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H-1グランプリで優勝するなど、アングラーとして高い実績を持ちながら、釣り具メーカーのティムコで社員として働く大津清彰さんが、リアルタイムな情報を発信する「バス釣り真相解明」。今回は1月上旬の相模湖釣行。実釣2日間で状況一変! それに対応した釣れっぷりがすごい!
●写真/文:大津清彰(ティムコ)
1日目は前日の雨でささ濁り。2日目は冬晴れの放射冷却で最低気温氷点下5℃!
1月上旬の2日間、相模湖へ行ってきました。
相模湖(神奈川県)
真冬ですね…。ただ、この2日間は状況としては異なりました。
1日目は、前日にまとまった冷たい雨が降ったため、川筋はささ濁りが蔓延。ただ、水温はそれほど落ちず8℃前後。
2日目は朝の最低気温が-5℃で、冬晴れが続くキンキンに冷えた日。
相模湖の冬の雨は濁りやすいです。冬、山肌に霜が降りると土の表面が持ち上がります。その部分に降雨→流れ出して濁るという形になるためです。
濁りが入った1日目に関しては、魚探で見る限り魚たちはかなり動いていました。
流れが強く出ていたこともあるかもしれません。小魚(何かは不明)が表層付近にまで泳いでいたり、コイやフナらしき魚影も確認できました。
一方、2日目は水もクリアで流れもなし。水温は7℃。こうなってくると、魚たちの動きもほとんどなく、魚探の映像も静かなものです…。
今年はワカサギの群れもほぼありません。感覚ですが、少ないといわれた昨年の1/5。多いといわれた2年前に比べると1/10レベルのワカサギしか存在しません。
ワカサギは意識せずボトムやカバー絡みがキーと推察
さて、そんな状況の相模湖。この冬の攻略のキーワードは、『ワカサギを考えない』にあると思います。
ここ5年程度は冬でもワカサギが多く、バスも積極的にワカサギを追いかける場面を見ることができました。
一年魚のワカサギは遊泳力が弱く、低水温で動きの鈍くなったバスでも追いかけて捕食することができるベイトとして存在していました。
でも、ハヤやウグイがいるじゃないか! と考えたいところですが、ハヤやウグイなど、もともと日本に生息していた小魚は低水温時でも動きが速く、基本的には温暖地域で生活するバスは追いかけられないと私は考えています。
実際に冬の相模湖では、食べているのをほとんど見たことがありません。そのため、ワカサギがいなければバスたちはエサを摂らない省エネ状態となります。冬眠のような状態、休眠に入ってしまうと考えています。
考え方としては、ワカサギがいなかった頃の相模湖攻略法が今年のキーになるかと考えています。
ミドストやスイベルキャロを中心とした小魚系のアプローチではなく、ダウンショットやボトムのジグヘッド、カバーを絡めたパワーフィネスなどです。
さて、このようなキーワードが出そろったところで、この2日間の釣果を振り返ってみましょう。
1日目は「水深3m前後の岩盤」と「ゆっくりした動き」を念頭に攻略
1日目に関しては魚たちが動いており、おそらくバスたちも動いていた感じがしました。 場所としては定番の越冬場です。ただ、例年釣れていたような深場ではなく、2~5mの比較的浅い場所で釣ることができました。
また、これも特徴的なのですが、「ライブスコープの優位性があるエリアにバスが少ない」ということです。深さがあり、障害物があってもややフラットで沖という場所でまったく釣れなかったことです。
バスは賢いので、単にライブスコープ勢を嫌がっているのかもしれませんが…。
ポジションの取り方を見てみれば顕著です。私が釣っていたのは岩盤エリアがメインです。そこを岸ベタベタ、もしくは岸にキャスト。ライブスコープ勢はそこから倍以上の距離の沖にいるからです。
47cm、1630g。
今年のエリア的キーワードは沖ではなく岸にあるといっても良いかもしれません。もはやライブスコープのライブサイトに頼っていては釣果を伸ばせない? というよくわからない逆転現象が起きています。
ライブスコープを使うにしろ、超絶難易度となる「水深3m前後の岩盤」に沿って攻略しなくてはなりません。キャストは岸に向けて行うので、キャストは岸に対して直角になる形です。しかも時間帯によっては流れや風が出ている…これがいかに難しいことか。ライブスコープ勢は理解できるかと思います。
こんなことが息を吸うように難なくできるのは、ライブスコープ勢の上位1~3%の人間くらいでしょう。この人たちの釣果は無視してよいレベルです(笑) 。
さらに今年のキモは、「ゆっくりした動き」にあると感じています。少しでも速いと諦める!
