
宮古島在住の宇田和志さんが最高の釣り体験のためのヒントを与えてくれる連載『釣りと黄金郷』。魅力的な釣りのメソッドから、釣りに行くからこそ出会える感動まで、読めばきっと釣りの理想郷に近づけるはず…!今回はそんな宇田さんのライフワークとも呼べる海外釣行の様子をお届け!憧れのターゲット「チャドー」を狙います!
●文と写真:宇田和志
宇田和志
うだ・かずし/愛する釣りの魅力を宮古島から発信するフィッシングクリエーター。「 Eldorado 」にてアングラー向けのシルバーネックレスを手掛ける傍ら、ブログやYoutubeなど各種SNSを通して「釣りを通して人生をさらに楽しくする」を応援する。海外釣行にも力を入れており、その様子にも注目だ。
タイランドの友人から連絡がきた。
「10kgのチャドーが釣れるスペシャルな場所に案内できるよ。釣りに来ないか?」。
少々話を盛るくせがある友人だがそんなチャンスはなかなかあるものではない。それならば、行くしかない。
関係者以外立ち入り禁止!巨大スネークヘッドが自然繁殖するス
ペシャルポンド
飛行機、電車、タクシーを乗り継いでタイの友人”ネック”の家に到着したのは日本の自宅を出てから約10時間後。タイは比較的気軽に行けるのがいい。さっそく例の「スペシャルな場所」に案内してもらった。
ここはオーナーによって厳格に管理されているプライベートポンド。
メディアの取材などで現地のプロアングラーがたまに取材に訪れるが、一般のアングラーは決して立ち入ることのできない特別な池だ。
ではなぜそんな特別な池で私が釣りを許されるのかというと、ネックはルアーブランドのオーナーであり、さらに自身も80万人以上のフォロワーを持つインフルエンサーでタイランドの釣り業界ではちょっとした有名人だからだ。
大きな情報発信力・影響力を持つネックの”友人枠”で私も釣りをすることが許可された。
この池はジャイアントスネークヘッドが自然繁殖していて、過去には最大で10kgの個体が釣られたこともあるらしい。タイではチャドーやシャドーと呼ばれることが多いが、我々日本人にはトーマンという呼び方が一般的。
トルクフルな引きが楽しめ、繁殖期にはエメラルドグリーンの婚姻色に染まりまるで宝石のように美しく輝くことからタイでも釣りのターゲットとして非常に人気が高い。
タックルについて
タイでチャドーを狙う際に使用するタックルは強めのバスタックルでOK。
ロッドはMH(ミディアムヘビー)、H(ヘビー)、XH(エクストラヘビー)クラスが使用されるのが一般的だと思う。
ただしラインとフックだけはバスタックルというわけにはいかない。ラインは最低でもPE3号以上、ルアーのフックもバス用のものでは一瞬で伸ばされてしまうためXHクラスを使用する必要がある。
Hクラスのオリジナルパックロッドに22バンタムXGを装着。PE5号を50m程度巻き、140lbのリーダーを短めに20cmほど組んだ。
正直140lbというのはやりすぎでこれほどの強度は必要ないのだが、以前80lbのリーダーをいとも簡単にスパっと切られてしまったことがあるので念には念をということで。
チャドーのキバは刃物のような切れ味を持っている。ルアーはネックが展開するブランドFISHING REALITY(フィッシングリアリティー)のSTRIKER(ストライカー)というバジングワームを選択。太軸のオフセットフックで狙う。
カバーに潜む巨大チャドー
さっそく釣りを開始。チャドーが潜んでいそうなカバーを重点的に撃っていく。
日本のライギョと違い、タイのチャドーはフロッグなどでちょこちょこネチネチと狙うのではなく速い動きで誘うのが一般的だ。
バズベイトやクランクベイトといった巻物系のルアーが使われることが多く、こういったカバーエリアではすり抜け性能の高いバジングワームが強い。
ボートをゆっくり流しながら何度も何度もキャストを繰り返す。すると開始早々に水面が爆発した!
久しぶりに感じるチャドーの引きは本当に力強く、何度も抵抗してなかなか弱らない。
スネークヘッドと言ってもすらっと細長い日本のライギョとはまるで違いぶりっと太短いチャドーは、スネークヘッドの中では群を抜いて強い。
そしてこの美しい魚体。世界中のアングラーが魅了されるのも納得である。
あまりの嬉しさに思わずネックレスとパシャリ。
現在は繁殖期ではないためエメラルドグリーンの婚姻色は出ていない。
このカラーがチャドーのスタンダードな体色なのだが、稀に真っ黒な個体が釣れることもある。時期や環境で体色を変える不思議な魚だ。
ネックも良型のチャドーをキャッチ。さすがである。
気前のいいオーナーと日本人にはあまり知られていない釣り堀
今回は2泊3日の日程で釣りをさせてもらったが、計6匹のチャドーをキャッチすることができて大満足の遠征となった。
このスペシャルポンドを管理するオーナーのプイさんは土地開発事業などを行なっており、この辺り一帯に広大な土地を所有する超がつくほどの金持ち。
金のネックレスに宝石の指輪やブレスレットと、見るからに、な人だ。※ビールを持っているのがプイ
さん。
今回ご紹介したスペシャルポンドで釣りをすることは難しいが、プイさんは別で「バーンアーントーン フィッシングリゾート」という釣り堀も経営している。
この釣り堀ではメコンオオナマズ、サワーイ、パーカーホ、テラピアといった魚を餌で狙うのが一般的だが、おかっぱりからチャドーを狙うこともできる。
さらに宿泊施設まで併設されており、ヴィラの庭から餌を垂らすなんてことも可能。
そして施設内にあるレストランは非常に美味しくてリーズナブル。
ただし観光客向けのレストランではないので全ての料理があり得ないぐらい辛い。
一口食べるごとに水が必要なほどなので苦手な方は辛くしないでと伝えることをお勧めする。
お互いがジェスチャーと翻訳機を使った英語でコミュニケーションをとっているので上手く伝わっているのか心配だが、「ジャパニーズ エルドラド」とプイさんに伝えれば何かしらサービスしてくれることになっている…はず。
しかしプイさんは何度も日本に通っている大の日本好き。きっとよくしてくれると思う。
下の記事ではこの釣り堀について詳しくご紹介しているので興味があれば読んでみてください。
チャドー釣り遠征の反省点
今回のタイランド遠征では大きな課題が残った。
バイトの数は20回ほどあったのにも関わらずキャッチできた魚の数は6匹と、半分以上のチャンスをものにできなかったことだ。
特に多かったのがバラシ。一旦は重みが乗るもポロっと外れてしまうというケースが多かった。
原因はフッキングの甘さにある。
チャドーの口は非常に硬く分厚いため針がなかなか貫通しないのだ。
ネックには何度も「もっと強くフッキングしろ」と言われ自分なりに思いっきりフッキングしていたつもりだったが、ドラグの調整が少し弱かったみたい。
「ドラグは締めこめるだけ締めこんでフッキングした後に少し緩めるなりの調整をするといい」といったニュアンスのアドバイスをもらった。
それは最初に言っておいてくれよと思いながら…次回の課題として持ち帰ることにする。
釣りだけでなく気候や雰囲気、感覚、人が凄く合うタイは大好きな国の一つ。何度でも通いたい。そしてタイに行くときはいつも一緒に遊んでくれるネックには本当に感謝している。