに強いナイロンがGT-R
1970年代後半、世界のいろいろなラインを試してきた村田さんだが、サンヨーナイロンのラインを使ったときにその強さに驚いたという。
村田「僕は昔から使うラインはマイクロゲージで太さを計って、実際にノットを結んで伸ばしたり擦ったりしてみて、その中から強いものを選んで使っていた。あるとき、サンヨーナイロンを試してみると、ほかのラインより圧倒的に強かった。サンヨーナイロンは〝ナイロン〟をメインに製造しているから、強いナイロンが作れるのは当然なんだよね。それで、もっと耐摩耗性に優れるものが欲しいということで、いろいろ試行錯誤して作ってもらったのがGT-Rなんです」
村田さんは20代の頃から1/1000ミリまで計れるマイクロゲージを使って世界中のラインの太さを計測し、太さに対する強さを実際に検証してから使っていた。そして、あらゆるラインの中でもっとも強かったのがサンヨーナイロンの糸だった。
GT-Rシリーズは、ナイロンラインに特殊な耐摩耗性素材を配合させており、フロロラインを凌ぐ強さを発揮する。
村田「ラインを作る工程で、素材を冷やす段階だとナイロン素材が先に固まって、耐摩耗性素材は後から固まる。その性質を利用して二重構造にしてあるんです。コーティングじゃないから使っていて剥がれ落ちない。これがGT-Rのすごいところなんです」
アプロードGT-Rシリーズは耐摩耗加工がしてあり、フロロカーボンよりもスレに強い効果を発揮。ナイロンラインに耐摩耗素材を浸透させることで、先に内側でナイロン分子が固まり、外側で耐摩耗素材で強化される構造になる。コーティングではないので、耐摩耗性が落ちることはない。
世界中のフィールドで魚を釣ってきた村田さんが太鼓判を押すGT-R。ナイロンを使ったことがない人ほど、ぜひ試してみて欲しい。
同じ太さならフロロよりナイロンのほうが強い
ラインのポンド表記は、太さではなく『何ポンドの力で切れるか』という意味合いになっている。つまり、同じ12lbでも細いものもあれば太いものもある。
村田「たとえばリールの糸巻き量を見てもらえばわかるんだけど、ナイロンラインが100メートル巻けるリールは、フロロは80メートルしか巻けなかったりする。同じ強度なら、フロロラインは太くしないと強くできないからなんだよね。同じ太さなら、フロロよりナイロンのほうが強いんですよ」
そして、比重の違いもフロロとナイロンは大きく違う。
村田「フロロは重いからラインが沈んで、フッキングの力が伝わりにくいし、ラインがボトムを這うから根掛かりも多い。ナイロンは比重が軽いから遠投しやすいし、遠くでもフッキングの力がしっかり伝わる。とくにオカッパリの人はナイロンのほうが使いやすいよ」
フロロは比重が重くラインがどんどん沈み込んでいくのに対し、ナイロンは比重が軽いので浮きやすい。フッキングの際には、フロロはスラックが多く出やすいためパワーロスが起こりやすい。これは遠投すればするほど顕著になる。
ナイロンは伸びやすいから感度が悪いという意見もあるが、それは間違い。
村田「普通に釣りをしているだけなら、ナイロンラインの伸びなんて感じませんよ。思い切り引っ張ったらそれはどんなラインだって伸びますが、バスで使うルアーを操作したり、バスを釣ったりするぐらいでは伸びたりしませんよ」
サンヨーナイロンの糸が強いのは、実際に使ってみればきっと実感できるはずだ。
村田「フロロが悪いと言っているわけじゃないですよ。フロロもPEもエステルも、それぞれメリット・デメリットがあって、それをちゃんと理解して使いましょうということです」
ラインをロッドのガイドに強く擦り付けて、何回で切れるかを実験。サンヨーナイロン製品は10回以上擦っても切れなかったのに対し、その他の製品は2 ~ 3回で切れてしまった。「熱で切れているわけではなく、摩耗で切れているんです。これでこのラインの強さがわかったでしょ?」。
村田基さんイチオシ!サンヨーナイロン製ラインカタログ
アプロードGT-R HM
しなやかで圧倒的に強い、ナイロンラインの超バーサタイル
HMはHAJIME MURATAの頭文字と同じで、ミディアムハードのバーサタイルモデル。ライン選びに迷ったらとりあえずこれをチョイスしておけばOKだ。
村田「サンヨーナイロンのド真ん中の糸。硬すぎず柔らかすぎずで、どんな釣りにも使いやすいよ。紫外線に当たると青っぽく見えて、水中では紫外線が減って無色透明になる。アングラーからは見やすくて、魚からは見えにくいラインなんだよね」
アプロードGT-R ウルトラ
100m●カラー:ダークグリーン●太さ:4lb/5lb/6lb/8lb/10lb/12lb/14lb/16lb/20lb
75m●カラー:ダークグリーン●太さ:22lb/25lb/30lb/40lb/50lb
強くてしなやか、そして見えにくいGT-Rの最高峰.
ウルトラ耐摩耗素材の配合でスレに対して圧倒的に強く、伸びにくくそして扱いやすいGT-Rシリーズのフラッグシップ。
村田「よりダークカラーで自然界に溶け込むから、障害物まわりの釣りにも有利。太い番手もあるからビッグベイトをやる人にもおすすめだよ」
アプロード スーパーGT-R
耐摩耗性に優れ、キャスティングも性能抜群
村田「超クリアウォーターでは、透明な糸は光が屈折して反射する。じゃあ色を付けようよって作った
のがこれ。自然界にある石・岩、立木などの色なら目立たないってことでこの色にしました」
とても滑らかなのでキャスティングがしやすく、飛距離とアキュラシーも向上する。
アプロード GT-Rナノダックス クリスタルハード
フロロ以上の低伸度・高感度を実現した第4のライン
村田「ナイロン粒子をナノレベルまで細かくして作ったのがこのライン。ナイロンだからしなやかなんだけど、直線強度もノットの強度もかなり強いよ」
フロロカーボンに勝る直線強度・結束力・耐摩耗性を持ち、それでいて扱いやすい革命的ライン。
アプロード GT-Rピンクセレクション
100m●カラー:スーパーピンク●太さ:1.5lb/2lb/2.5lb/3lb/3.5lb/4lb/5lb/6lb/8lb/10lb/12lb/14lb/16lb/20lb
目で見てアタリを取るセンシティブモデル
村田「あらゆる魚はピンクに興味を示す。漁師の仕掛けはみんなピンクだしね。魚はピンクは嫌うわけじゃないし、人間からも見やすいんだからピンクにしちゃえばいんじゃない? ってことで作ったのがこれです」
目でアタリも取りやすく、目視できることのメリットは多い。
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