これはライブスコープを見ていて感じたことですが、ルアーの挙動が少しでもブレたり、速く動いていたりすると追うのをやめてしまいます。おそらくワカサギがいないことにあるでしょう。タイミングがあれば何か食べたいが、追うのは嫌という雰囲気を感じます。昨年(2024年)末、私の弟がチョンがけロボリーチの2.2gダウンショットで3本釣っていたという話をしましたが、まさにこの状況はダウンショット向きです。
昔ながらの冬のスタイル、1キャストに時間をかけ、じっくりゆっくり動かしていくというのが良いのではないでしょうか。ミドストで中層を攻めても、中層まで上がって喰うバスは今年は少ないと考えています。
1日目に私が使用していたのは、クリーピーエッグラバーの1.3gジグヘッドです。
42cm、1290g。
クリーピーエッグラバー34T(ティムコ)
岩盤に対し直角に攻めていたので、まぁダウンショットでなくても良いかな? という考え方です。
直角に攻める理由は、岩盤のえぐれに沿ってワームをシェイクしたいからです。
えぐれに向かってキャストし、ボトムまでフォール→じっくりシェイク。ボトムから離れたと思ったら、落としてシェイク、これだけです。
エリアさえ決まってしまえばライブスコープがなくてもまったく問題ないのですが、あらゆる魚種が多い場所にバスもいるようなのでライブスコープがあるとやっぱり便利ですね。
また、岸でも水中に張り出した岩盤もあるのでそういった場所を見つけるのにも重宝すると思います。ライブスコープを地形と魚(様々な魚種)を把握するのに使用しますが、ライブサイトに頼らないという方法ですね。
このときにスーパーリビングフィッシュのようなストレートでつるっとしたワームよりも、ラバーがついているようなクリーピーエッグラバーのほうが動きにブレーキがかかるので、動きすぎない感じが今の相模湖に向いていると思います。
同じように、2.3g程度の重めのスモラバも良いかと思います。個人的オススメとしては、ダウンショット、ジグヘッド、重めのスモラバという感じになります。さて、1日目に関しては雨後の濁りもあり、比較的釣りやすい状況だと感じました。
41cm、1085g。
2日目は水澄み、流れなく、低水温…岸沿いのレイダウンに勝機を見出す!
問題は2日目…。
流れもなくクリア、放射冷却がきつい低水温。1日目と同じ場所を攻めても、まったく反応がない。魚探で見ても、魚たちがまったく動いていない…やばい。
1日目、後悔したのがカバー用のルアーとタックルを用意していなかったことです。岩盤が良いならば、おそらくレイダウンのような場所にもバスはいる。しかもワカサギ依存が低く、浅い場所にバスが多いなら例年より良くなっているはず。
そこで2日目に用意したのがこれ。新製品ハリネズミのテキサスリグです。
2025新製品ハリネズミ(ティムコ)のテキサスリグ
オフセットフック使用を前提とした、対カバー用で作った剛毛エラストマー系ルアー。カバーならテキサスリグでしょ! という安易な発想wではなく、対カバーならテキサスリグが最強に根がかりしないからです。
普通なら枝に引っ掛けてシェイクするとテキサスリグはワーム部分がぶら下がってしまい、シェイクしても魅力的な動きになりません。
しかしエラストマー系は別。エラストマー系は浮力があるので、下に向かうシンカーの動きと対称的な動きとなり、同じテキサスリグでも動きがめちゃくちゃ良くなるのです!
つまり、カバー振り落としの釣り方でも、水平ジグやカバーネコを使う理由が減少するのです。
厳密にはブラシガードがあったほうが、対カバーのバラシが減少するので理由がないわけではないのですが、水平ジグは意外と繊細に扱わないと枝に引っかかってしまうのに対し、テキサスリグなら雑に使っても根がかりしない! しかもフッキングは良い!
