
生誕20周年を迎える超名作クランクベイトがある。清水盛三さん渾身の一作『ワイルドハンチ』だ。バスアングラーであればその名を知らぬものはいないであろうルアーであり、クランクベイトの顔とも、清水盛三さんの代表作とも言える。ここでは、そんなワイルドハンチを改めて観察してみたい。
●文:ルアマガプラス編集部
ワイルドハンチたらしめるもの
ワイルドハンチは、その造形の細部を見れば見るほどに不思議なルアーだ。清水盛三の手から生み出されたこの稀代のクランクベイトは、いかにしてこの形にたどり着いたのか。
人間の思考には演繹法と帰納法の2種類が存在する。
演繹法とは、原理原則を個別の事象に当てはめること。一方、帰納法は個別の事象を寄せ集めて原理原則を導き出すことだ。
ワイルドハンチの考え尽くされた美しいまでの各部位の造形を眺めると、それらはあらかじめ製作者の頭の中にある、確固たる原理原則から生み出された演繹的作品に思われる。
しかし、事実は異なるだろう。ワイルドハンチは、清水盛三がリールのグリップを握る手の感覚だけを頼りに、とてつもない時間を費やしテストを積み重ね、そこで発見した数えきれない事実を寄せ集めて完成した、汗と情熱の帰納的産物だ。
そしてワイルドハンチは今年、二十歳になった。
ジャパニーズ・クランクベイトのマスターピースは、これからも輝きを失うことはないだろう。さらに20年先も、ワイルドハンチはワイルドハンチであり続ける。
清水盛三の普遍の直感(ハンチ)
ワイルドハンチを正面から見ると逆三角形であることがわかる。リップからくる水流を背中でも受け止め、艶かしいロールを発生させる。ピッコロやフェイスなど、ほかのルアーにも採用されている造形だ。
フロントフックアイの特徴的な「くぼみ」は、少しでもフックをボディに近づけて、カバー回避能力を高めるとともに、フックの暴れを抑制する効果もある。
後方に向かって細く絞られたテールは断面が横楕円形なっている。清水が「釣れる残像」の動きを追求して行き着いたテール形状だという。
ワイルドハンチの真骨頂、3Dハイパーリップデザイン。先端のくぼみは水の掴みを良くして初動のアクションレスポンスを向上させる。滑り台構造により、リップが受けた水流をロスなくボディに伝達。また、ラインアイを前方に寄せているので、リップの長さのわりに潜行深度は浅く、水平姿勢も生み出す。
ボディの中程で最大限の厚みを持たせて浮力を確保。リアフックよりも小さいフックをフロントに搭載することでボディにすっぽりとフロントフックがおさまっている。またフロントとリアともに横アイというこだわりようだ。
ワイルドハンチは長めのリップの前方にラインアイがあり、リップとボディの付け根も細い。モンスタークラスにも対応できるようリップ内のワイヤーで補強されている。
ワイルドハンチ誕生20周年記念スペシャルカラー
単なる記念カラーではなく、何事も徹底する清水盛三さんが「釣れる色」として考案した、超実践的カラー。
スーパーダズラークロー 20th


スーパーフラッシュクラウン 20th