そしてなんと、いきなり50cmくらいのバスがレイダウンで喰ってきたのですが、水面の枝に引っ掛かってオートリリース(涙) 。
この時期のレイダウン攻略なので、場所を絞ってシェイク時間は2分くらいとかなり長め。枝に引っ掛けながら落とし込みシェイクする、パワーフィネスのようなテキサスリグの使用方法です。
実は冬のカバーでハリネズミを使用したのは初めてなのですが…ひょっとしてルアーパワーで喰っている? もともと相模湖の見えバスに対し、サイトで投げてみたらあっさり何尾も喰って「剛毛エラストマー系ヤバくね?」というのが開発のきっかけ。
だとするなら、ハリネズミのテキサスリグで喰ってきたことも考えられる。引き続き、投げてみるとすぐ答えが出ました!
ハリネズミで45cm!
作った本人も驚くルアーパワーで2尾連続50オーバー!
45cm! やっぱりルアーパワーがある気がする!
今の相模湖は、そんなにレイダウンで喰いませんし、パワーフィネスでもショートバイトの連続となる。
ハリネズミだとモグモグ食べて、バイト直後にぎゅんぎゅん走るw そしてまた喰いましたw
今度は53cm2655g! 冬の相模湖らしい50オーバーでした。
53cm、2655g。
作った自分でも信じられない…。こんなに喰わないでしょ、普通…。使い方は何も難しくないです。レイダウンに投げて、落とし込みシェイクするだけ。
その後、相模湖のレイダウンもやりつくしてしまったので、先日良かった岩盤系をハリネズミでじっくりボトムシェイク、なんと普通にモグモグ食って走ってましたw
53cm、2260g。2本連続の53cm。
ハリネズミ発売前はジグ+ポークを代用! 魚が動けばクリーピーエッグラバーで真冬の相模湖を攻略
いや、そんなに喰わないでしょ、相模湖の50アップ…。過去、強烈なルアーパワーを持ったルアーはいくつも存在しましたが、ハリネズミも間違いなくその一つになっていると思います。
もともとカバー絡みのサイト中心でテストしていたので、こういうサイトに頼らない使い方は未知数だったのですが、今後、様々な使い方を模索していこうと思います‼︎
とにかくこの日のハリネズミはストロングパターンでした。ハリネズミはまだ発売していないので使うことはできませんが、同じような釣り方だったら、私ならジグ+ポークで攻めていくと思います。
最後、夕方に魚たちが動き出しました。ならばということで、先日好調だったクリーピーエッグラバーの0.9gジグヘッドで岩盤エリアを攻めたところ…2本食って1本キャッチ!
ボトムシェイクですね。急な軌道は嫌がられるので、細かく、繊細に動かすことがキモかなと思います。
クリーピーエッグラバーの0.9gジグヘッドで47cm、1555g。
使用タックルデータ
クリーピーエッグラバー ジグヘッドリグ
- ロッド:フェンウィック プロト 60SLJ(ティムコ)
- リール:エアリティLT2500S(DAIWA)
- ライン:リアルデシテックス0.4号(エクスブレイド)+フロロ4lb
- ルアー:クリーピーエッグラバー(ティムコ)+ヴェスパ1.3gジグヘッド(リューギ)
ハリネズミ テキサスリグ
- ロッド:フェンウィック プロト 67SML-STJ(ティムコ)
- リール:アルデバランMGL 31HG(シマノ)
- ライン:アブソルートAAA 16lb(バリバス )
- ルアー:ハリネズミ(ティムコ) +インフィニ2/0(リューギ)10g テキサスリグ
アングラープロフィール
大津清彰(おおつ・きよあき)
老舗ティムコにてルアー・ロッド開発から各種広報まで担当するマルチプレイヤー。生み出したいくつもの製品がバスフィッシング業界に多大な影響をもたらす大注目の奇才アングラー。
※本記事は”ルアーマガジン”から寄稿されたものであり、著作上の権利および文責は寄稿元に属します。なお、掲載内容は公開日時点のものであり、将来にわたってその真正性を保証するものでないこと、公開後の時間経過等に伴って内容に不備が生じる可能性があることをご了承ください。 ※特別な記載がないかぎり、価格情報は消費税込です。